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ヤマハ発動機、攻めに転じた中期計画は順調に推移 2015年目標達成に自信
ヤマハTMAX530。1台のバイクで通勤から週末のタンデム(ふたり乗り)ツーリングまで楽しんでしまう欧州のライフスタイルにあわせた530ccの大型コミューター。160万円という高価なバイクだが、EU圏で圧倒的なシェアを誇る。[写真拡大]
2013年から2015年に向けた中期計画を遂行中のヤマハ発動機が、その中間報告と今後目指す成長戦略について発表した。
当初の計画では二輪車およびマリン事業を核に、上記3年間で250新モデルを市場に投入して攻めに転ずるとしていた。「その6割がすでに市場にリリースされ、計画は順調に推移している」と同社・社長の柳弘之氏。リーマンショック後の赤字からV字回復させた自信が、2014年の修正予想では、売上が1兆5000億円、営業利益率5.5%達成を見込む。中期計画で目標としていた営業利益5%という課題はすでに達成したこととなる。
同社の事業の大きな柱は、やはり二輪事業だ。2014年修正予想で売上9750億円に達するものの、営業利益率2.4%と低い。2015年度の売上は1兆円と微増するも、この営業利益率をあと1年で5%までアップさせ、安定的な収益体質に変えていくという。
冒頭で記した250の新モデル計画で、独創的なコンセプトを卓越した技術、そして洗練された躍動感あふれるデザインで実現する。「これがヤマハらしい商品企画だ」と同社長。具体的には日本で競争力あるプラットフォームを研究開発し、海外の現場ごとに、多用で必要な機能を付加する。そのうえで現地にあった市場モデルとしてデザインをまとめる。
また、重要部品76品目のコストダウンも順調に進んでいるという。今回の報告では、従来のキャブレターに変えてインジェクションを採用したが、2009年当時に比べると2014年現在で半値以下までダウンすることができた。同時に現在7機種ある既存のエンジンを新世代エンジンに換装を進めて、3機種のエンジンに集約するという。この新エンジン「BLUE CORE」については、別項で詳しく報告する予定だ。
国内外の生産体制構造改革も同時に進行中だ。2009年に国内12工場・25ユニットだった体制が、本年2014年で8工場・16ユニットまでに削減。2015年には6工場・13ユニットの目標が達成でき、構造改革によって200億円の経費が削減できる見込みだ。
ヤマハ発動機のもう一方の柱であるマリン事業は、同社のなかで高い収益を上げている事業だ。2013年実績で売上2434億円ながら営業利益率は13.1%と非常に優秀な数字をあげている。この高収益体質を維持するために、年間15万艇の需要があるとされる米国プレジャーボート市場をターゲットに商品戦略とラインアップ拡大を推し進める。
一方、同社マリン事業は中国市場にも注目している。現在、50万隻あるという中国漁船は古い木造船がほとんどで、効率が悪い。そこでヤマハはFRPパッケージングボートを中国に提案、獐子島・現地法人と共同で合弁事業を立ち上げた。プレジャーボートでも、27ftフィッシングボートを珠海の現地法人に生産委託している。このようにマリン事業は資本参加や子会社設立、技術援助などで海外に向けて営業展開を図るという。
ヤマハ発動機の事業は非常に多彩で、これまで紹介した大きな2本柱のほかに、さまざまな分野がある。ヤマハが世界に先駆けて20年以上も前に発売した電動アシスト自転車も海外、なかでも市場規模が日本の倍以上とされるEU圏に向けた開発が進みそうだ。また、電動バイクが本年中に台湾で発売される見込みだ。日本の農場で2000機以上が飛行している産業用無人ヘリコプターは韓国やオーストラリアに進出を開始。米国でも法整備が進めば、すぐにでも進出するという。昨年、秋の東京モーターショーで発表した四輪事業への進出も期待されている。
「4月の消費増税の影響・落ち込みは確かにあった。が、ニューモデル投入効果で、7月には完全に脱した。これからは、来年10月の増税に備え、乗り切るための準備を怠らない」と柳社長。2017年の売上高2兆円、営業利益7.5%の目標にむけて視界は良好か?(編集担当:吉田恒)
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