吉田元東電福島第一原発所長調書を公開へ 政府

2014年8月26日 10:41

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記事提供元:エコノミックニュース

 東京電力福島第一原発事故直後からの東電の対応や現場はどうだったのか、現場で指揮にあたった吉田昌郎当時の所長に対する聞き取り調書が公開されることになった。菅義偉官房長官が25日、記者会見で発表した。公開は政府の判断による。吉田氏は昨年逝去している。

 菅官房長官は公開に踏み切る判断をするに至った経緯について「吉田元所長のヒアリング記録の一部のみを断片的に取り上げた記事が複数の新聞に掲載をされ、一人歩きとの御本人の懸念が既に顕在化している」と指摘したうえで「このまま非公開にすることで、かえって御本人の遺志に反する結果となると考えられる」と述べた。

 また、菅官房長官は「このような状況の変化や吉田元所長の上申書の趣旨を踏まえれば、他人に対する評価に関する部分については慎重に検討した上で、このヒアリング記録を公表しても差し支えない状況になりつつあると考えられる。準備が整い次第、他のヒアリング記録の公表のタイミングと併せて、吉田元所長のヒアリング(記録)についても公表することとしたい」と述べた。そのための準備を事務方に指示したという。

 菅官房長官は「事実誤認も含め、その内容の全てがあたかも事実であったと一人歩きすることが危惧されることから公開は望まないとの上申書が吉田元所長から提出されていたために、非開示にしてきた」とこれまで公開してこなかった理由をあげた。しかし、現況では公開しない方がかえって一人歩きすることになると判断した。

 関係者からの聞き取り調書についても、了解を得られた方の調書から順次、公開していくとし、菅官房長官は「9月のできるだけ早い時期から公開をはじめ、遅くても年内には(了解を得られた調書)すべて、公開していきたい」と語った。(編集担当:森高龍二)

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