沖縄科技大、セロトニンの働きが我慢強さに関与していることを明らかに

2014年8月24日 17:50

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遅延報酬待機に対するセロトニン神経刺激の効果を示す図。エサまでの待ち時間を3秒、6秒、9秒と変化させたところ、3秒と6秒のノーズポークは簡単にできるものの、9秒だとマウスは待ちきれずに鼻先を出してしまい、報酬獲得に失敗する回数が増えた。しかしマウスがノーズポークする間に光刺激でセロトニン神経活動を増加させると、9秒でもノーズポークを続けることができるようになり、失敗回数が有意に減少した。(沖縄科学技術大学院大学の発表資料より)

遅延報酬待機に対するセロトニン神経刺激の効果を示す図。エサまでの待ち時間を3秒、6秒、9秒と変化させたところ、3秒と6秒のノーズポークは簡単にできるものの、9秒だとマウスは待ちきれずに鼻先を出してしまい、報酬獲得に失敗する回数が増えた。しかしマウスがノーズポークする間に光刺激でセロトニン神経活動を増加させると、9秒でもノーズポークを続けることができるようになり、失敗回数が有意に減少した。(沖縄科学技術大学院大学の発表資料より)[写真拡大]

 沖縄科学技術大学院大学の宮崎佳代子研究員らによる研究グループは、セロトニンの神経活動を増加させることで我慢強さが促進されることを明らかにした。

 日常生活の中では、我慢強さを求められる場面が多くあるが、これまで、脳内のセロトニン神経は罰が予測される状況下ではその行動を抑制すると考えられていた。

 今回の研究では、マウスを用いて、実験箱内部の壁面に設置された小窓に鼻先を入れる状態で待つとエサがもらえることを学習させる実験をおこなった。その結果、光刺激でセロトニン神経活動を増加させると長い時間鼻を入れておくことができるようになった。

 研究メンバーは、「今回の実験では高い時間精度で神経活動を制御できる技術を用いたことで、セロトニン神経活動が予想以上にダイナミックな機能を有し、報酬待機における辛抱強さの調節を行っていることが明らかになりました」とコメントしている。

 なお、この内容は8月21日に「Current Biology」電子版に掲載された。

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