ソユーズ2.1bロケット、気象観測衛星メテオールMの打ち上げに成功

2014年7月10日 18:00

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記事提供元:sorae.jp

ソユーズ2.1bロケット、気象観測衛星メテオールMの打ち上げに成功(Image credit: Roskosmos)

ソユーズ2.1bロケット、気象観測衛星メテオールMの打ち上げに成功(Image credit: Roskosmos)[写真拡大]

 ロシア連邦宇宙庁は現地時間8日、気象観測衛星メテオールMの2号機と、6機の小型衛星を搭載した、ソユーズ2.1bロケットの打ち上げに成功した。ロシアは一時期、気象衛星をすべて失ったこともあったが、これで極軌道のメテオールMが2機、静止軌道のエレクトロLが1機の、計3機体制にまで復活した。

 ソユーズ2.1bは、現地時間2014年7月8日21時58分(日本時間2014年7月9日0時58分)、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の31/6発射台から離昇した。ロケットは順調に飛行を行い、メテオールMを分離。6機の小型衛星も続々と分離され、所定の軌道へと送り込まれた。

 メテオールMはJSCウニエム社によって製造された気象衛星で、高度約825.5km、傾斜角98.8度の太陽同期軌道から、7種類の機器を駆使し、降雨状況やオゾン層、土壌に含まれる水分などを全球レベルで観測する。打ち上げ時の質量は約2,900kg、設計寿命は5年が計画されている。

 メテオールMは、1980年代後半から90年代前半にかけて計6機が打ち上げられたメテオール3と、その後継機であるメテオール3Mに続く、ロシアの極軌道気象衛星の新たなシリーズだ。だが、その移行は一筋縄ではいかなかった。

 メテオール3は90年代中に軒並み運用を終え、2001年に打ち上げられたメテオール3Mは、2006年に故障によって運用を停止してしまう。また静止軌道の気象衛星として、エレクトロの1号機が1994年に打ち上げられたが、こちらは1998年に故障し運用を停止してしまった。つまり90年代後半から2000年代前半にかけて、ロシアは気象衛星を満足に運用することができていなかったばかりか、1機も持っていなかった時期さえあったのだ。この間、ロシアは米国や欧州のデータに依存し続けていた。

 その後、2009年にメテオールMの1号機が打ち上げられ、こちらは現在も活動中だ。また東経76度の静止軌道上では、2011年に打ち上げられたエレクトロLが運用されており、今回のメテオールM 2号機の成功で、ロシアは3機の気象衛星を持つことになった。また今後、性能が大幅に強化されたメテオールM 3号機の打ち上げも計画されている。

 今回の打ち上げでは、MKA-FKI(PN2)、スカイサット2、DX-1、テックデモサット1、UKube-1、AISSAT-2の、6機の小型衛星も搭載され、分離に成功した。

 MKA-FKI(PN2)はロシアのラーボチキン社によって開発された小型衛星で、カラートと呼ばれる小型衛星バスを基に造られている。主に磁気圏の観測を目的とし、打ち上げ時の質量は約250kg。

 スカイサット2は米国のスカイボックス・イメージング社の商業用の地球観測衛星で、質量は100kg。スカイサットは地球観測衛星として非常に割り切った設計をした衛星で、観測できる範囲は小さく、姿勢変更能力も低いが、高い分解能の画像の他、動画も撮影できるのが特徴だ。同社では衛星を地球低軌道に24機配備し、前述の短所を数でカバーする計画を立てている。なお同社は6月、グーグルに買収された。

 DX-1はロシアのダウリア・エアロスペース社の衛星で、質量は27kg。衛星の開発そのものが目的の、技術試験機として造られている。また船舶を追跡できる自動船舶識別装置(AIS)の受信装置も搭載際している。同機はまた、ロシアにとっては初の、国の資金を得ず、純粋に民間だけで造られた衛星でもある。

 テックデモサット1(TechDemoSat-1)は英国のサリー・サテライト・テクノロジー社(SSTL)によって開発された衛星で、質量は150kg。科学観測を目的とし、英国内の大学や研究機関が提供する観測機器などを搭載している。

 UKubeは英国のクライドスペース社によって開発された衛星で、英国宇宙機関によって運用される。質量は3kg。こちらも英国内の大学や研究機関が提供する観測機器を搭載、また新しい技術の実証を行うためのを機器も搭載している。

 AISSAT-2はカナダのトロント大学航空宇宙額研究所(UTIAS)が開発した衛星で、ノルウェイ国防研究機構、ノルウェイ宇宙センターによって運用される。質量は6.5kg。自動船舶識別装置(AIS)を搭載し、航行する船舶をモニタリング、追跡する。1号機のAISSAT-1は2010年に打ち上げられている。

 なお、本来であれば7機目として、カナダのM3MSatが搭載される予定だったが、ウクライナ問題に対するロシアへの制裁の一環として、カナダ政府の命により契約が破棄された。しかしロケットのすでに搭載する前提でバランスが調整されていたため、急遽M3MSatと同じ質量の重りが搭載されて打ち上げられた。

 ロシアのドミートリィ・ロゴージン副首相は、このカナダの土壇場でのキャンセルに対して、「カナダはロシアに対し、金銭と信用の両方において対価を支払うことになるだろう」と発言している。

■РОСКОСМОС - Космический аппарат «Метеор-М» успешно выведен на целевую орбиту
http://www.federalspace.ru/20762/

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