東北大、地磁気情報から津波石がいつどのようにできたのかを解明

2014年5月30日 23:13

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(写真1)今回の研究に用いられた200トン級の津波石(東北大学の発表資料より)

(写真1)今回の研究に用いられた200トン級の津波石(東北大学の発表資料より)[写真拡大]

  • (写真2)今回の研究に用いられた35トン級の津波石(東北大学の発表資料より)
  • 地磁気を用いて津波石の移動様式と津波の年代を求めるための概念図(東北大学の発表資料より)地磁気は南から北に向かって水平面から約40度下向きになっていて、もともとのサンゴ礁の残留磁気もこの地磁気と平行になっていました。しかし、津波石は津波によって運ばれるため回転し、その残留磁気は上下が逆さまになることがある。また、逆さまになった残留磁気に津波石となってからの時間が経過するにつれて、新しい残留磁気が地磁気と平行に着磁し、この新しい残留磁気の強さから津波の年代を残留磁気の緩和理論から算出できる。

 東北大学の佐藤哲朗らによる研究グループは、沖縄県の津波石に残された磁気を解析することで、津波石がいつどのようにできたのかを明らかにした。

 沖縄県石垣島のサンゴ礁は、成長する際に細かい磁性粒子を取り込んでおり、地磁気の方向を記録している。また、過去の巨大な津波によってサンゴ礁が壊され、サンゴ礁起源の津波石が沿岸部に広く分布している。

 これまでの放射性炭素を用いた研究によると、過去2500年の間に8回もの津波に襲われていることが明らかになっていた。しかし、一旦津波石となって沿岸部に運ばれてから次の津波で津波石が動いたかどうかは、全く分かっていなかった。

 今回の研究では、津波石となってから時間と共に新しい残留磁気の方向が決められていくことを考慮して、200トン級の津波石(写真1参照)は約2000年前の津波で移動したこと、その後1771年の明和津波では35トン級の津波石(写真2参照)は沿岸部に移動したが200トン級の津波石は移動していないことを世界で初めて明らかにした。

 この研究結果によって、太平洋沿岸部に多数分布している津波石を調べることで、過去の津波についてさらに詳しく知ることができ、沿岸部のリスク評価に繋がると期待されている。

 なお、この内容は5月22日に「Geology」オンライン版に掲載された。

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