“自国では無名だが日本では有名”…Big in Japan現象を海外紙が報じる

2014年3月13日 17:45

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記事提供元:NewSphere

 アメリカテキサス州オースティンで毎年3月に開かれる世界的に有名なアートイベント、SXSWで上映された映画「Big in Japan」が話題である。

 「Big in Japan」は、自国では売れないロックバンドが日本でスターになる夢をかなえようと奮闘する姿を描く。現実に存在するシアトルのバンドTennis Proが出演する、現実と虚構が混在する物語である。明るいユーモアとキャッチーなメロディーに乗せて描かれる、ダイナミックで楽しい映画だ。音楽、映画、芸術に対する渇望が衝突する舞台であるSXSWにぴったりな作品、と海外のエンターテイメントニュースサイト『ヒットフィックス』は評している。

 映画のタイトルにもなった「Big in Japan」とは、「日本でしか売れていない洋楽ミュージシャン」を指す俗語である。現在は、音楽業界以外でも、自国では無名でも日本では有名な人を指す語として使われている。

 最近では、アメリカの推理小説家デイビッド・ゴードンが、処女作「二流小説家」(原題:Serialist)により、日本で一躍有名人になった。

【ビッグ・イン・ジャパン】

 「二流小説家」は、2010年にアメリカで出版されたミステリー小説で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞候補作となった。小説の評判は良かったものの、自分自身の日常生活に特に変化はなかった、とゴードンはニューヨーク・タイムズ紙に語っている。後に日本語訳が出版され、彼の人生は思わぬ展開を見せた。

 「二流小説家」は日本でベストセラーとなり、数々の文学賞を受賞した。翻訳ミステリー大賞候補となったほか、「このミステリーがすごい! 」(宝島社)、「ミステリが読みたい! 」(早川書房)、「週刊文春ミステリーベスト10」(文藝春秋)の全てで1位にランクインした。2013年には「二流小説家シリアリスト」のタイトルで舞台を日本に移し、上川隆也主演で映画化された。

 ゴードンは、「二流小説家シリアリスト」の映画公開と二作目「Mystery Girl」の発表に合わせ、2013年7月に来日を果たした。ニューヨーク・タイムズ紙によると、空港では編集者とテレビカメラに出迎えられ、ジェームズ・ボンドが泊まるようなホテルに滞在し、どこに行ってもセレブ扱いだった。

 ゴードンは、日本文化や芸術の長年のファンでもある。自分の小説が日本で爆発的な人気を得たことに感慨を覚えているようだ。あたかも、学生の時に片思いしていた子が急に手紙を書いてきて、「私もあなたのことが好きなの」と告白された時のようだ、とニューヨーク・タイムズ紙に語っている。

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