関連記事
社長の“野望”!? トヨタの新型スポーツカー、海外紙の評価とは
トヨタ自動車は13日、アメリカ・デトロイトで開かれた北米国際モータショーで、スポーツデザインコンセプトカー「FT-1」を発表した。欧米各紙は、トヨタが久々に発表した“本物のスポーツカー”だと報じた。また、コンピューターゲームとコラボしたユニークな開発経緯も大きな注目を集めている。
【トヨタのスポーツカーへの回帰を示すコンセプトカーと評価】
CNETは、「今のトヨタは、カムリやカローラなどの堅実なセダンにばかり注力している」としたうえで、「トヨタの最もエキサイティングな車種は?それは実のところ、10年以上存在しなかった」と持論を展開。曲線を主体にした、ひと目でスポーツカーと分かるFT-1のデザインを、「トヨタの退屈なデザインの時代は、公式に終わった」と歓迎した。
ブルームバーグも、FT-1を「将来の高性能スポーツカーのデザインを先取りしたコンセプトクーペだ。トヨタのスポーツカーへの回帰を示唆している」と評価した。一方FT-1を基にした市販車の販売時期はおろか、販売するかどうかも現時点で明らかにされていないと報じている。
【FT-1の細かな性能は不明】
デトロイトで実車の展示とともにベールを脱いだFT-1だが、具体的な性能諸元は明らかされていない。
断片的な情報と外観から各メディアが報じたところを総合すると、FT-1はFR(前置きエンジン・後輪駆動)のスポーツ・クーペ。前面と側面に備えた大型のエアインテークがスポーティーな印象を強めている。曲面を主体にしたデザインと後部の可変式リアスポイラーなどから、優れた空力性能を持つことが予想される。また、特徴的なLEDヘッドライトが未来的印象を演出している。
エンジンは透明なパネルを通じて外から見ることができるが、その細かな形式や性能は不明だ。
ステアリング上の透明ディスプレイパネルがインテリアを特徴づけている。このパネルはドライバーの視線と同軸上にあり、視線を動かすことなく情報を捉えることができる配慮がなされているという。
CNETは、シフトノブとクラッチがないことから、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)など何らかのオートマチック・トランスミッションを搭載していると想定している。
【「グランツーリスモ6」でバーチャル版を無償配布】
実際の諸元がベールに包まれているからといって、FT-1が秘密主義に隠された車だということではない。実は、実車の発表と同時に、プレイステーション用のドライビングシミュレーションゲームソフト「グランツーリスモ6(GT6)」用のバーチャル版FT-1のデータが無償配布されている。ゲームを通じてその高性能を体感できるようになっているのだ。
英デイリー・メール紙は『トヨタがソニーの「グランツーリスモ」でテストしたコンセプト・カー、FT-1を発表』と題して、「ゲームとのコラボ」の部分に着目した記事を掲載している。
同紙が報じているところによれば、FT-1の開発にはGT6の開発会社が全面的に協力し、最終的なデザインの詰めやテストドライブにゲームを活用したという。
同社の豊田章男社長からコンセプトの最終的な承認を得る際にも、GT6が用いられたという。同紙によると、豊田社長は開発陣の要請で「実際のモデルを見る前に、GT6のフジスピードウェイでFT-1を運転」し、「実際に愛車のレクサスLFAで出した自身のベストタイムよりも速いラップで回ると、親指を立ててみせた」という。
「FT」とは、Future Toyota(未来のトヨタ)のことだ。デザインには2000GT、スープラ、セリカといった往年のトヨタの名車のイメージも重ねられているという。
ブルームバーグは、豊田章男社長が2009年の就任以来、スポーツカーやモータースポーツへの愛着を公言し続けている事実を紹介したうえで、FT-1コンセプトの狙いを分析した識者のコメントを掲載している。
「高性能スポーツカーをラインナップに加えることは、売上増よりもブランド力のアップを狙った動きだろう。FT-1は、トヨタの野望がどこにあるか、豊田社長がどこへブランドを連れて行きたいのかを示す」(産業アナリスト、エド・キム氏)
トヨタのアメリカでの売上は、2009-2010年のリコール危機に際して4期連続の減収となったが、2012年以降は回復している。その立役者となったのは、カムリ、カローラ、RAV4、プリウスといった経済性や堅実性で知られるモデルだ。
そうした中で、FT-1がデトロイトで発表された背後には、「スバルと共同開発したFRスポーツカー、サイオンFR-S(日本名トヨタ・86、スバル・BR-Z)の成功に自信を持ったのではないか」(CNET)という見方もある。
ただし、各メディアともFT-1もしくはその製品版が市販される可能性は少ないとし、「将来のトヨタ車のデザインに影響を与えるコンセプトカー」という評価が大勢だ。
■関連記事
・トヨタvs日産vsホンダ 東京モーターショーで見せたスタイルの違いとは
・「世界を変える」トヨタの燃料電池車に、海外紙も注目
・「トヨタのプリンス」豊田章男社長に海外紙が注目 その功績と今後の課題とは
・「大きすぎる」新国立競技場を著名建築家が批判 海外からも賛否の声
・絶好調トヨタ、しかしアジアの売上は停滞 海外紙は課題山積みのアジア戦略を指摘
・まるで馬? 感情を読み取る未来の車をトヨタが構想
・“ベトナムの英雄”効果でJリーグに「提携国枠」導入 その背景、狙いとは
・ツッコミどころ多々 海外の「日本のウェブデザインは奇妙」論
※この記事はNewSphereより提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク