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【電子部品業界 2014年の展望】スマホ、タブレット端末の低価格シフトにどんな対抗策を講じ採算悪化を食い止めるか
電子情報技術産業協会(JEITA)が2013年12月24日に発表した「電子情報産業の世界生産見通し」によると、「電子部品」の2014年の世界生産額は前年比5%増の20兆6895億円で、国内生産額は3%増の2兆4640億円、日系企業の生産額は4%増の7兆8497億円となる見通し。
日系企業の成長率では2013年の14%よりも減速し、電子情報産業の中では11%増の「ディスプレイデバイス」、6%増の「半導体」に追い越される見通しだが、生産額で1位の地位は譲らない。
だが、世界的に見ると生産額の増加見通しだけではわからない不安要素がある。2013年9月、アップルの新型iPhone「5s」「5c」の登場が世界的に注目され、日本の株式市場でも村田製作所<6981>、日本航空電子工業<6807>、フォスター電機<6794>、太陽誘電<6976>のようなアップルに部品を供給する電子部品メーカー「アップル関連銘柄」がもてはやされた。しかし、2014年になるとそのアップルおよび、「ハイエンド機種」のGalaxyを出しているサムスンの「2強」が、世界のスマホ市場に占めるシェアが相対的に低下するとみられている。
その理由は、新興国や途上国の市場で、iPhoneやGalaxyのようなハイエンド機種が高すぎて買えない所得層向けの低価格スマホが、中国や台湾の中小メーカーあたりから大量に供給されること。世界のスマホ市場は拡大するが、平均価格は低下し、アップルやサムスンも含めたスマホメーカーや、そこに半導体や部品を供給するメーカーの平均利益率も低下するという見通しがある。
それは「コモディティ化(汎用品化)」という、過去にテレビやパソコンがたどってきたのと同じ道である。オンリーワンの技術力を売り物にハイエンド機種で稼いできた日本の電子部品メーカーにとっては、大きな脅威になるだろう。
アップルやサムスンだけでなく、低価格スマホにも部品を供給しないと生産量は増やせないが、それをすると単価が低下して利益が取れなくなり、採算の悪化で「利益なき繁忙」に陥って苦しむというジレンマだ。
低価格化による採算悪化は、スマホだけでなくタブレット端末でも起きるとみられる。それをカバーするには、まだまだハイエンド機種で利益が稼げるような製品分野を開拓するのが一番なのだが、電子化の進む自動車が第一候補で医療機器も有力だと言われながら、いまだにスマホ・タブレット端末ほどの市場には育っていないのが現状である。
そのため、2014年の電子部品メーカーにとっての最大の課題は「採算悪化との戦い」になるだろう。日本勢でも、国内外で設備を増強して増産し、フル生産で出荷は絶好調なのに単価の低下による採算の悪化が止まらず、しかたなく工場ごと他社に売却するというケースが出てくるかもしれない。
このことは経営陣も懸念しているようで、たとえばアルプス電気<6770>の米谷信彦専務は決算説明会の席上でスマホ市場について「世界大手2社に加えて、中国メーカーも増えてきた。12月以降、供給過剰感が出て調整が入ると見る」と述べている。
下手をすると、2007年度の7兆円台から2013年度の3兆3000億円台へ、たった6年で生産額が半分以下になってしまった半導体業界の二の舞になってしまう危うさも秘めながら、2014年の電子部品業界は、うわべの好調さの裏側で、生き残りをかけた競争が激化しそうだ。
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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