日産の新型SUV「エクストレイル」がクリーンディーゼルを断念した理由

2013年10月26日 13:42

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記事提供元:エコノミックニュース

新型エクストレイル20X“エマージェンシー・ブレーキパッケージ”車4WD・3列シート仕様

新型エクストレイル20X“エマージェンシー・ブレーキパッケージ”車4WD・3列シート仕様[写真拡大]

 日産のSUVとして中核的存在でグローバルなベストセラー「エクストレイル」のニューモデル概要が発表され、日本向けには「新型エクストレイル」として、12月から販売される。同時に北米向けには姉妹車「ローグ」という名称でリリースされる。

 また、欧州には「エクストレイル」として来春以降順次新型を投入する見込みだ。新型は、日産とルノーが共同開発した新しいプラットフォームアーキテクチャーであるコモン・モジュール・ファミリー(CMF)を初採用し、世界190カ国以上で販売が予定されている。日本国内では年間3万台超の販売を、グローバルでは50万台/年を目指すという。

 エクステリアデザインは大きく変わった。フロントグリルに旧エクストレイルの面影を残すものの、直線基調だった旧型から曲線・曲面を活かしたグラマラスな造形が新型の特徴だ。ボディサイズは全長×全幅×全高4640×1820×1715mmと僅かに大型化され、ホイールベースも75mm伸びて2705mmとなった。

 車両レイアウトは多彩だ。これまでの定員5名の2列シートレイアウト車に加えて7人乗り3列シートモデルが登場。搭載するパワーユニットの中核となるのは、2リッター直列4気筒DOHC直噴ガソリンエンジン。組み合わせるトランスミッションはエクストロニックCVT。4WDシステムは日産伝統の「オールモード4×4」で、基本的には先代からのキャリーオーバーだ。FF車もラインアップする。

 しかしながら、世界初の電子制御システム「アクティブ・ライド・コントロール」と「アクティブ・エンジン・ブレーキ」、加えてステレオカメラで前方を監視して車線逸脱を回避しながら衝突を回避する「エマージェンシー・ブレーキパッケージ」など高い安全性を実現する電子システム搭載。

 今回の概要発表で「おやっ」と思われた方もいるはず。旧モデルでエポックメイキングな存在だったクリーンディーゼル・エンジン搭載モデルがラインアップから消えているのだ。これには、1年以内にエクストレイルにハイブリッド車が追加されるという事情がある。ハイブリッドシステムは1モーター&ツインクラッチ型でFF車となる見込み。

 日産によるとディーゼルをラインアップから外した理由として、「年間3万台ほどの車種に3種のパワートレーン搭載は非生産的で非効率的だ」とのこと。先日、「3本の矢」を選んだマツダ・アクセラと対照的な選択である。たしかに新型エクストレイルのガソリン車燃費は、社内値としながらも15.6km〜16.4km/リッターを達成。旧ディーゼル車の13.8km〜14.2km/リッターを大きく上回る。ハイブリッド車の燃費は当然これを凌駕するのは間違いない。加えて、日産では「ハイブリッドだからといってディーゼル車よりも高価になっては意味が無い」とコメント。期待が持てる。

 もちろん、欧州などではディーゼル車が主流となるだろうし、北米などでは2.5リッターがメインとなると思われる。仕向地別に細かな仕様でグローバル50万台を目指すということか。

 いずれにしろ、ハイブリッド車かミニバン、軽自動車しか売れない日本の現状を考えると、正しい判断と言えるかもしれない。(編集担当:吉田恒)

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