本に載らない現場のノウハウ-中小企業の人事制度の作り方:第14回 評価制度の検討(7)(3/3)

2013年6月11日 13:34

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■個人よりチーム重視
 もう一つ、業績が上がっている会社の評価制度の傾向としていえるのは、個人評価よりチーム評価を重視しているというところです。定量的な目標はチーム単位にとどめ、個人はチーム目標を達成するための取り組みや役割が問われます。個人の手柄にこだわり過ぎることは合理的でないと考え、個人へのインセンティブをあまり強調しない仕組みを取っています。

 もちろん突出した個人が活躍することもあるでしょうし、個人の結果の積み上げこそが会社全体の業績という面はありますが、会社、部門といった何人もの人が関わるチームで動く中では、それぞれの役割は異なりますし、複数の人が関わる事によるお互いの補完関係やシナジー効果があります。単純に1+1=2ではなく、個人単位までの明確な切り分けは難しいものです。

 これは、結果主義と言われるスポーツの世界であっても同じで、ホームラン王と首位打者のどちらがどの程度優れているとは誰も答えられないでしょうし、サッカーのような競技であれば、流動的な動きの中でなおさら数字に表れない要素が多く、誰がどれだけ貢献したかを一概に定量的に表現することは難しいでしょう。

 ある観点や基準で割り切って評価を決めることはできるでしょうが、誰もが同じように納得できるわけではなく、やはり不条理な部分、感情のしこりが残ります。

 個人評価とチーム評価のバランスが、評価制度の重要なポイントであること、業態による差はあっても、どちらかといえばチーム評価を重視する方が全体の業績につながっていることを意識した上で、制度設計に取り組んでいただくと良いと思います。

 次回は、給与制度についての解説を進めていこうと思います。

著者プロフィール

小笠原 隆夫

小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役

IT企業にて開発SE・リーダー職を務めた後、同社内で新卒及び中途の採用活動、数次にわたる人事制度構築と運用、各種社内研修の企画と実施、その他人事関連業務全般、人事マネージャー職に従事する。2度のM&Aを経験し、人事部門責任者として人事関連制度や組織関連の統合実務と折衝を担当。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表。

以降、人事コンサルタントとして、中堅・中小企業(数十名~1000名規模程度まで)を中心に、豊富な人事実務経験、管理者経験を元に、組織特性を見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発施策、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務の支援など、人事や組織の課題解決・改善に向けたコンサルティングを様々な企業に対して実施中。パートナー、サポーターとして、クライアントと協働することを信条とする。

会社URL http://www.unity-support.com/index.html

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