【話題】マイナンバー法成立で関連需要に期待

2013年5月31日 09:14

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■システム構築・運用やICカード関連に3兆円規模の特需発生

 社会保障・税共通番号法(通称マイナンバー法)が5月24日の参院本会議で可決、成立した。16年1月の稼働に向けてシステム開発・構築・運用関連、ICカード関連に特需が発生する。

 マイナンバー法は国民一人一人に12桁の個人番号を付け、年金・健康保険などの社会保障や税に関する個人情報を管理する制度だ。15年10月から個人番号通知カードの郵送が始まり、16年1月から市区町村の窓口で、個人情報が入った顔写真付きのICカード(個人番号カード)を希望者に交付する。16年1月のスタート時点では利用が年金照会などに限られるが、17年1月以降は順次、行政の窓口で所得証明書や住民票など添付書類なしに各種申請ができるなど利用範囲が広がる。

 国民側には行政手続きの簡素化や、自宅のパソコンで年金や健康保険などの情報を確認できるメリットがあり、行政側にとっては行政サービス関連の窓口業務を効率化でき、人件費圧縮やサービス向上に繋げるメリットがある。さらに年金や税の徴収の適正化、不正申告・受給の発見なども目的とし、消費増税時の給付付き税額控除などへの活用も検討されている。

 活用が進まなかった住民基本台帳ネットワークの二の舞を危惧する見方もあるようだが、マイナンバーとビッグデータを組み合わせることで医療・社会保障分野の効率性や利便性の向上に繋がるとの期待が大きい。ただし今回のマイナンバー法では、利用が社会保障や税など行政分野に限定されている。個人情報の漏洩や国家管理に対する国民の抵抗感が強いこともあり、医療情報や民間企業の利用については先送りされ、18年10月をメドに検討する。

 制度活用でどの程度の成果が得られるかについては不透明な部分もありそうだが、少なくとも16年1月の制度スタートに向けて関連業界には特需が発生することになる。国内IT市場は現在約14兆円規模とされるが、マイナンバー法関連で約3兆円規模の特需が発生する見込みとされている。

 主要案件としては、マイナンバーに関する情報流通の要となる政府の「情報提供ネットワーク」関連のシステム構築・運営、政府のシステムと自治体や企業のシステムを接続する「インターフェイス」関連のシステム構築・運営、個人が自宅のパソコンからアクセスして利用する専用サイト「マイ・ポータル」関連のシステム構築・運営、各システムに付随する「セキリュティ」関連のシステム構築・運営、そしてICカード関連などが想定されている。

■野村総研、伊藤忠テクノ、NTTデータ、凸版印刷など

 システム構築・運営関連では、SI・システム開発大手の野村総合研究所 <4307> 、伊藤忠テクノソリューションズ <4739> 、NEC <6701> 、富士通 <6702> 、NTTデータ <9613> 、DTS <9682> 、アイネス <9742> 、SCSK <9719> など、ICカード関連では凸版印刷 <7911> 、大日本印刷 <7912> などが中心となりそうだ。ただし周辺分野も含めてシステム構築に関する作業量を考慮すれば、下請け・二次受けとなる中小のSI・システム開発会社にもメリットがありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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