ソユーズ2.1aロケット、生物実験衛星ビオンM 1号機を打ち上げ

2013年4月21日 08:15

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記事提供元:sorae.jp

 Launch of Bion-M No, 1
Image credit Roskosmos

  ロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)は19日、生物実験衛星ビオンMの1号機を搭載した、ソユーズ2.1aロケットの打ち上げに成功した。

  ビオンM 1号機を搭載したソユーズ2.1aロケットは、バイコヌール現地時間4月19日16時00分(日本時間19時00分)、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地のLC-31/6から離昇、約9分後にビオンM 1号機を軌道に投入した。

  ビオンMはロシアのTsSKBプログレス社によって開発された衛星で、動物や植物を搭載し、宇宙で実験を行った後、地上に帰還させ回収することができる。ビオンの外見は、人類初の宇宙飛行に成功したガガーリンが搭乗したヴォストーク宇宙船にそっくりだが、実際ビオンは、ヴォストークを基に造られたゼニート偵察衛星やレスールス地球観測衛星から、さらに派生して開発された機体だ。したがって軌道上で生物を生きながらえさせ、また大気圏に再突入し、安全に帰還させる技術は折り紙付きであった。

  最初のビオンシリーズは1966年に1号機が打ち上げられ、1996年まで11機が打ち上げられ、搭載された生物は細菌から昆虫、魚類、そしてネズミやアカゲザルに至るまで多岐に割った。この一連の実験で、宇宙空間で生物がどのような影響を受けるかという事柄に関して多くの知見が得られ、それらの成果はミール宇宙ステーションや国際宇宙ステーションでの、宇宙飛行士の長期滞在でも役立てられているとされる。

  今回打ち上げられたビオンMは、そのビオンの最新型で、特徴的な回収カプセルに大きな変化は無いが、機体後部の機械船が大きく改良され、新しいスラスターが装備されている。これは一説には、ペルソナ偵察衛星やレスールスDK地球観測衛星に使われているものが流用されており、軌道の変更や、着陸地点の精密な制御が可能になると思われる。

  また太陽電池パドルが初めて装備され、そして生命維持装置も改良されており、より長期間に渡る宇宙実験が可能となった。具体的には、従来のビオンでは実験可能期間が最大3週間ほどであったが、ビオンMでは最大半年間にまで伸びている。運用される軌道も従来の200~400kmから575kmに上げられ、宇宙放射線の被曝量が増加し、より効果的な実験が期待できる。

  今回の1号機の打ち上げ時の質量は6,840kgで、ハツカネズミ45匹、スナネズミ8匹、ヤモリ15匹、カタツムリ20匹のほか、魚や植物、植物の種や微生物などが搭載されている。実験期間は30日が予定されている。

  また、ロシアのAIST 1、アメリカのDove 2、ドイツのBeeSat 2、3、SOMP、韓国のOSSI 1の、計6機のキューブサットが搭載されており、これらは軌道上でビオンMから放出される。

  ビオンM 1号機の地球への帰還は5月11日に予定されている。また2016年までに、あと2機のビオンMの打ち上げが計画されている。

 ■Космический аппарат «Бион-М» № 1 успешно выведен на орбиту
http://www.federalspace.ru/main.php?id=2&nid=20043


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