【アナリストの眼】円安進行好感して日経平均株価1万3000円台接近の可能性

2013年3月10日 16:20

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<相場展望>(11日~15日)

  来週(3月11日~15日)の株式市場は、前週末8日の海外市場で為替が一時1米ドル=96円台半ばまで円安が進行したこと、そして米国株式市場が上昇したことを好感して堅調なスタートとなりそうだ。為替が円安方向の動きを継続すれば、日経平均株価は1万3000円台に接近する可能性もあるだろう。

  前週(3月4日~8日)は、米国株式市場でダウ工業株30種平均株価が史上最高値を更新して続伸したことや、週後半に為替がモミ合いから脱して円安方向の動きを強めたことを好感し、日経平均株価は大幅続伸してリーマン・ショック前の水準を回復した。日経平均株価は2月28日から3月8日まで7営業日続伸して、7日間合計の上昇幅は1029円65銭(9.15%)に達した。このためテクニカル面の過熱感や高水準の信用買い残高に注意が必要となり、海外のリスク要因にも注意が必要となるが、当面は為替の円安進行を好感する動きが優勢だろう。

  為替に関しては、2月のG20財務相・中央銀行総裁会議を機に概ね1米ドル=92円~94円近辺でモミ合い状況となり、4日~5日の日銀新総裁・副総裁候補に対する衆院での所信聴取や6日~7日の日銀金融政策決定会合に対する反応も限定的だった。しかし7日の海外市場で1米ドル=95円台前半、8日の日本市場で1米ドル=95円台半ば、さらに8日の海外市場では米2月雇用統計が市場予想以上に強い内容だったことなどで、一時1米ドル=96円60銭近辺まで急速に円安方向に動いた。来週は重要経済指標に関してやや端境となることもあり、海外要因でリスク回避の動きを強めるかどうかが焦点になりそうだ。

  海外のリスク要因に関しては当面の警戒感が後退している。米国では3月1日に発動した歳出強制削減の影響は当面小さいという見方が優勢であり、3月27日に期限を迎える暫定予算失効についても2013会計年度が終了する9月末まで失効を延長する方向で調整が動き出している模様だ。5月の債務上限引き上げ問題も現時点では特に警戒感は見られない。一方では、前週末8日の米2月雇用統計で失業率が7.7%となって1月比0.2ポイント改善し、非農業部門雇用者数は23.6万人増加(1月改定値は11.9万人増加)となって市場予想の16.5万人も大幅に上回った。この結果を好感して米国株式市場は上昇し、為替もドル買い・円売りの動きを加速した。

  イタリアの政局混乱に対する注意も必要となるが、イタリアやスペインの国債利回りは落ち着いた状況である。中国の政治動向や経済指標に対する反応も鈍くなった。また北朝鮮の挑発的な言動という地政学リスクに対しても、現時点では特に警戒感を強める動きは見られない。

  市場は強気ムードが優勢であり、米国市場ではダウ工業株30種平均株価が1万5000ドル台を目指し、S&P500株価指数も史上最高値を目指している。日本市場も日経平均株価1万3000円台を目指す展開のようだ。ただし前週の大幅続伸の反動や強気ムードの落とし穴には注意しておきたい。

  注目スケジュールとしては9日の中国2月主要経済統計(PPI・CPI・鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資)、11日の日本1月機械受注、12日の日本2月消費動向調査、13日のユーロ圏1月鉱工業生産、米2月小売売上高、14日の米第4四半期経常収支、14日~15日のEU首脳会議、15日の米2月消費者物価指数、米2月鉱工業生産・設備稼働率、米3月ニューヨーク州製造業業況指数、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。その後は17日の中国全人代閉幕、19日~20日の米FOMC(連邦公開市場委員会)、そして注目の4月3日~4日の日銀金融政策決定会合などが控えている。(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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