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回復傾向の建設市場、新政権はこの勢いを波に乗せることができるのか
他の業界にもれず、昨年の震災により大きく揺らいだ建設業界。この建設業界につき帝国データバンクが、第2四半期上場建設会社62社を対象に、受注・業績動向を調査、発表した。がれき処分や除染作業などの復興需要により、受注高が判明した48社の受注高は合計で4兆2428億500万円と、前年同期比2.4%増に。しかし一方で、売上総利益は6割強の企業で前年割れとなっており、市場の回復傾向は見られるものの、必ずしも利益には繋がっていないようである。
同調査によると、受注高が判明した48社の中で、受注の内訳が判明しているのは39社。その内の6割強で官公庁工事が増加、7割弱で民間工事が増加しており、官であると民であるとに関わらず、建設市場は回復傾向が見られる。受注高の増減ランキングでは、第1位が福田組の60.9%増、2位が大豊建設の55.6%増、3位は東亜建設工業の53.1%増となっている。一方、受注高減少率のトップは森組で42.4%減となり、以下、東洋建設の40.4%減、26.1%減の戸田建設と続いている。
また建設会社の11月末までの倒産件数は、1829社と2011年度の同時点2064件より減少しており、中でも東北は、2011年6月から2012年8月まで1年3カ月間連続して倒産件数が前年同月日減少で推移しており、減少傾向が顕著だという。しかし同時に、労務費を中心とした建設コストの高騰が影響し、売上総利益を増加させた企業は半数にも満たないようである。中でも売上総利益減少率上位の戸田建設と銭高組は、売上総損失に転落するところにまで業績を悪化させている。
復興需要を主軸として回復傾向にある建設市場であるが、今回の調査対象となった企業の半数以上が売上総利益を悪化させていることからも、健全な拡大とは言えない状況にある。先の選挙で勝利した自民党は、公共工事の投資を積極化させる方針を明示しており、明るい材料が見える一方で、来年3月には中小企業金融円滑化法が終了するなど、マイナス要因も少なくない。新政権による経済政策は、建設市場を手始めに、全体の景気回復へと繋げることができるのか、注目の集まるところであろう。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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