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【編集長の視点】正真正銘の上方修正銘柄に早めの「クリスマス・プレゼント」期待=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
表現はどぎつくて恐縮だが、まさに死屍累々である。目を覆うばかりの惨状だ。発表がピークを超えた3月期決算会社の4~9月期(第2四半期、2Q)業績の発表動向である。業績下方修正のオンパレードであった。
それも中途半端な下方修正ではない。パナソニック <6752> は、黒字転換予想が大きく赤字転落して63年ぶりに無配に転落し、イビデン <4062> の3月通期純利益は、期初予想のわずか3%にまで激減してしまった。当然、パナソニックの株価は、ストップ安と売られ、イビデンは、わずか2日で10%安も急落して年初来安値まで突っ込んだ。
業績の下方修正はこの2社だけにとどまらない。みずほ証券リサーチ&コンサルティングの10月31日までの集計では、決算発表会社のうち31%の企業が業績を下方修正し、前年同期の21%から10%も悪化したのである。
ところがこの相次ぐ業績下方修正に株価が、どう反応したこといえば、パナソニック、イビデンなどの急落は、ごく一部の例外的なケースにとどまり、多くは悪材料出尽くし、織り込み済みとして逆行高したのである。これは、まさに今年2月の前3月期4~12月期(第3四半期)決算発表時と相似形である。このときも業績の下方修正銘柄はもちろん、再下方修正銘柄、再々下方修正銘柄まで飛び出したのに株価は逆行高、日経平均株価は年初来高値1万255円まで上昇した。
日本銀行が、2月13~14日に開催した金融政策決定会合で「バレンタイン・プレゼント」といわれた追加金融緩和策を発表、円高修正が進んで悪材料出尽くし感を強めて逆行高したである。今回も同様で、10月30日開催の金融政策決定会合では、資産買入基金の一段の増額が打ち出され、日銀の独立性をおびやし、バブルの再燃まで懸念させる日銀総裁と経済財政政策担当大臣、財務大臣が連名の共同文書さえ公表した。
これを受けて「バレンタイン・プレゼント」と同様に為替相場は、円安・ドル高が進行して下方修正した主力株は逆行高する展開となった。この円安・ドル高がこのまま推移するのか、逆戻しが起こるのかは、11月6日に投票日を迎える米大統領選挙の動向が、カギを握るとみられている。オバマ再選なら円高・ドル安、オムニー当選なら円安・ドル高との観測がしきりであり、早ければこの選挙結果が速報される、東京市場の7日後場は、日銀金融政策会合開催の10月30日と同様に思惑が錯綜することだけは間違いない。
その日銀の追加緩和策の公表が、30日大引け間際の14時46分まで伸び、またホンダの2Q累計決算・通期業績の下方修正が、フライングされて29日の昼休み中に突然発表されるなど、このところイレギュラーな情報開示の多いこともある昨今だ。これからの相場展開が、早めのクリスマス・ラリーが始まる「リスク・オン」となるのか、それとも往って来いで11月19~20日開催予定の次回の日銀金融政策決定でさらに追加緩和策を催促する「リスク・オフ」のままが正解なのかは、判断に迷うところである。
そうしたなかで、業績下方修正した銘柄の逆行高にだけが脚光を浴び、その分だけ割りの食っているのが、業績を上方修正した銘柄である。前記のみずほ証券リサーチ&コンサルティングの決算集計でも、15%の銘柄が上方修正しているのである。円高・ドル安、世界経済の減速と悪環境が続いたなかでも上方修正に踏み切った銘柄である。大統領選挙の動向次第で、為替相場が一定程度巻き戻されたとしても、その好業績自体には大きな変化は起こらないはずである。
そこで注目したいのが、業績上方修正銘柄でも、業績上方修正と同時に増配も発表した「正真正銘の業績上方修正銘柄」である。増配を公約することは、下期の環境がどのように変化に対しても対応力があると宣言したことと同じであるからだ。
代表株は、オリエンタルランド <4661> (OLC)(東1)である。確かに、年初来高値水準の1万円台で今3月期業績の上方修正と増配を発揮しても上値余地は限られるとの見方も少なくない。しかし、提携先のウォルト・ディズニーが、ルーカスフィルムを買収して「スターウォーズ」の強力キャラクターを入手しているのである。そのことを計算に入れて株価観測をしなければならないことはいうまでもない。
OLC以外にも東証1部銘柄で、業績上方修正と増配を発表した銘柄は、ザット数えて9銘柄にのぼる。やはりOLC同様にこの上方修正・増配とともに年初来高値追いとなった銘柄が多いが、ここは順張りを推し進め、日銀の「バレンタイン・プレゼント」にあやかって早めの「クリスマス・プレゼント」を期待したいところである。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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