帝人のアラミド繊維「テクノーラ」、火星探査機の着陸用パラシュートに採用

2012年8月29日 11:39

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帝人のアラミド繊維「テクノーラ」が火星探査機の着陸用パラシュートに採用(写真:帝人)

帝人のアラミド繊維「テクノーラ」が火星探査機の着陸用パラシュートに採用(写真:帝人)[写真拡大]

 帝人は28日、帝人テクノプロダクツ(本社:大阪市中央区)が製造・販売しているパラ系アラミド繊維「テクノーラ」が、昨年11月に打ち上げられた米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査機「キュリオシティ」の着陸用超音速パラシュートにおける、サスペンション・コード(吊り下げ用のコード)の素材として採用されたことを発表した。「キュリオシティ」は今月6日(日本時間)、火星大気圏への突入後に、同パラシュートで降下しながら2分以内に時速約1,450kmから時速約290kmまで減速し、その後無事火星に着陸した。

 この超音速パラシュートは、「テクノーラ」製のサスペンション・コードを80本装着しており、コードも含めると総重量約60kg、直径約15m、全長は16階建てのビルに匹敵し、これまでに製造されたパラシュートの中で最大のサイズ、最高の強度を誇る。

 NASAの計算によると、火星着陸時に同パラシュートが受けた重力は9G(地上生活時の重力の9倍)で、これは80本の「テクノーラ」製サスペンション・コードが27トンの重量に耐えたということになる。同コードは、実際に72.5トンの重量に耐え得る強度を備えており、さらに寸法安定性、耐熱性などの「テクノーラ」の優れた特性がNASAに高く評価されたことから今回の採用に至った。

 帝人が独自に開発し、1987年に生産を開始した「テクノーラ」は、産業用のロープやケーブル、光ファイバーケーブル、ゴムベルトやホース、コンクリートなど、幅広い製品の補強材として使用されている。

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