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■“使えない”、“使う気になれない”では意味がない。
ここまでのお話でおわかり頂けると思いますが、人事制度はそれを使って、機能させて初めて意味を持つものです。
私は人事制度というのは、企業にとっての自己管理のルールだと考えています。ダイエットや健康づくりに例えれば、人事制度は事前計画、トレーニングプログラムにすぎず、実際の効果を得るにはそれをどうやってこなしていくかに尽きます。
もし効果が出ないからと言って、トレーニングプログラムだけの見直しだけということはないはずです。やはり継続して取り組むことができなければ意味がないし、そのためには体力に見合ったプログラムと、続けていくための工夫が必要です。
人事制度もこれと同じです。「他社でやっている」「本に書いてあった」「こうあるべき」ではなく、自分たちの身の丈に合った目標に基づく制度、つまり継続した取り組みが可能な制度を考えて頂きたいと思います。
■本当の目的を見失わないこと
人事制度の最も重要な目的とは「重要な経営資源である“人材”を活性化する」ということで、その目的達成を仕組みの面で支援するということです。制度はあくまで道具であり、「使ってナンボ」のものです。
もう少し具体的にすると、例えば
・仕組みに則ってやることで個人差をなくし、公平さを保つ。
・マネジメント能力の不足を仕組みで助ける。
・人事制度の運用を通じて、人と向き合う習慣をつける。
・人材育成に対する意識を喚起する。
などということがありますが、これらがいつの間にか、本来の目的と置き換わってしまっている場合があります。
「公平さを意識しすぎて、画一的な冷たい対応や悪平等を生んでいる」「“これは決まりだから”と言って説明を省いてしまう」「制度運用がマンネリ化し、単なる作業と化している」など、決まった通りにこなすことが主眼になってしまい、それではかえって人材の活性化を妨げることになってしまいます。
これを防ぐには、常に状況を見ながら、それが制度の問題なのか運用の問題なのかを切り分け、それらに応じた対策を行っていくことしかありません。そしてその対策を考えるにあたっては、「人材を活性化する」という本来の目的を常に念頭に置いておく必要があります。
ともすれば「制度通りにやらせる」ことばかりが先行しがちな人事制度。「本来の目的が何なのか」はくれぐれも忘れないで頂きたいと思います。
次回からは、人事制度を作るプロセスについて、順を追ってお伝えしていこうと思います。
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