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■制度に期待し過ぎない
人事制度整備のきっかけとして見られるのは大きく二通りで、会社の規模拡大や組織化の必要性に伴って、新たなステップを考えての場合と、すでに運用している人事制度はあるものの、方向性が合わなくなった、思ったように機能していないなど、実態との不整合が生じてきた場合のいずれかです。
そんな中で特に中小企業の場合、制度を作ったり変えたりするということで、何かすべての問題が解決する、画期的に変わるなど、効果を過度に期待していることがあります。比較的歴史の浅い企業にも同じ傾向があります。
これは、多くの中小企業ではいろいろなことが属人的に動いていて、仕組み、制度を作って動かすという経験が必ずしも多くないという点があろうかと思います。出てきた課題に対して、その原因は「制度がないから」「制度が悪いから」と考え、「制度を直せば解決する」と捉えていることが多いと感じます。
特に人事制度の場合、対象としているのは「人」なので、最後の部分は個人の感情にまでつながってきます。制度で決まっているといったって、自分の役割や評価や給料について、それだけで納得できるわけがありません。
誰が評価したか、どんな説明をしたか、話す姿勢や態度、評価する側とされる側の人間関係、その他いろいろな要素によって、制度がもたらす効果は変わってきます。毎回機械的に同じように対応しても、反応は違ってきます。「人」が対象ということで、運用面に左右される要素が大きいのです。
人事制度は、できたところで初めてスタートになるという認識を持っておくべきでしょう。
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