本に載らない現場のノウハウ-中小企業の人事制度の作り方:第4回 中小企業の人事制度の目的-まとめ(2/3)

2012年7月13日 12:29

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■制度に期待し過ぎない
 人事制度整備のきっかけとして見られるのは大きく二通りで、会社の規模拡大や組織化の必要性に伴って、新たなステップを考えての場合と、すでに運用している人事制度はあるものの、方向性が合わなくなった、思ったように機能していないなど、実態との不整合が生じてきた場合のいずれかです。

 そんな中で特に中小企業の場合、制度を作ったり変えたりするということで、何かすべての問題が解決する、画期的に変わるなど、効果を過度に期待していることがあります。比較的歴史の浅い企業にも同じ傾向があります。

 これは、多くの中小企業ではいろいろなことが属人的に動いていて、仕組み、制度を作って動かすという経験が必ずしも多くないという点があろうかと思います。出てきた課題に対して、その原因は「制度がないから」「制度が悪いから」と考え、「制度を直せば解決する」と捉えていることが多いと感じます。

 特に人事制度の場合、対象としているのは「人」なので、最後の部分は個人の感情にまでつながってきます。制度で決まっているといったって、自分の役割や評価や給料について、それだけで納得できるわけがありません。

 誰が評価したか、どんな説明をしたか、話す姿勢や態度、評価する側とされる側の人間関係、その他いろいろな要素によって、制度がもたらす効果は変わってきます。毎回機械的に同じように対応しても、反応は違ってきます。「人」が対象ということで、運用面に左右される要素が大きいのです。

 人事制度は、できたところで初めてスタートになるという認識を持っておくべきでしょう。

著者プロフィール

小笠原 隆夫

小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役

IT企業にて開発SE・リーダー職を務めた後、同社内で新卒及び中途の採用活動、数次にわたる人事制度構築と運用、各種社内研修の企画と実施、その他人事関連業務全般、人事マネージャー職に従事する。2度のM&Aを経験し、人事部門責任者として人事関連制度や組織関連の統合実務と折衝を担当。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表。

以降、人事コンサルタントとして、中堅・中小企業(数十名~1000名規模程度まで)を中心に、豊富な人事実務経験、管理者経験を元に、組織特性を見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発施策、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務の支援など、人事や組織の課題解決・改善に向けたコンサルティングを様々な企業に対して実施中。パートナー、サポーターとして、クライアントと協働することを信条とする。

会社URL http://www.unity-support.com/index.html

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