スズキ、軽量で材料着色化に優れた自動車用ポリプロピレン樹脂材料を開発

2012年7月12日 10:41

印刷

画像:スズキ

画像:スズキ[写真拡大]

 スズキは11日、従来のポリプロピレン(PP)と比べて約10%軽量で材料着色化に優れた樹脂材料「スズキ スーパー ポリプロピレン(SSPP)」を開発し、7月11日に発売した「エスクード」の「スキッドプレート」に採用したと発表した。

 近年、自動車用樹脂部品に対して軽量化のニーズが高まっている。また、環境負荷物質低減のニーズも高く、樹脂に着色剤や光輝剤を予め混合した着色樹脂で成形し、無塗装のまま使用する材料着色化が進められている。従来の自動車用PP樹脂材料は、剛性と耐衝撃性を両立させるために、ベースとなるPP樹脂にタルクなどの無機充填材とゴムを添加したものが主流となっており、このタルク添加が重量の増加や樹脂の透明性劣化による発色性の低下要因になっていた。

 一方、SSPPは、タルクを添加せず、高剛性のベースPP樹脂にスチレン系の熱可塑性エラストマーのみを添加して剛性と耐衝撃性を両立させたことが特長。従来のPPと比べ曲げ剛性を同等としながら、タルク無添加のため重量を抑えることができ、同一形状部品で約10%の軽量化を実現した。さらに、材料の透明性が高まることで、材料着色化により優れた発色性が得られる。

 「エスクード」に装着した「スキッドプレート」は、SSPPを世界で初めて市販車に採用したもので、SSPPの高い発色性により、無塗装で高輝度のシルバーメタリック色を実現している。塗膜がないため、走行中の飛び石などで傷がついても目立ち難く、塗料から大気に排出される揮発性有機化合物(VOC)が発生しないため環境負荷を低減できる。

 SSPPは特許出願中の新技術であり、今後スズキは、SSPPを内装部品やバンパーなどの外装部品に用途を拡大していく。

関連記事