世界の主要経済指標(分析と市場の反応)7月5日分

2012年7月6日 16:15

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【7月5日の主要経済指標と市場の反応】

■5日の世界の主要株式市場は高安まちまち、外国為替市場はECBの利下げでユーロ売り

 5日の世界の主要株式市場は高安まちまちとなった。日本とアジアではECB(欧州中央銀行)理事会を控えて様子見ムードを強めた。欧州と米国ではECBの利下げを受けて材料出尽くし感が広がった。外国為替市場ではECBの利下げやスペイン10年債利回りの上昇でユーロ売りが優勢になった。

≪5日 日本≫

 日銀は各支店からの景気報告をまとめた「地域経済報告(さくらリポート)」を発表し、09年10月以来11四半期ぶりに9地域全ての景気判断を上方修正した。東日本大震災後の復興需要やエコカー補助金などを背景に内需が牽引した。ただしエコカー補助金終了などで先行きを懸念する見方も多い。

 三鬼商事が発表した6月末の東京都心5区の平均空室率は9.43となり、2カ月連続で過去最高を更新した。5月末は9.40%だった。新築大型ビルの開業が相次ぎ、既存ビルの空室が増加している。共益費を除く平均募集賃料は3.3平方メートル当たり1万6763円だった。5月に比べて34円上昇し2カ月連続上昇となった。

 日本株式市場は下落した。主要経済指標の発表はなく、ECB理事会、米6月雇用統計などを控えて様子見ムードを強めた。外国為替市場も概ね小動きだった。

≪5日 アジア・オセアニア≫

 豪5月貿易収支は2.85億豪ドルの赤字となった。4月の0.26億豪ドルの赤字に比べて赤字幅が拡大したが、対中国輸出が月間で過去最高を記録したことなどで、市場予想ほど赤字が膨らまなかった。

 アジアの主要株式市場は、ECB理事会を控えて様子見ムードも強く、高安まちまちだった。上海は景気減速懸念などで下落した。香港、シンガポール、韓国は上昇した。

 なお中国人民銀行(中央銀行)は日本時間5日夜、政策金利(預金基準金利と貸出基準金利)を6日から引き下げると発表した。約3年半ぶりの利下げとなった6月8日に続き、今年2回目の政策金利引き下げとなる。

≪5日 ユーロ圏≫

 英イングランド銀行(中央銀行)は現行の政策金利(0.50%)を据え置き、資産買入枠を500億ポンド増額すると発表した。政策金利据え置きは市場予想どおりだった。

 ECB(欧州中央銀行)は、政策金利を現行の1.00%から0.25ポイント引き下げて過去最低水準となる0.75%に、中央銀行の預金金利を現行の0.25%から0.25%引き下げて0.00%にすると発表した。またドラギECB総裁は記者会見でユーロ圏経済の先行きに慎重な見通しを示した。中央銀行の預金金利引き下げに意外感はあったが、政策金利引き下げ幅は予想どおりであり、それ以上の政策対応が打ち出されなかったことで、株式市場では材料出尽くし感や失望感が広がった。

 独5月鉱工業受注指数は111.7となり前月比0.6%上昇した。4月改定値の111.0、前月比1.4%低下(同1.9%低下から上方修正)に比べて改善し市場予想も上回った。市場の反応は限定的だった。

 スペイン政府が実施した中長期債入札では需要が堅調で目標上限の合計30億ユーロを調達した。10年債落札利回りは6.430%で前回(6月7日)6.044%から上昇した。このため10年債流通利回りも上昇した。

 フランスが実施した長期債入札では、需要が堅調で、落札利回りは前回に比べて10年債がやや上昇したが、7年債と12年債は低下した。

 欧州の主要株式市場は概ね下落した。前半は買い優勢の場面もあったが、ECBの利下げを受けて材料出尽くし感や失望感が広がり、下落に転じた。外国為替市場では、ECBの利下げやスペイン10年債利回り上昇などを受けて、ユーロ売りが優勢になった。

≪5日 米国≫

 米週間住宅ローン申請指数は前週比6.7%減少となった。前週の同7.1%減少に続いて大幅に減少した。新規購入向けローンは増加したが、借り換え需要が2週連続で大幅減少した。

 米チャレンジャー社が発表した米6月企業人員削減数は3万7551人となった。前月比で39.3%減少、前年同月比で9.4%減少となり、11年5月以来の低水準だった。5月は前月比66.7%増加していた。なお1~6月累計では前年同期比15.2%増加の28万3091人となった。

 米6月ADP雇用報告で民間部門雇用者数は前月比17.6万人の増加となった。5月改定値の同13.6万人増加(同13.3万人増加から上方修正)に比べて改善し、市場予想も大幅に上回った。

 米新規失業保険申請件数は37.4万件となった。前週改定値の38.8万件(38.6万件から上方修正)に比べて1.4万件減少し、市場予想以上の改善となった。4週移動平均は38.575万件となり、前週時点(改定値)の38.725万件に比べて0.15万件低下した。

 一連の雇用関連指標が改善したことで、6日発表予定の米6月雇用統計に対する期待感につながると同時に、量的緩和策第3弾(QE3)の後退観測も浮上し、強弱感が交錯する形となった。

 米6月ISM非製造業景況指数(総合)は52.1で、5月の53.7に比べて悪化し市場予想を下回った。景気の分岐点となる50を上回ったが、10年1月以来の低水準だった。

 米国株式市場はやや方向感に欠ける展開となり、主要株価指数は高安まちまちだった。ダウ工業株30種平均株価は前日比91ドル58セント下落す場面や、前日比17ドル48セント高とプラスに転じる場面もあった。ECBの利下げを受けて材料出尽くし感や失望感が広がったが、景気関連指標の改善が支援材料となった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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