「黒船」と「神風」の狭間で揺れる来年相場のテーマ株=浅妻昭治

2010年12月6日 17:43

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

日本は「黒船」で揺れ動き、「神風」で揺り戻すお国柄である。株式相場も、この国情を免れず相変わらず米国市場のコピー相場が続き、投資主体も外国人投資家主導型で推移している。

日本は「黒船」で揺れ動き、「神風」で揺り戻すお国柄である。株式相場も、この国情を免れず相変わらず米国市場のコピー相場が続き、投資主体も外国人投資家主導型で推移している。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

■選挙関連株が早手回しの浮上!

  日本は「黒船」で揺れ動き、「神風」で揺り戻すお国柄である。株式相場も、この国情を免れず相変わらず米国市場のコピー相場が続き、投資主体も外国人投資家主導型で推移している。日経平均株価は、その外国人投資家の買い越しをテコに1万円大台を回復し、その外国人投資家のなかには、オイルマネーも含まれているとの「神風」観測も根強く、師走相場の「掉尾の一振」への期待を盛り上げているところである。

  しかし、これを受け入れる国内投資家の動向はどうかといえば、投資主体別動向では個人投資家は売り越しである。外国人投資家の買いに売りをぶつける「逆張り」で、相変わらず先行きへの警戒感を緩めていないようにみえる。

  この警戒感はどこから由来するのか?「失われた20年」のトラウマ(心的傷害)か、円高再燃懸念か、欧州のソブリンリスク拡大への危惧か、中国の景気減速不安か、尖閣諸島問題や北朝鮮の砲撃事件に伴う地政学リスクか、それとも国内政局の不透明化か、数え上げ出したら切りがないのである。そのどれもが弱気材料として説得性に富んでいて、外国人投資家のように単純に割り切って買いとは強気になりきれないと推測される。

  そのなかで国内政局動向は、来年早々にも菅民主党内閣が、1月の通常国会をスムーズに乗り切れるか正念場を迎える。中国と北朝鮮は、国のリーダーが交代する時期に当たる。そうした権力の継承期には、今年起こった尖閣諸島沖中国漁船衝突事件や北朝鮮の砲撃事件などが頻発しないとも限らない。菅民主党内閣が、今度こそ手際よく処理することを期待したいが、その処理の基本となる日米同盟が万全かといえば、どうも雲行きが怪しい。

  例の米国の外交文書をすっぱ抜いた内部告発サイト「ウィキリークス」で、今後、日本関係の公電が公開されるようなら、日本の「非核三原則」や「武器輸出三原則」などの安全保障政策に密約締結などの重大な疑問が生まれる可能性もあるからだ。菅民主党内閣が、それを前自民党内閣の責任に転嫁するようなら、それこそ政局リスクである。

  来年は、この国政レベルに加えて統一地方選挙も実施される年になる。ちょっと早手回しだが、来年相場のテーマ株に浮上するはずの選挙関連株をマークしておくのも一法となりそうだ。オールドエコノミーの関連株のイムラ封筒 <3955> 、TOA <6809> 、グローリー <6457> 、ムサシ <7521> などのほか、ネット関連のマクロミル <3730> 、もしもしホットライン <4708> 、インテージ <4326> 、ヤフー <4689> 、サイバーエージェント <4751> 、楽天 <4755> などにも網を張りたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社 Media-IR)

【関連記事・情報】
神戸製鋼所の北米での自動車用ハイテンの展開=犬丸正寛の見聞記(2010/12/04)
『テーマなき個別買い相場』中心の展開へ=犬丸正寛の相場展望(2010/12/03)
相場は空腹と満腹の間で動く=犬丸正寛の相場格言(2010/09/30)
人も相場も好悪を愛でる(長所も欠点も共に愛する気持)=犬丸正寛の相場格言(2010/09/28)
株は物と違って買いと売りをセットで考えなくてはいけない=犬丸正寛(2010/09/27)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事