<米国>8月の新築・中古住宅販売件数:歴史的低水準で推移

2010年9月27日 21:49

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  9月23日に全米不動産協会から発表された8月の「中古住宅販売件数(※1下部に説明あり)」は季節調整済みの年率換算で413万戸になり、前月に比べて+7.6%となりました。4ヶ月ぶりの増加。また、今回の市場予想は410万戸でしたが3万戸上回る結果となりました。

  続けて、24日に米商務省から発表された8月の「新築1戸建て住宅販売件数(※2)」は季節調整済みの年率換算で28.8万戸になり、前月と変わらずでした。また、今回の市場予想は29.5万戸でしたが0.7万戸下回る結果となりました。

  アメリカ政府が景気対策の一貫として行っている住宅減税が4月末で期限切れとなり、新築・中古共に予想以上の下落。2009年1月から同制度により販売件数が大きく息を吹き返しましたが、それは中古住宅においてのみです。グラフを見ても分かるように、より価格の高い新築住宅に関してはとても息を吹き返したと言える状況ではありません。しかし、その中古住宅においても減税が終了したと同時にこの落ち込みようです。住宅販売件数は米国経済と密接な関係があるので、しばらくは米国経済も低調な推移を見せると考えられます。

  ※1その月に所有権の移転が完了した中古住宅件数。新築住宅販売件数が契約書への署名時点で計測されるのに対し、中古住宅販売件数は所有権の移転が完了した時点で計測されます。そのため、中古住宅販売件数は新築住宅販売件数よりも1~2ヶ月前の住宅市場の環境を表すものとなっており、やや速報性に欠けます。しかし、アメリカでは中古住宅の購入意欲が非常に高く、市場規模も新築の10倍強であるため、新築住宅販売件数と同様に重視されています。

  ※2その月に販売契約書への署名が完了した新築1戸建て住宅件数。住宅の購入と同時に家具や家電なども買い揃えられますので、単純に住宅購入が経済に与える波及効果は大きいです。さらに、アメリカ人の基本的な消費行動モデルが「購入した住宅を担保にお金を借りてそれを消費に回し、そのあと値上がりした住宅を売って借金を返す」というものであったため、住宅購入の需要を表す新築住宅販売件数はアメリカ経済の先行きを読む上で非常に重要な指標とされています。

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