乃木坂46世代交代を阻害する2つの要因とは?

2018年11月24日 12:07

印刷

 先日の川後陽菜の卒業発表で、当初36人からスタートした乃木坂の1期生は、半数を割り15人を残すのみとなった。

【こちらも】乃木坂46が22thシングルで見せた非情な決断

 当欄では、かねてより世代交代に苦労するアイドルグループが多い中、乃木坂46というグループは成功の可能性が高いと考えて注視してきたわけだが、その要因は、ビジュアル最強のお嬢様集団という、一種の口どけのよい衣を纏いながら、その中には、のどに突き刺さる小骨のような、どこかしら何かしらの違和感を覚えたことにある。

 実は、その小骨こそが、乃木坂の乃木坂らしさだと記者は考えている。

 口どけのいいだけのグループなら、一時的にはブレイクしても長続きはしない。この違和感が、「何だろう」という好奇心をくすぐり、ファンを沼に引きずり込むと同時に、ショートストーリーを大河ドラマに導くのだと思うのだ。

 生駒里奈、白石麻衣、橋本奈々未といった、芸能経験のないメンバーを軸に、衛藤美彩、柏幸奈、能條愛未、川後陽菜といった経験者をあえて干し気味のポジションに抑えるという形はAKBでもあったが、「周囲はライバルと思え」と言われたAKBとは対照的に、「AKBの公式ライバル」として作られた乃木坂は、残酷な選抜発表を毎回潜り抜けながらも、相互理解と自己研鑽を強めていく、独自の進化を遂げている。

 上京して、中学を転校したばかりの川後陽菜の登校に、深川麻衣が付き添っていたり、親元を離れて中学に通う和田まあやの授業参観に川村真洋が参加したり、引きこもりがちだった齋藤飛鳥を能條愛未と斉藤ちはるが盛んに遊びに誘うなど、ただの仲良しグループ以上に、親、あるいは姉代わりとなり、濃厚な関係を築いているのが特徴ともいえる。

 その伝統は続いており、今では和田がアンダーライブのリーダーになり、齋藤飛鳥が3期生の教育係になり、親友でもライバルでもない家族関係のような空間を作り上げていると思う。

 そういう意味においては、たとえ橋本奈々未が卒業しようと、西野七瀬が卒業しようと、能條愛未が卒業しようと、彼女たちが残した気風が色濃く残り、後輩たちがしっかりとそれを受け継ごうとしている以上、世代交代は成功していると評価できると思っているのだが、残念なことに、それを阻害する要因が2つ存在する。

 1つは、前回記事にした通り、ここ最近の運営の方針だ。

 くり返しになるが、メンバー全員の個人PVというのは、乃木坂の伝統であり、選抜だろうと非選抜であろうと、最初のチャンスは平等であるという形を崩してしまったのは、乃木坂の根幹を揺るがす愚策だ。結果で差をつけられるのは仕方ないが、チャンスだけは平等であった伝統は崩すべきではない。

 また、パフォーマンスのスキル軽視の度合いも酷くなってきているように思う。特に3期生では、個人仕事が忙しすぎて練習時間が取れないのか、大園桃子、与田祐希のダンスのミスは目立ってしまっている。

 例えば秋元真夏や斉藤優里はダンスや歌が下手だと言われているが、スタジオライブにおいて、大きく見劣りはしない程度には仕上げてきている。

 もちろん、まだ外仕事が今ほど忙しくない時期に、しっかりレッスンする時間があったからだろうが、それなら3期でも、ダンスセンスのある阪口珠美や、舞台でその歌声が「格が違う」とまで評価されている久保史織里を抜擢し、大園・与田をしっかり鍛えることもできただろう。そうすることで、大園・与田も、人気、実力ともに兼ね備えたエースとして成長することができるはずだ。

 そしてもう1つの阻害要因は、一部のファン……いや、アンチや厄介とまで言える存在である。

 「成長を見守る」というコンセプトを理解できず、歪んだ固定観念から抜け出すこともできないのに、メンバーを傷つけ、そのメンバーを応援するファンに不快感を与えることに存在意義を見出すしかない一部の人間によって、7年間育て上げてきた乃木坂の雰囲気が汚されることも増えてきた。

 23日には、4期生の集合写真が公開されたが、まだ名前やプロフィールも公開されていない彼女たちを品定めして、勝手なイメージを拡散したり、既存メンバーを(3期生メンバーまで含めて)老害扱いし、卒業しろと言いたてる者もいるようだ。

 繰り返すが、乃木坂46は、何物でもない、彼女たち自身の努力と成長で、世代交代を成功させつつある稀有なグループである(もちろん運営やスタッフの力もあってのことだが)。卒業する者も、残る者も、すべてのメンバーがしっかりと自分の生き方に胸を張れるように応援していきたいと心から願うものである。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事