NSCと山形大学がケミカル研磨による曲がる有機ELパネルを開発 車載用ディスプレイとして提供予定/2021年度に量産を目標

プレスリリース発表元企業:株式会社NSC

配信日時: 2019-01-17 11:00:00

株式会社NSC(所在地:大阪府豊中市、代表取締役:川久 慶人)は、平成29年度経済産業省サポイン事業(戦略的基盤技術高度化支援事業)※の支援を受け、山形大学 硯里研究室と共同で、高度化したケミカル研磨技術を用いたガラス基板ベースの曲率半径R100mmで大きく曲がる有機ELパネルを開発いたしました。高信頼性が求められる車載向け等で、曲げた状態で固定する用途における有機ELパネルを、安価に提供することが可能となります。
株式会社NSCがケミカル研磨の高度化を、硯里研究室が湾曲に対応する新たな封止構造を担当し、今回小判サイズ200×100mm、厚さ0.15mm、曲率半径R100mmの湾曲を可能にした有機ELパネルを試作。本試作品は、2019年1月16~18日に東京ビッグサイトで開催中の第11回オートモーティブワールドに出展しております。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/174958/LL_img_174958_1.jpg
曲率半径R=100mmのパネル

<出展概要>
日時:2019年1月16日~18日
場所:東京ビッグサイト東ホール ブース:E40-37 山形大学 硯里研究室


【本件のポイント】
●株式会社NSCは、山形大学硯里研究室とケミカル研磨技術を用いたガラス基板ベースの、大きく曲がる有機ELパネルを世界で初めて開発しました。
●車載用ディスプレイ等厳しい環境での用途向けに大きく湾曲した有機ELパネルを安価に提供することが可能となります。


【背景】
車載用ディスプレイは、映像の黒の締まりや、色鮮やかさから有機ELが望まれています。スマホ等ではすでにフレキシブルな有機ELが使われており、車載においてもインテリアに合わせ湾曲する要望がある一方、車載用途には厳しい環境でも耐える必要があります。しかしながら有機ELは水蒸気や酸素に対して敏感に劣化するため、水・酸素のパネル内部への侵入を厳重に抑制する必要があります。フレキシブル有機ELを達成するには、これまでに以下2つの方法がありました。

(1)基板として樹脂を用い樹脂上に無機薄膜からなる水分バリア層を多層積層する方法
→水分バリア性能をガラス並にするために無機薄膜を多層積層するため、非常に高価になる問題が発生します。
(2)薄膜ガラス(厚さ<0.1mm)を用いる方法。
→ガラスであるため水分バリア性能は非常に高いものの、その薄さから製造プロセス中に破損しやすいなどの問題が発生します。


【開発成果】
株式会社NSCは、大判のままケミカル研磨(化学研磨)する方式を用いたガラス基板の加工技術を保有する企業です。今回、株式会社NSCと山形大学硯里研究室は、ガラス基板をベースとした有機ELパネルのケミカル研磨技術の高度化により、安価で大きく曲がる有機ELパネルの開発に世界で初めて成功いたしました。本技術の特徴は、通常厚のガラス板に有機ELデバイス、湾曲に対応し得る封止構造を完成(板厚1.0mm)した後に、ケミカル研磨法を用いパネル総厚を0.15mmまで薄くし湾曲を可能とする点です。
この手法の利点は、有機ELデバイス部を作製する際、通常の厚板ガラスのハンドリングで良いため、薄板ガラスのように破損する恐れがなく、またケミカル研磨工程を導入するだけであるため、設備投資が少なく曲がる有機ELパネルが量産できる点です。加えて、ケミカル研磨は物理研磨と比較して微細な傷が入りにくく、本来のガラスの強度を保つことが可能であることも本技術の利点となります。


【今後の予定】
大判高度化ケミカル研磨技術の完成および車載環境への適合性の確保(2020年3月サポイン事業最終年度)
量産時期:2021年度(目標)


※ 平成29年度経済産業省サポイン事業(戦略的基盤技術高度化支援事業)
テーマ名「車載・屋外フレキシブル有機ELパネル用大型・高強度ケミカル加工と封止構造の開発」


【会社概要】
商号 : 株式会社NSC
代表者 : 代表取締役 川久 慶人
所在地 : 大阪府豊中市利倉1丁目1-1
設立 : 1971年3月11日
事業内容: ケミカル技術をベースとしたガラス、金属等表面処理および
生産ライン等の装置設計製作、排水処理事業
URL : https://www.nsc-net.co.jp


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