日本人の甘味への嗜好に関わる遺伝子多型を特定し、国際学会にて発表

プレスリリース発表元企業:株式会社ジーンクエスト

配信日時: 2018-10-23 15:00:00

株式会社ジーンクエスト(本社:東京都港区、代表取締役:高橋 祥子)は、日本人の甘味に対する嗜好と遺伝子多型に関する研究の成果を、国際学会American Society of Human Genetics 2018(開催地:アメリカ合衆国、開催期間:10月16-20日)で発表しました。


◆研究の背景
甘味は人にとって重要なエネルギー源である糖類に関わる味覚です。甘味への嗜好は人に生理的に備わった能力である一方、糖類の過剰摂取を引き起こすことがあるため、そのメカニズムを解明することは、生活習慣病予防においても重要と考えられています。これまでの研究で、甘味への嗜好は地域によって異なること、また遺伝的な要因が関わることが判明していましたが、アジア系集団を対象にしたゲノムワイドな研究は行われていませんでした。


◆研究成果と今後の展望
本研究では、甘味への嗜好と遺伝子との関係に新たな知見を得るため、日本人集団を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS解析)を行いました*。その結果、12番染色体上の「rs671」という遺伝子多型と甘味の嗜好に強い相関が見られました。この遺伝子多型はエタノールの代謝に関わるアルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子(ALDH2)上に存在し、酒の弱さや飲酒時に顔が赤くなる現象の原因となりますが、日本を含めたアジア地域に特徴的に分布しており、それ以外の地域ではほとんど見られません。アルコール摂取量を考慮した再解析の結果から、rs671多型と甘味への嗜好の相関に飲酒習慣が関与することが判明しました。
日本人では、酒に弱いタイプの多型を持ち飲酒習慣が少ない人ほど、甘味への嗜好が強くなる傾向があることが示唆されました。
本研究成果は味覚の地域差に関するメカニズムを明らかにする一助となるほか、糖尿病予防や肥満治療などにも応用できることが期待されます。

発表表題「Identification of 12q24 locus strongly associated with sweet taste preference in Japanese populations by genome-wide meta-analysis.」

*本研究は株式会社ジーンクエストとヤフー株式会社が共同で展開している遺伝子解析サービス、Yahoo! JAPAN - HealthData Labプロジェクトのデータを活用しています。

当社では今後も、研究によって生み出される成果を活かして、より信頼できる遺伝子解析サービスを提供し、遺伝子事業の発展に貢献できるよう取り組んでまいります。


■企業情報
社名 : 株式会社ジーンクエスト
所在地 : 東京都港区芝5丁目29番11号 G-BASE田町3F
設立 : 2013年6月20日
資本金 : 110,000千円(資本準備金含む)
代表者 : 代表取締役 高橋 祥子
事業内容: 個人向け遺伝子解析事業
URL : https://genequest.jp/


■ジーンクエストリサーチについて
「ジーンクエストリサーチ」は、国内外の企業、研究者等と連携し、主に遺伝子解析キットを通じて蓄積されたゲノムデータを活用し、遺伝子多型と体質、疾患に関する幅広い研究に取り組んでおります。研究活用に関して同意が得られたユーザーのデータを匿名化し、倫理審査委員会により情報の取扱い、提携先における利用目的等の承認を受けた上で、研究活用します。今後も、共同研究パートナー企業、研究者とともに、サービスと研究のシナジーを創出し、新たな価値の創出を目指し実現してまいります。当社では、共同研究の研究者、パートナー企業様を広く募集しております。


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