「経営」と「知的財産」の双方を理解し、架橋する新しい高度専門職 新資格「知的財産アナリスト」を創設

プレスリリース発表元企業:知的財産教育協会

配信日時: 2012-04-16 13:30:00

 知的財産教育協会(東京都千代田区、代表理事会長:棚橋 祐治)は、企業経営・ファイナンス・知的財産の専門知識を基礎に企業の戦略的経営に資する情報を提供できる専門人財として、新しく、「知的財産アナリスト」を資格として創設し、認定講座を開始します。

 この資格の創設により、わが国における無形資産投資を拡大し、無形資産大国の実現に貢献したいと考えています。


【知的財産アナリスト認定講座】 http://ip-edu.org/ipa


■知的財産と経営を架橋する人財の必要性
 経済白書(2011年7月22日)では、未曾有の大震災からの復興を見据え、わが国の経済戦略として災害にあっても「毀損」しにくい資産である無形資産への投資を加速させるべきという「無形資産大国への道」を提唱しました。白書ではそのような「無形資産投資」の前提として、その価値評価の重要性すなわち「無形資産の計測の重要性」も同時に指摘しています。

 企業の知的財産マネジメントにおいて、「経営」と「知的財産」を連動させる必要がある、という点には異論がありませんが、実践できている企業は大企業・中小企業を問わず、未だに少ないのが実情と言われています。この原因を分析した結果、企業経営・ファイナンス・知的財産という少なくとも3つの領域の専門性を持って「経営活動と知的財産活動を結びつけられる人財」、「知的財産の価値評価をできる人財」が世の中にほとんどいないことが大きな要因の一つである、という仮説に行き着きました。

 そこで、当協会では、2011年よりそのような人財の育成を目的とした養成講座を創設し、取り組んできたところ、現実の企業においてそのような人財の強いニーズがあることが判明しました。


■知的財産アナリストとは
 知的財産アナリストとは、企業経営・ファイナンス・知的財産に関する専門知識を有し、国内外の他社・自社の各種知的財産関連情報の収集・分析・評価・加工、知的財産あるいは企業の価値評価等を通じて、企業の戦略的経営に資する情報を提供できる特殊スキルを持つ職種のことをいいます。欧米では、“Intellectual Property Analyst”と表記され、例えばヒューレット・パッカードは実際にこの職種名で求人も行っています。

 このような専門人財が仮に「企業」の中にいれば、「経営」と「知的財産」の間、言い換えればジェネラリストの「経営陣」とスペシャリスト集団の「知的財産部門」のギャップを埋めるインターフェースとなり、「経営」と「知的財産」の連動を促進する重要な役割を担います。

 また、金融機関にいればこれまでオフバランスの資産としてほとんど考慮されてこなかった知的財産の価値(あるいはそれに伴うビジネスモデル)を適正に評価して、本来の企業価値をより適正に評価できると考えられます。
 さらに、弁理士・弁護士・公認会計士等、企業に様々な助言をする外部専門家がこのようなスキルを持てば、その企業に対して従来以上に的確かつ有効なアドバイスができると考えられます。

 ただし、複数領域の高度かつ広域の知見を必要とするため、基礎となりうる専門性を既に保有する所定の国家資格者(知的財産管理技能士・弁理士・弁護士・公認会計士等、一部に公的資格を含む)に認定対象者は限定されます。


■「知的財産アナリスト」を資格化する意義
 例えば、日本の企業内において、ジェネラリストである経営陣とスペシャリストである知的財産部門とのインターフェース機能は以前から不可欠な業務であり、企業・ビジネスのグローバル化に伴い、物理的資源に乏しく、知的財産を重視していかざるを得ないわが国にとって今後欠くことのできない人財となっていくと考えられます。

 しかしながら、これまでこのような特殊なスキルを有する人財には特別な呼称は確定していなかったのが実情です。このような特殊スキルを「資格」として認定する意義としては、まず、当該人財の必要性を「可視化・明確化」するとともに、そのようなスキルの「評価基準を確立」すること、さらには、このような人財の「地位の確立」に資するものと確信しています。


■知的財産アナリストの活躍の場
 知的財産アナリストは、高度な専門知識を基礎に企業の戦略的経営に資する情報を分析・提供できるため、その活躍が期待される場は、企業の経営企画部門、知的財産部門に留まらず、シンクタンク、金融業界、会計・経営コンサルティング業界にまで広がっています。

 具体的には、企業の経営企画部門あるいは知的財産部の戦略・情報部門の専門職、知的財産コンサルタント、シンクタンク研究員として活躍、あるいは銀行等の融資業務、証券会社等の投資業務における高度専門スキルとして役立てることが想定されます。


■どのような人が目指すべきか
 所定の有資格者のうち、企業の経営企画部門の方、企業の知的財産部門で情報関連業務を専門とされてきた方(例えば、サーチャーの方)、産業調査を担当するシンクタンクの研究員、経営コンサルティング会社のコンサルタントの方、銀行・証券・保険会社等で企業の経営状態・将来性を分析・評価する必要のある方、知的財産コンサルティング業務や価値評価を行う弁理士の方(知的財産鑑定書の作成等)、無形資産の時価評価やM&A業務を行う公認会計士の方等が身に着けるべき特殊スキルと考えられます。


■「知的財産アナリスト」資格認定の方法
 2011年から実施してきた「知的財産アナリスト養成講座」において開発・検証を重ねた審査基準に基づき、今後実施する「知的財産アナリスト認定講座」終了後に行う「認定試験」に合格した者を「知的財産アナリスト」として資格の認定を行います。なお、本認定試験は、講座を全科目(免除科目を除く)受講した者が受験できます。


【知的財産アナリスト認定講座・概要】
講座名 :知的財産アナリスト認定講座
主催  :知的財産教育協会

講座内容:
●「企業戦略」
講師:塚越 雅信氏(インクタンク・ジャパン株式会社 代表取締役社長)

●「知的財産戦略」・「知的財産法」
講師:鮫島 正洋氏(内田・鮫島法律事務所 弁護士・弁理士)

●「知的財産調査」
講師:酒井 美里氏(スマートワークス株式会社 代表取締役)

●「知的財産情報戦略」
講師:山内 明氏(株式会社三井物産戦略研究所 知財戦略室 室長 弁理士)

●「知的財産ファイナンス」
講師:長谷部 智一郎氏(デロイト トーマツ ファイナンシャル アドバイザリー株式会社 知的財産グループ シニアヴァイスプレジデント 公認会計士)

●「まとめ(ケーススタディ)」
講師:小林 誠氏(デロイト トーマツ ファイナンシャル アドバイザリー株式会社 知的財産グループ ヴァイスプレジデント)

認定試験:学科試験(知識の確認試験)、実技試験(レポート課題)

なお、本認定試験は、講座を全科目(免除科目を除く)受講した者が受験できます。

受講資格:弁護士/弁理士/知的財産管理技能士(3級を除く)/技術士
     公認会計士又は会計士補/税理士/米国公認会計士(CPA)
     銀行業務検定合格者
     (法務・財務・税務・信託のいずれか。ただし、3級及び4級を除く)
     中小企業診断士/証券アナリスト


知的財産アナリスト認定講座の詳細・申込はこちら
【知的財産アナリスト認定講座】 http://ip-edu.org/ipa


<関連サイト>
知的財産管理技能検定ホームページ: http://www.kentei-info-ip-edu.org/
知的財産教育協会ホームページ  : http://ip-edu.org/

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