2015年度日本育種学会賞受賞について

プレスリリース発表元企業:サッポロホールディングス株式会社

配信日時: 2016-03-22 11:00:00

~1992年以来、3度目の受賞~

 サッポロホールディングス(株)のグループ企業であるサッポロビール(株)は「リポキシゲナーゼ欠失ビール大麦育成グループ」の中核メンバーとして、このたび一般社団法人日本育種学会より「リポキシゲナーゼ欠失変異を利用した高品質ビールオオムギ品種の育成」について、2015年度日本育種学会賞を受賞しました。
 同賞は「育種に関する研究において注目すべき業績をあげた会員に授与」されるもので、1953年から続く、権威ある賞です。大麦関連での民間への学会賞授与は「成城17号ほか醸造用大麦品種の育成」(1976年・当社の単独受賞)、「醸造用大麦縞萎縮病抵抗性高品質品種の育成」(1992年・当社を含む研究グループで受賞)以来、3度目の快挙となります。
 また2014年には、当社研究員の飯牟礼 隆(いいむれ たかし)が「プロテオーム解析に基づくビールオオムギ品質選抜法の開発」について育種学会奨励賞(Young Researchers Award)を受賞しており、当社の育種に関する取り組みを継続して評価いただいています。
 なお、2016年3月21日(月・祝)に開催された日本育種学会総会(於:横浜市立大学)で学会賞を授与され、受賞講演をおこないました。
 当社は、他企業や大学と連携しながら今後もビール原料に関する育種・研究開発力を磨き、魅力ある商品展開に活かしていきます。

                          記


1. 賞題
2015年度日本育種学会賞

2. 受賞論文表題
「リポキシゲナーゼ欠失変異を利用した高品質ビールオオムギ品種の育成」

3. 受賞グループ
リポキシゲナーゼ欠失ビール大麦育成グループ
・岡山大学
・サスカチュワン大学(カナダ)
・アデレード大学(オーストラリア)
・サッポロビール株式会社

4. 受賞業績概要
ビール醸造に使用される麦芽の原料である「大麦」に由来する脂質の酸化は、ビールの泡持ちや香味耐久性に悪影響を及ぼすことがわかっています。その改良を目的として、当社は岡山大学と共同で、天然の大麦遺伝資源から、脂質酸化を触媒する酵素リポキシゲナーゼ-1(以下LOX-1と表記)のないLOXレス大麦を探索しました。
この性質をビール大麦の品種交配で導入するには、栽培性や品質面で多くの課題に直面しましたが、2001年にカナダのサスカチュワン大学と共同でLOXレスの性質をもつ高品質なビール大麦の開発を開始するに至りました。
その後、各地に適応したLOXレス大麦の開発と品種登録出願を行い、当社独自の「協働契約栽培」による調達展開を進めることで、北米での栽培は商業ベースにまで拡大しています。さらに世界主要産地への普及を目指し、現在、欧州でも同様のプログラムを進めています。
 LOXレス麦芽は、ビールの泡持ちや香味耐久性を向上させる「旨さ長持ち麦芽」として、当社の基軸ブランドである「サッポロ生ビール黒ラベル」や、4月12日に数量限定で発売する「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」に使用しています。(注1)

(注1)「サッポロ生ビール黒ラベル エクストラブリュー」には「旨さ長持ち麦芽」を100%使用、「サッポロ生ビール黒ラベル」には一部使用。

【参考情報】

1.「LOX-1」とは
「LOX-1」は脂質酸化酵素のひとつであり、大麦中に含まれる。ビールの製造工程中に脂質を酸化し、ビールの泡持ち低下や老化臭(当社では、ビールの保存中に発生する臭いを「老化臭」と呼ぶ)の原因となる物質を生成する。
2.「LOXレス大麦」の品種改良とは
「LOX-1」を持たない系統にビール原料用大麦を交配することで、ビール原料としての資質を持ち、かつ「LOX-1」を持たない品種を作り出す。当社では、数千系統もある大麦の中から「LOX-1」を持たない系統のビール大麦を効率良く選抜するための遺伝子分析方法「DNAマーカー」(特許出願済)を独自で開発した。

3. 品種登録とは
農産物の品種登録は、通常各国の農林水産省に当たる国家機関に申請し認可を受けなければならない。申請には、その気候に合った品種であることを確認するため、耐病性、採算性(収穫量)栽培性など、数年にわたる現地での試験栽培が必要となる。

4.「LOXレス大麦」の品種登録状況
2008年に北米初のLOXレス品種「CDC PolarStar」として品種登録出願。その後、本品種の普及を進め、現在では17千ヘクタール(2013年度)もの大規模な栽培実績に到達した。また豪州でもアデレード大学と共同で豪州初のLOXレス品種「SouthernStar」を2013年に協働契約栽培を開始。同年、日本でも国内初となるLOXレス品種「札育2号」を出願した。現在は欧州でも同様の取り組みを進めている。

5.「LOXレス大麦」の優位性
脂質酸化酵素のひとつ「LOX-1」を持たないため、ビールを保存した際の老化臭の発生や泡持ちの低下を抑える効果が期待できる。

6.協働契約栽培について
サッポロビール(株)では2006年1月以来、ビール類に使用する麦芽・ホップはすべて協働契約栽培という独自のシステムにより調達している。安全・安心、かつ、厳選された良質な麦やホップを安定的に調達するため、産地、品種、生産者からこだわり、フィールドマンと呼ばれるサッポロビールの社員(麦やホップの専門家、原料技術者)が現地に直接赴いて、栽培から加工管理にいたるまで生産者や製麦会社、ホップ加工会社と協働で畑からつくりこんでいくシステム。使用原料の生産地、生産者、栽培方法などを明らかにすることで「生産者の顔が見える原料」を使用した信頼できる商品を製造し、安心して購入いただける商品を提供している。
                                                 以上
〈消費者の方からのお問い合わせ〉
サッポロビール(株)お客様センター
Tel:0120-207800

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