再生医療のための細胞培養に必要な細胞外マトリックス「cellnest(セルネスト)」を用いた画期的な研究成果 骨欠損部に移植することで骨再生能力を大幅に高めることに成功

プレスリリース発表元企業:富士フイルム株式会社

配信日時: 2016-03-17 14:00:00

富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、再生医療のための細胞培養に必要な細胞外マトリックス(*1)「cellnest ヒトI 型コラーゲン様リコンビナントペプチド」(*2) (以下、「セルネスト」)を、ラットの頭蓋骨欠損部に移植することで、骨の再生能力を大幅に高めることに成功しました。今後、骨再生の中でも、特に医療ニーズの高い歯槽骨(*3)の再生などへの活用が期待できます。

【研究の背景】
骨の欠損治療には、他の組織に浸食されないように骨欠損部に新たな骨が形成されるためのスペースを確保することと、骨芽細胞(*4)を集積させ新たな骨の再生を促すことが必要となります。この治療には、骨補填剤が用いられますが、既存の骨補填剤ではスペース確保と骨の再生促進という2つの課題を解決することができませんでした。特に歯科領域においては、抜歯部位に周囲の歯肉組織が侵入し、かつ抜歯部位の歯槽骨が溶けて吸収されやすく、インプラント治療を行うためには、スペースの確保と骨再生促進の2つの課題を同時に解決することが必要とされてきました。
富士フイルムは、長年の写真フィルムの研究で培ってきたコラーゲン技術により開発した細胞外マトリックス「セルネスト」を骨再生に応用しました。「セルネスト」は、ヒトI型コラーゲンをモデルとして、遺伝子工学を用いて創製した人工タンパク質で、細胞の表面に存在するインテグリン(*5)との高い接着性を持ちます。今回、「セルネスト」の凍結乾燥体を、高度なエンジニアリング技術を活用して架橋(*6)することで、生体内での分解速度を最適化したものを作製し、さらにそれを顆粒状にして骨欠損部に移植することで、以下の研究成果に繋げました。
◆研究成果等の詳細についてはこちらのWebページをご覧下さい。
  ⇒ http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1058.html?link=atp

*1 細胞の外側にあるコラーゲンなどのタンパク質。細胞と細胞の間を満たし、生体組織を支持するだけでなく、細胞の増殖、分化などの調整にも重要な役割を果たしている。
*2 遺伝子工学を用いて酵母細胞に産生させた人工タンパク質。研究用試薬として、2014年12月より発売。コラーゲンは動物の結合組織を構成する主要タンパク質で、ヒトI型コラーゲンは骨や皮膚などに存在し、ヒトの全コラーゲンの95%を占める。
*3 顎骨の中で、歯を支える役割を果たしている部分の骨。
*4 骨組織において、骨形成を行う細胞。
*5 細胞外にあるコラーゲンやほかのマトリックス分子に対する受容体。細胞の表面に存在し、体内や体外から刺激を受け取り、細胞の基質への接着、遊走を担う。
*6 タンパク質などを熱や光で結合させ、物理的・化学的性質を変化させる反応。

<関連リンク>
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