ガザ地区への物資搬入1カ月超停止、ユニセフ「国際人道法に違反、搬入許可を」【プレスリリース】

プレスリリース発表元企業:公益財団法人日本ユニセフ協会

配信日時: 2025-04-07 17:45:53



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がれきが散乱する中、わずかな食料を口にする2歳のアルマちゃん(パレスチナ、2025年3月22日撮影) (C) UNICEF/UNI767014/Nateel

【2025年4月5日 アンマン(ヨルダン)発】
2025年3月2日以降の支援物資の搬入停止により、ガザ地区の100万人の子どもに深刻な影響が及んでいます。この現状を受けて、ユニセフ(国連児童基金)・中東・北アフリカ事務所代表のエドゥアルド・ベイグベデルは、敵対行為の停止と停戦の再開および人道支援の搬入許可を訴えました。
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3月2日以降、ガザ地区への支援物資の搬入は一切許可されていません。これは戦争が始まって以来、最も長い期間、支援物資の輸送が遮断され続けていることを意味します。その結果、食料、安全な水、避難する場所、保健医療に関する物資が不足しています。こうした必要不可欠な物資がなければ、栄養不良や疾病などが急増し、防げたはずの子どもの死が増えることになるでしょう。

ベイグベデル代表は次のように述べました。「何千ものパレットに載せられたユニセフの支援物資が、ガザ地区に搬入されるのを待っています。これらの支援物資のほとんどが命を守るための物資であるのに、命を守る代わりに倉庫に留め置かれています。すぐに搬入が許されなければなりません。これは選択や慈善ではなく、国際法に基づく義務なのです」

栄養不良のケアを受けている子どもは、深刻なリスクにさらされています。3月18日以降、避難命令や爆撃により、外来治療を行っているすべての施設の15%に当たる、21 カ所の治療センターが閉鎖されました。これらの施設を頼りにしていた350人の子どもは今、栄養不良状態の悪化に直面しており、命を落とす可能性さえあります。


[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2502/5176-2502-a34316184ff9ee164df3b7915a661cbd-1536x1083.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
ガザ市内の学校で家族とともに避難生活を送り、食事の支度を手伝う12歳のアリーンさん(パレスチナ、2025年3月20日撮影) (C) UNICEF/UNI766893/Nateel
食料備蓄が少ない環境において子どもの成長に欠かせない乳児用補完食が、ガザの中部と南部で底を尽きました。すぐに使える乳児用液体ミルク(RUIF)は、400人の子ども1カ月間分の量しか残っていません。 ユニセフは、生後6カ月未満の乳児約1万人が補助食を必要としていると推定しており、RUIFがなければ、安全でない水で溶いたミルクなどの代用品を、家族が使わざるを得ない状況に追い込まれる可能性があります。





ユニセフは、現在も続く敵対行為と大規模な避難のために、栄養支援に加え、メンタルヘルスケアおよび心理社会的支援、地雷教育、子どもの保護のケースマネジメントも縮小せざるを得なくなりました。

停戦期間中、ユニセフは安全な飲料水を増やすため、重要な井戸や給水所の修復を開始しました。停戦が崩壊したため、多くの井戸や給水所は修復されないまま、あるいはさらなる被害の危険にさらされたままの状態です。ガザ北部では現在、多くの家庭が給水トラックに頼っています。ガザ中部および南部地域では、南部の海水淡水化プラントへの電力供給が停止されたため、水の処理能力が85%も減少しました。また、主要な給水パイプラインが損傷し、修理もできない状態です。40万人の子どもを含む100万人の人々が使える飲料水は、1人1日当たり16リットルから、わずか6リットルに激減しました。今後数週間のうちに燃料が底をついてしまった場合、1人1日当たり4リットル以下にまで落ち込み、家族は安全でない水を使わざるを得なくなり、特に子どもたちの間で、疾病が集団発生するリスクが高まるでしょう。

この支援物資の搬入停止によりユニセフは、障がいのある1,000人の子どもに、レクリエーションキットを届けることもできなくなっています。

[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2502/5176-2502-c73ec9f3bc377e91ab38862852567221-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
爆撃によってがれきと化した、ガザのジャバリア難民キャンプの様子(パレスチナ、2025年3月21日撮影) (C) UNICEF/UNI766940/Nateel
「ガザ地区の100万人以上の子どものために、イスラエル当局に対し、国際人道法上の義務に従い、最低限、人々の基本的なニーズが満たされるようにすることを強く要請します。これには、家族が生き延びるために必要な、食料、保健医療に関する物資、その他の必要不可欠な物資が供給されるよう確保する法的責任も含まれます」(ベイグベデル代表)



非常に困難な状況にもかかわらず、ユニセフとそのパートナーは重要な役割を果たしています。
・ガザ北部地域で新生児への保健医療サービスの再開
・新生児150人の命を守るための呼吸器機器21台の提供
・数十万人への飲料水へのアクセス拡大
・栄養不良への対応―7,800人以上の2歳未満の子どもに、すぐに口にできる補助食品(RUCF)が提供され、3万3,500人以上が急性栄養不良の検査を受けました。
・家族との再会支援-避難命令や激しい空爆により離ればなれになっていた300人以上の子どもが、両親と再会しました。

ユニセフは当事者に対し、敵対行為の停止と停戦の再開を引き続き求めます。 人道支援物資および商用物資のガザ地区への搬入と、地区内での自由な輸送が認められなければなりません。病気の子どもやけがを負った子どもは、治療のために地区外へ搬送されなければなりません。子どもや支援従事者を含む民間人、および残っている必須インフラは守られ、人質は解放されなければなりません。

ユニセフはまた、影響力を持つ国々に対し、紛争当事者に対して影響力を行使し、紛争を止め、国際法の遵守を担保するよう求めています。これには、武力紛争の影響を受ける子どもに対する保護が含まれています。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp

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