一般家庭用レンジフード国内シェアNo.1※1のFUJIOH※2 東京大学と教室の空気質と温熱環境の最適化に関する共同研究結果を発表

プレスリリース発表元企業:富士ホールディングス株式会社

配信日時: 2024-12-12 11:30:00







窓開け換気の最適化により、子供たちに快適な学習環境を提供する方法を提案

 富士工業株式会社(神奈川県相模原市/厨房機器製造・販売/代表取締役社長 柏村浩介 以下、FUJIOH)と東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の谷口景一朗特任准教授は、教室の窓開け換気によって空気質と快適性を両立させる方法について共同研究論文を発表しました。この研究は子どもたちに窓開け換気によって安心で快適な学習環境を提供したいという思いから神奈川県立大船高校、東京大学、FUJIOHの3者による産学連携として実施しました。 
※1 富士工業グループは、一般家庭用レンジフード供給台数国内シェア No.1。(2021 年 4 月 東京商工リサーチ調べ ODM 生産品含む)
※2 FUJIOH は、富士工業グループの企業ブランドです。

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検証を行った教室

■研究成果の要点
 この研究は温熱環境と換気の最適化を行い、学習環境における Indoor Air Quality (以下、IAQ)の最適化を目指すものです。温熱環境・換気のシミュレーションの結果と、実際の教室での窓操作(指定窓の開閉)を組み合わせることで、多くの学校環境にて直面しているIAQと温熱環境の問題を解決できる可能性を示しました。今後は、センサデータの可視化なども活用して、さらに効果的なIAQ最適化システムを検討していきます。

■研究の背景
 学校建築における空気質の確保は重要な課題です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以降、教室の換気の重要性が再認識され、感染症対策と快適な学習環境の両立が求められています。しかし、日本の築年数の経過した学校建築の多くは機械換気設備がないため、窓開け換気に頼らざるを得ません。近年の猛暑や極端な気象現象により、気候変動に対応した換気・空調システムの必要性が高まっています。適切な換気は感染症対策だけでなく、室内空気汚染の防止にも重要で、児童・生徒の健康を守るためにも空気質の管理が不可欠です。ただし窓開け換気を行うと、空調で整えた快適な空気を屋外に排出してしまうため、エネルギー消費が増加します。そのため、省エネルギーを考慮しつつ窓を開けて自然換気を適切におこなう方法を整備することが求められます。

■研究概要
 まず2022年度より神奈川県立大船高校の協力の元、対象教室内外の複数地点で以下の項目について実測調査をおこないました。
   〇温度   :在室者快適性および空調エネルギーへの影響検証のため
   〇湿度   :在室者快適性影響検証のため(体感温度、熱中症リスク影響)
   〇CO2濃度:学習環境向上のため(眠気、倦怠感、集中力散漫など)

 その後、Computational Fluid Dynamics解析 (以下、CFD解析)では、外部に面する教室の窓に加えて廊下に面する教室の窓や外部に面する廊下の窓の開閉についても考慮して、冷房時・暖房時の双方について、開ける窓の枚数や位置、開ける時間を変更しながら教室内の温熱環境分布とCO2濃度分布を予測し、窓開けの最適な運用方法を示すパレート解を導出しました。パレート解を教室で実施し、温度・湿度・CO2濃度を実測することで、CFD解析結果の有効性を確認しました。
センサー提供:株式会社マクニカ

■主な発見
今回の大船高校のケースでは教室の対角の窓を休み時間ごとに(最大10分)開けることの有効性が
CFD解析、実測値、両方から認められました。

●窓・ドア操作の指示をしなかった場合



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●ランダムに窓を開けた場合



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●教室の対角の窓を休み時間ごとに(最大10分)開けた場合



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①室内空気質と温熱環境のトレードオフ
ランダムに窓開けをおこなう自然換気のみの場合:IAQ・PMVに、悪影響を及ぼす。
エアコンなどを使用し、温熱環境を優先して窓を閉め切りにする場合:IAQ・PMVに悪影響を及ぼす。
具体的には、知的生産性の低下や眠気の増加などの悪影響が挙げられます。

②窓・ドア操作(指定の窓・ドアを開ける)の有効性
CFD解析の結果を元に最適な窓・ドアを指定し、換気をおこなうことで、
IAQ・PMV・CO2濃度への状態を基準値内に維持しながら温熱環境も一定の快適性を保てる。

今後、さらに研究を進めることで、以下が改善される可能性があります。
・学習環境の空気質と温熱快適性が向上し、生徒の集中力や学習効率が高まる。
・教室内のCO2濃度を管理することで、生徒の健康を向上させる。
・冷暖房効の向上により、学校のエネルギーコストが削減される。
・新しい学校建築や既存校舎の改修設計時により効果的な自然換気システムを導入できる。

■東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の谷口景一朗特任准教授のコメント
2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以降、学校建築における空気質の確保と温熱環境の改善は、古くて新しい問題となりました。目には見えない空気の問題だからこそ、子供たちにも興味を持ってもらいながら継続的に実施した本研究は、非常に意義のあるものであると考えています。今後はセンサデータの可視化や、それに基づく行動変容の促進など、IoT技術も活用しながら「空気の価値」をさらに高めていく取り組みを実施していきたいと考えています。

谷口景一朗氏プロフィール
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 特任准教授・博士(工学)
2009年東京大学大学院工学系研究科修了。株式会社日建設計勤務を経て、2016年に東京大学大学院工学系研究科 特任助教に着任。同年に合同会社スタジオノラ設立。2022年より現職。

■用語解説
CFD(Computational Fluid Dynamics)
数値流体力学解析
CFD解析では、流体の運動方程式と連続の式をコンピュータ上で解くことで、解析対象物の
周囲の流場をシミュレーションする手法です。

IAQ(Indoor Air Quality)
室内空気質環境
普段生活する建物の内部やその周辺の空気の状態を指し、温度や湿度・気流・化学物質の濃度などが含まれます。

PMV(Predicted Mean Vote)
予測平均温冷感申告
人がどれくらい快適かを表す指標で、温度、湿度など6つの要素から計算されます。
1994年に国際規格(ISO7730)に制定されています。

パレート解
多目的最適化問題において、理想的な解にできるだけ近く、目的関数同士のバランスの異なる解のこと。

今後もFUJIOHはこの研究結果を活かし、ブランドビジョン「空気を変え、環境を変え、明日を豊かに変えていく。」実現のために、さらなる技術革新と新たな取り組みに挑戦していきます。

※ 富士工業株式会社は富士ホールディングス株式会社の100%子会社です。

【富士工業グループ会社概要】
事業概要:一般家庭用/業務用厨房機器の企画・開発設計・生産・販売・アフターサービス
代表者:代表取締役社長 柏村浩介
創立:1941年12月
所在地:神奈川県相模原市中央区淵野辺2丁目1番9号
従業員数:951名(連結従業員数)
グループ会社:
富士ホールディングス株式会社
富士工業株式会社
富士工業販売株式会社
フジテックメンテナンス株式会社
株式会社ヒートアンドクール
Fujioh International Trading Pte. Ltd.
芙子帝風商貿(上海)有限公司 (Fujioh Trading Shanghai Co.,Ltd.)
Fujioh Marketing Malaysia Sdn. Bhd.
台灣富士皇股份有限公司(Fujioh Marketing Taiwan Co., Ltd.) 
[関連会社]アリアフィーナ株式会社
公式WEB:https://www.fujioh.com




本件に関するお問合わせ先
富士ホールディングス株式会社 コミュニケーションデザイングループ
TEL: 042-718-5661
E-MAIL: fujioh.cdg@fujioh.com

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