「両生類のオンライン取引レポート」を発表 絶滅の恐れのある両生類が、インターネットで販売されている実態が明らかに

プレスリリース発表元企業:公益財団法人世界自然保護基金ジャパン

配信日時: 2024-12-05 11:50:14

~4分の1が絶滅危機種か近危急種。プラットフォーム事業者の対応が肝要~



公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下 WWF ジャパン)は、本日2024年12月5日(木)に、日本のオンラインプラットフォームにおける両生類の取引状況をまとめたレポート『両生類のスナップショット分析から考える ペット利用される野生生物のオンライン取引の課題~問われるプラットフォームの責任~』を発表しました。
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レポート
『両生類のスナップショット分析から考える ペット利用される野生生物のオンライン取引の課題~問われるプラットフォームの責任~』
(レポートURL)
https://www.wwf.or.jp/activities/data/WildlifeTrade_OnlinePlatforms_Challenges.pdf




レポートの要旨
絶滅のおそれに直面している野生生物やすでに捕獲の脅威にさらされている野生生物にとって、活発な取引による捕獲圧の高まりは大きな脅威の一つです。オンライン上での野生生物取引の課題を把握するために、この度WWFジャパンは、2024年8月にオンライン上の両生類の生体取引に焦点をあて調査を実施しました。

調査対象とした2つのプラットフォーム(楽天市場およびYahoo!ショッピング)について、生きた両生類の出品内容を分析したところ、それぞれ少なくとも1000頭以上の個体が出品されていたほか、中には絶滅のおそれが懸念される種や既に捕獲の脅威にさらされている種がオンライン取引の対象となっている実態が明らかとなりました。

また、出品の対象となっていた「種」だけでなく、その出品「方法」についても課題のあることが浮き彫りになりました。野生から捕獲された個体の取引はより直接的に種や生態系に影響を及ぼす懸念があるため、出品時には、取引する野生生物(個体)の由来(野生捕獲か飼育下繁殖か)情報やその個体がどこで捕獲されたのか(捕獲地)という情報が明らかにされている必要があります。分析の結果、こうした情報の記載がなく生態系や地域個体群への影響や合法性の判断ができない出品が多数確認されました。

【オンライン取引の対象となっていた種】
- 出品を確認した78種のうち19種(24%)は絶滅危機種(CR~VU)か近危急種(NT)[IUCNレッドリスト参照]
- 在来種11種のうち4種(36%)が近危急種(「準絶滅危惧種」NT)[環境省レッドリスト参照]
- 在来種11種のほとんどが地方自治体の作成するレッドリストに掲載されている種[各地方自治体作成のレッドリスト参照]


【個体情報が不十分な出品の割合】
- 種名の特定できた出品585件のうち40%は由来情報(野生捕獲か飼育下繁殖か)が欠如
- 在来種の出品174件のうち63%は由来や捕獲地の情報が欠如

店舗まで足を運ばずに気軽に取引が可能なオンライン取引は、野生生物の取引においてもその需要が広がっているため、それに伴った数の個体の確保が必要となります。その結果、活発な取引が利用を促進し、捕獲圧を高めることに繋がります。こうした捕獲圧の高まりは、対象となる種に直接的な脅威となるだけでなく、その生息地の食物連鎖のなかで生きている他の野生生物や生態系全体に大きな影響を及ぼす懸念があります。プラットフォームを運営する企業がその責任を認識し、実態を把握した上で、事業者や消費者への理解を促すとともにプラットフォームの環境を整備する施策を積極的に行なうことが求められます。

WWFジャパン専門オフィサーのコメント
WWFジャパン 自然保護室 野生生物グループ プログラムオフィサー 柴田有理
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今、オンラインプラットフォームには社会の重要なインフラとしての役割が期待され、それとともにプラットフォームを運営する企業の責任も重く追及されるようになっています。ますます活発になるオンライン取引が野生生物や生態系に与える影響については未だ十分な検討がなされていないなか、ビジネスが自然に与える負荷を把握し自ら対策を講じることは、生物多様性の豊かさの回復(ネイチャー・ポジティブ)が求められる現代においては最低限の責任です。今回のレポートをきっかけに各プラットフォーム内での検討が進み、誰しもが安心して野生生物や生態系に負荷を与えない取引のできる場が提供されることを期待しています。




調査概要
- 調査時期:2024年8月
- 対象プラットフォーム:楽天市場およびYahoo!ショッピング
- 対象カテゴリ:両生類の生体
- 分析手法:スナップショット分析(※)

確認した出品すべてにおいて、種名、出店店舗、出品個体数、販売価格、個体の由来情報、捕獲地など個体ごとの情報を収集。これらの情報をもとに、出品されていた種の各レッドリストへの掲載状況や絶滅のおそれの度合い、種の存続の脅威となっている要因などを併せて確認。

(※)ある一時点でのオンライン出品の状況を切り取り、どのようなものが出品されていたのかを分析する手法


ご参考
本レポートに関しては、以下WWFジャパンのホームページに掲載しています。
- レポートPDF
https://www.wwf.or.jp/activities/data/WildlifeTrade_OnlinePlatforms_Challenges.pdf
- レポート紹介記事
https://www.wwf.or.jp/activities/lib/5830.html


WWFについて
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年に設立されました。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行なっています。 https://www.wwf.or.jp

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