PwCコンサルティング、宇宙分野の包括レポートを公表

プレスリリース発表元企業:PwCコンサルティング合同会社

配信日時: 2024-10-04 10:00:00

2024年10月4日
PwCコンサルティング合同会社


PwCコンサルティング、宇宙分野の包括レポートを公表
宇宙分野の市場規模はバリューチェーン全体で約4,030億米ドルと推計



PwCコンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役CEO:安井 正樹、以下「PwCコンサルティング」)は本日、PwCが宇宙分野のトレンドや課題をマクロと領域別の観点から包括的にまとめたレポート『宇宙分野の主要トレンドと課題 第4版』(日本語版)を公表しました。
本レポートでは、宇宙分野における課題の複雑性を示唆しています。そうした課題を解決するためには、多面的・多層的に物事を捉える「アーキテクチャ」という視点・考え方が重要であるとPwCコンサルティングでは考えています。アーキテクチャという考え方を適用することで、宇宙分野とAIをはじめとしたデジタルテクノロジーとの融合が加速し、課題解決の質・スピードの向上につながることを期待しています。

(1)レポート『宇宙分野の主要トレンドと課題』について

■ レポートの概要
今回新たに公表するレポートでは、宇宙のバリューチェーンやインパクト、マクロトレンド(地政学的情勢と国際貿易、環境と社会、生成AIを含む技術とイノベーション、資金調達)、領域別トレンド(地球観測、衛星通信、ナビゲーション、宇宙へのアクセス、宇宙の安全保障、地球外経済)、政策・規制・ガバナンスと、宇宙分野に関わる幅広いテーマを扱っています。これは、宇宙分野の特長や特殊性、多様な領域、経済全体に与えるインパクトを理解するためには、そのトレンドや課題を包括的に捉える必要があるためです。
宇宙を取り巻く規制・政策環境は絶え間なく変化し、宇宙分野はその技術やサービスを通じて他の産業分野にも大きな影響を与えています。国家戦略や社会・経済に与える影響も大きいことから、国家は多額の公的資金を宇宙分野に投資しています。また、この20年間で、新興の民間企業などによる宇宙開発やデジタル技術による進化とディスラプションが進み、参入障壁は大幅に低下、ビジネスモデルの変化も起きています。
日本企業や各種機関がこうした宇宙分野の全体像や機会を捉えるとともに、事業環境の変化がもたらす課題に対応するに当たり、本レポート日本語版が貢献できればと考えています。以下ではレポートの中から一部を紹介します。

※レポート「宇宙分野の主要トレンドと課題 第4版」の全文については以下URLをご覧ください。
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/main-trends-and-challenge-in-the-space-sector-4th-edition.html

① 市場規模は4,030億米ドルと推計
宇宙分野には国際的に標準化された産業の分類法がなく、市場規模を算出する際に使用する定義・分類、境界、方法論が統一されていないことから正確な市場規模の算出は困難です。そこで宇宙バリューチェーンを構成する主要な組織・企業との豊富な協業実績のあるPwCは、2023年時点における宇宙分野の市場規模を独自に推計しました。上流から宇宙データの活用までのバリューチェーン全体で約4,030億米ドルと推計しています。


・上流(260億米ドル):打ち上げサービス、衛星製造

・中流(410億米ドル):地上インフラとその運用、フリート運用

・下流(2,430億米ドル):消費者向け機器、宇宙を活用したサービス

・研究機関予算(930億米ドル):研究・科学、宇宙探査、安全保障など
 合計 約4,030億米ドル


② 投資対効果
宇宙開発は引き続き、主に公的資金によって支えられているため、投資の意義に対する説明を求められることが少なくありません。社会経済的効果を評価することは、宇宙分野に投資するメリットを明確化するとともに、他の公共政策に比べた宇宙分野への投資を正当化し、その意思決定を支援するための重要な手段となります。
こうした投資効果を数値化するため、PwCは過去に実施した複数の宇宙領域(衛星サービス、ロケット、有人宇宙飛行、宇宙の安全性、宇宙の安全保障、宇宙科学・探査など)に関するさまざまな調査結果をもとに推計を実施しました。


・宇宙関連事業への投資による効果は、粗付加価値のタイプII乗数(※1)で
 投資の1.4~2.2倍と見込まれます。

 ※1:宇宙関連支出が粗付加価値全体に与える影響の総量を定量化したもので、当該投資が生み出した直接的、間接的、
    誘発的経済活動を含む。
・宇宙アセットを活用することで生じる売上高(※2)は、宇宙アセットに対する初期支出の
 4~8倍と見込まれます。
 ※2:例えば、衛星データの活用(地球観測、衛星ナビゲーション)、ロケットの活用、技術革新による売上高。

③ 地政学リスクや気候変動などとの関わりについても解説
本レポートでは、重要な課題である地政学リスクや気候変動などと宇宙分野の関わりについても紹介しています。以下は例となります。

・宇宙産業の活性化により、宇宙分野が環境に与える影響を考慮する必要性が生じるとともに、
 宇宙データを気候変動対策やESGに活用する機会も生まれる。
・地政学的情勢の変化は宇宙分野の地域化や軍事化につながり、
 グローバルサプライチェーンと貿易に影響を与えている。
・衛星データはさまざまな応用が可能であり、正確な情報を適時提供することで、
 世界規模の環境・社会問題の解決に寄与する(人道支援、気候変動モニタリング、災害管理、
 農業と食料安全保障など)。

※本レポートは、PwCとそのグローバル戦略コンサルティング部門であるStrategy&が協力して制作し、2024年に発表した『Main Trends & Challenges in the Space Sector 4th』の日本語版です。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先されます。

(2)宇宙分野の複雑性を踏まえたPwCコンサルティングの取り組み

宇宙分野は、モノづくりから宇宙を利用したサービスまで多層的なバリューチェーンで構成されており、そのバリューチェーンから生み出される成果やインパクトは、社会・経済・科学など、多岐にわたる領域に影響を与えています。そうした成果・インパクトが期待される一方で、宇宙環境の持続性への懸念、地政学的な情勢の変化によるサプライチェーンの分断など、政策・規制・ガバナンスなどとの密接なかかわりも示唆されています。
PwCコンサルティングでは、宇宙分野におけるこのような多面的・多層的な課題に対し、課題の構造を的確に捉えるとともに、産官学の多様なステークホルダを巻き込み、複数の専門人材が力をあわせて課題解決に向けて協働することが重要と捉えています。また、こうした宇宙分野の複雑性に対応するために「アーキテクチャ」という視点・考え方に着目しています。
2024年3月には、システム・アーキテクチャに関して日本における第一人者である慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の白坂成功教授と当社にて鼎談を行い、「アーキテクチャ」の視点・考え方を推進していくことが、宇宙分野における課題解決にとって重要であることを再認識しています。
今後も、PwCコンサルティングでは「アーキテクチャ」の視点・考え方について、宇宙分野だけでなく、地上の様々な課題にも適用できるよう検討を深める予定です。

〈鼎談記事〉
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/space-business-dialogue/system-architecture.html

■ PwCコンサルティング 渡邊敏康 執行役員パートナー 宇宙・空間産業推進室責任者のコメント
PwCグローバルネットワークでは、宇宙分野における政策・技術ロードマップの策定、市場評価、財務・技術・商業デューデリジェンス、経済性評価などを通じて官民の事業体を支援しています。日本のPwCコンサルティングにおいても、2024年2月にさまざまな専門人材を結集させた横断組織「宇宙・空間産業推進室」を立ち上げ、国際機関や国内官公庁、研究機関、民間企業などに対して、宇宙政策からR&D戦略、社会実証、新規事業に至るまで、さまざまな支援実績を生み出しています。
今回、日本語版として公表したレポートは、宇宙分野に精通した専門家だけでなく、新たな市場参入を考える方々にも有益な情報となることを期待しています。また、本レポートを通じて、地域や産業間の連携や構造変革が起きつつあることを実感いただけるのではないかと考えています。
PwCコンサルティングでは、宇宙分野における複雑かつ多層的な問題の解決に向けて、地球上の様々な社会システムをアーキテクチャの視座・視点で捉え、様々なテーマ・産業に応用していきます。今後も、宇宙分野の特殊性を踏まえながら、情報発信や事業間連携、各クライアントの要望に応じた支援などを進めることで、日本の宇宙・空間産業の発展に貢献していきたいと考えています。

■ 慶應義塾大学 白坂成功教授のコメント
システム・アーキテクチャは、システムズエンジニアリングにおける考え方の1つです。「あるシステムを成り立たせている個々の要素と、それらの間の関係性を明らかに示したもの」といえるでしょう。システムズエンジニアリングとシステム・アーキテクチャは、工学に限らずさまざまな分野でシステムの整理・理解に活用でき、社会の仕組みを考えるうえでも有効です。
今回、PwCコンサルティングの宇宙・空間産業推進室が、グローバルな視点を通じて宇宙分野の課題の複雑性を捉え、アーキテクチャという概念を重視していくことは適切と考えます。今後、アーキテクチャという考え方を深め、我が国も直面している宇宙分野の複雑な課題解決に貢献していただくとともに、宇宙に限らない社会課題の解決にも貢献していただくことを期待しています。


以上



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