スーダン:何万人もの子どもが年内に命を落とす恐れ【プレスリリース】

プレスリリース発表元企業:公益財団法人日本ユニセフ協会

配信日時: 2023-09-21 10:19:38

ユニセフ広報官「紛争やインフレ続き、資金不足課題」



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【2023年9月19日 ジュネーブ発】

スーダンの現状と支援状況について、ユニセフ(国連児童基金)の広報官、ジェームズ・エルダーは、9月19日にジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、以下のように発言しました。

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市民が非情にもないがしろにされ、保健・栄養サービスが執拗な攻撃を受けていることを背景に、ユニセフは、この先年末までに何万人もの新生児が命を落とすことを恐れています。

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スーダンでは、10月から12月にかけて33万3,000人の子どもが誕生することになっています。彼らとその母親たちは、適格な分娩ケアを必要としています。しかし、何百万人もが紛争地域に取り残されるか、避難生活を余儀なくされているこの国では、医療物資の不足も深刻であり、そのようなケアを受けられる可能性は日に日に薄れていっています。

栄養サービスも同様に壊滅的な打撃を受けています。毎月5万5,000人の子どもが、最も死亡率の高い栄養不良状態となり、治療を必要としています。しかし、ハルツームで機能している栄養センターの数は全体の50分の1にも満たず、西ダルフールでも10分の1にすぎません。

公式に発表された、スーダンの戦闘で死亡した子どもの数は435人です。子どもたちに必要な命を守るサービスが壊滅的な打撃を受けていることから、スーダンの最も幼い市民にとって、これまでで最も死亡率が高くなる、未曽有の時代を迎えつつあることをユニセフは憂慮しています。

私はスーダンから帰国したばかりです。現地ではどれだけ多くの人が支援を求めてきたことか。教員、商人、建築家、そしてとりわけ妊娠中の母親たち。みな、暴力を逃がれてきた人々です。おびえ、飢え、持ち物をすべて置き去りにしてたどり着いた家族もいました。

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女性と女の子は逃げている途中、絶えず恐怖にさらされています。子どもたちが武装集団に徴用されているという報告も増えています。スーダンはいまや、支援従事者にとって最も危険な場所の一つです。

ユニセフとパートナーは、このような危険と市民生活のあからさまな軽視にもかかわらず、紛争地域を含むスーダンの全18州において、子どもたちのために支援活動を行っています。あらゆる困難をよそに、紛争が始まって以来、ユニセフはパートナーと共に、510万人に保健物資を、280万人に安全な飲料水を届け、30万人の母親と家族に生活支援のための現金給付を行いました。また290万人の子どもに栄養不良の検査を行い、それにより15万2,200人が命を守る治療を受けることができました。さらに28万2,000人以上の子どもと養育者に、スーダン全土に設置された464カ所以上の安全な場所を通じて、心理社会的カウンセリング、学習、保護に関する支援を提供しました。

しかし、私たちは資金を必要としています。約1,000万人の子どもに支援の手を差し伸べるために必要な8億3,800万米ドルを求めるユニセフの資金要請に対し、集まったのは今月現在で4分の1に満たないのです。このような資金不足は、命が失われることを意味します。

ソーシャルセクターの支出は急減しています。ユニセフと国連のパートナーが追加の金銭的支援を引き出せなければ、スーダンの基本的な社会サービスは崩壊してしまうかもしれません。

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最前線で働く人たちは、何日、何週間単位ではなく、何カ月も給料が払われていません。インフレ率200%のこの国で、第一線で働く看護師、医師、教員、ソーシャルワーカーたちは、何カ月も給料を受け取っていないのです。それにもかかわらず、彼らは仕事に出てきます。実際、この戦争が生み出すニーズを考えれば、彼らはさらに長い時間働いているのでしょう。ある栄養士がこう話していました。「私たちが相手にしているのは、戦争の中を生きている子どもたちです。彼らを助けることができるのであれば、そうします」。しかし、彼らの人柄と献身的な努力だけでは、急速に枯渇する物資を補充したり、吹き飛ばされた病院を修復したりすることはできないのです。

最後に、ユニセフはスーダンの学校が再開しないことを深く憂慮しています。スーダンはすでに世界で最大規模の学習危機に直面しており、700万人以上の子どもが就学しておらず、1,200万人が学校の再開を待っています。子どもたちにとって教育とは、学ぶ権利以上のものです。学校は、虐待や搾取、武装集団への徴用など、周囲の物理的な危険から子どもたちを守ることができます。紛争の結果、学校が閉鎖されたままであれば、子どもたちの発達と心理社会的ウェルビーイングに壊滅的な影響を与えるでしょう。

もちろん、この戦争を止めるためには、さらに多くの努力を払わなければなりません。しかし、民間人や社会サービスに対する無分別な攻撃が続く中、ユニセフは支援のための資金と、第一線で活動する人々の安全で妨げのないアクセスが必要です。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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