高頻度で「熱波」にさらされる子どもたち~欧州・中央アジアでは2人に1人、世界平均の2倍【プレスリリース】

プレスリリース発表元企業:公益財団法人日本ユニセフ協会

配信日時: 2023-07-27 11:45:40

ユニセフ、各国に子どもを守るための6提言を示す



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【2023年7月27日 ジュネーブ発】

欧州と中央アジアの子どもの約半数、すなわち9,200万人が、高頻度で発生する熱波にさらされている、とユニセフ(国連児童基金)は、本日発表した新しいポリシーブリーフ(政策提言)で指摘しています。これは、4人に1人の子どもが高頻度の熱波にさらされているという、世界平均の2倍にあたります。

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本提言「暑さと闘うーー欧州と中央アジアの熱波から子どもを守る(原題:Beat the heat: protecting children from heatwaves in Europe and Central Asia)」では、子どもたちは熱波の影響を特に受けやすく、熱射病などの重篤な状態に陥るリスクがあると指摘しています。

赤ちゃんや幼児は、中核体温がおとなよりもかなり早くかつ高く上昇するため、熱波の危険に最も大きくさらされています。また、熱波は子どもの集中力や学習能力にも影響を及ぼし、教育が脅かされると本提言は指摘しています。

子どもは熱波の影響を受けやすいという特性がありますが、ほとんどのおとなは暑さの感じ方が異なるため、親や養育者が子どもの危険な状況や熱中症の症状を特定することが難しくなり、子どもの健康はさらに危険にさらされます。

ユニセフ欧州・中央アジア地域事務所代表のレジーナ・デ・ドミニーチスは次のように述べています。「欧州と中央アジアの国々は気候危機の激しさを体感しており、子どもたちの健康とウェルビーイングは最も犠牲となっています。現在、この地域全体の子どもの半数が、高頻度で発生する熱波にさらされています。これは、2050年にはすべての子どもたちに及ぶと予想されています。この地域のこれほど大きな割合の子どもの現在と将来の健康に多くの悪影響が及ぶことは、各国政府が緊急に緩和策と適応策に投資するきっかけとならなければなりません」

近年、欧州と中央アジアでは熱波が頻発し、その勢いは衰える気配がありません。この地域全体で、熱波の頻度は今後さらに増加するとみられています。摂氏1.7度という最も控えめな地球の気温上昇シナリオの下で、2050年までに欧州と中央アジアのすべての子どもたちが高頻度の熱波に、81%が長期間の熱波に、28%が過酷な熱波にさらされると予想されています。

子どもたちを守るため、ユニセフは欧州と中央アジアの各国政府に対し、以下のことを呼び掛けます。
熱波の緩和と適応を「国が決定する貢献(NDC)」、「国別適応計画(NAP)」、および災害リスク削減・災害リスク管理政策に組み込み、すべての計画の中心に子どもを据える。

地域保健員や教員の研修を含め、子どもにおける熱中症の予防、早期対応、診断、治療を支援するために、プライマリ・ヘルスケアに投資する。

国の気候早期警報システムに投資し、地域の環境の査定を実施し、緊急時への備えとレジリエンス(回復力)構築の取り組みを支援する。

水と衛生、保健、教育、栄養、社会的保護および子どもの保護に関する事業を、熱波の影響に対処できるよう適応させる。

子どもとその家族を熱波から守るための施策を実行するため、適切な資金を確保する。

子どもたちや若者に、気候変動教育やグリーンスキル(持続可能で資源効率の高い社会に住み、それを発展させ、支えるために必要な知識、能力、価値観、考え方)を身に付ける研修を提供する。



気温の上昇が気候変動の結果であることは科学が明らかにしています。ユニセフは、欧州と中央アジアの各国政府に対し、地球温暖化を摂氏1.5度に抑えるためにCO2排出量を削減し、2025年までに適応資金を倍増させるよう求めます。

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■ 注記
本提言の地域別推計は、利用可能な最新データである2020年のデータの分析に基づいています。

■ 用語の定義
熱波(Heatwaves):3日以上の期間、各日の最高気温が現地の15日平均気温の上位10%に入ること。

高頻度で発生する熱波(High heatwaves frequency)1年平均4.5回以上の熱波が発生すること。

長期にわたる熱波(High heatwave duration):熱波が平均して4.7日以上続くこと。

過酷な熱波(High heatwave severity):熱波の平均温度が地域の15日平均気温より摂氏2度以上高いこと。



2050年シナリオ1:2050年までの気温上昇が摂氏1.7度と想定される「温室効果ガス低排出シナリオ」。これは気候モデリングで使用される確立されたシナリオで、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)で「SSP1」と定義されています。

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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