男性型脱毛症「AGA」患者の頭皮に 粘度の高い皮脂成分(トリグリセリド)が多いことを発見

プレスリリース発表元企業:大正製薬

配信日時: 2022-01-11 11:00:00


大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、明治薬科大学薬学部の杉田隆教授と共同で、薄毛と頭皮環境(皮脂、常在菌)の関係性について研究を進めてまいりました。このたび、男性型脱毛症であるAGA患者の頭皮に皮脂成分のトリグリセリド※1、細菌のアクネ菌※2、真菌のマラセチア属菌※3が多く存在することを発見しました。当該研究成果は学術誌Microorganisms※4での掲載に加え、2021年12月11日に順天堂大学本郷・御茶の水キャンパスで開催された第29回毛髪科学研究会のモーニングセミナーにて杉田教授より、その内容が発表されました。
頭皮の皮脂成分は、細菌や真菌の栄養源になると言われています。そのため、当社は日々の髪や頭皮の皮脂ケアを行うことが重要であると考えます。
今回、頭皮環境研究の成果として、トリグリセリド、アクネ菌、マラセチア属菌がAGAの原因や進行に影響している可能性があることを発見しました。当社は、当該成果を製品に応用できるように研究を進めてまいります。
※1トリグリセリド:中性脂肪やTGとも呼ばれ、粘度の高い物性を示す
※2アクネ菌:顔や背中など皮脂が豊富な皮膚部位に生息するヒトで最も豊富な細菌
※3マラセチア属菌:脂漏性皮膚炎、癜風(でんぷう)、アトピー性皮膚炎の原因あるいは増悪因子となる真菌
※4 Suzuki K, et al. Scalp Microbiome and Sebum Composition in Japanese Male Individuals
with and without Androgenetic Alopecia.
Microorganisms 2021, 9(10), 2132
https://doi.org/10.3390/microorganisms9102132
【研究成果】
AGA患者の頭皮に皮脂成分のトリグリセリド、細菌のアクネ菌、真菌のマラセチア属菌が多いことを発見
AGAとは、思春期以降に始まり徐々に進行する男性型脱毛症です。毛は成長期、退行期、休止期というヘアサイクルを繰り返しますが、AGAを発症すると成長期が短くなり、休止期の毛包が増加することで前頭部や頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなり、最終的には頭髪が皮表に現れなくなります。日本人男性による発症頻度は全年齢平均で約30%と報告されています。AGAの発症には、一般的には遺伝的素因が強いとされていますが、最近では遺伝性以外の要因も示唆されています。
当社は、遺伝性以外の要因として頭皮環境との関係性に着目し、AGA群(55名)と非AGA群(63名)の日本人男性118名の頭皮の皮脂、細菌、真菌を分析しました。その結果、皮脂では皮脂中のトリグリセリドの占める割合が、AGA群において非AGA群よりも高いことが分かりました(図1)。また、細菌ではアクネ菌(Cutibacterium)、真菌ではマラセチア属菌(Malassezia_restricta)の割合が、AGA群において非AGA群より高いことも明らかになりました(図2)。以上の結果から、皮脂中のトリグリセリド、常在菌であるアクネ菌やマラセチア属菌がAGAの原因や進行に影響している可能性が示唆されました(図3)。


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図1 非AGA群とAGA群の頭皮皮脂中の各成分の割合(%)


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図2 非AGA群とAGA群の頭皮常在細菌及び真菌の割合(%)


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図3 本研究とAGAとの関連性メカニズム(仮説)



【本知見の活用及び今後の展望】


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当社は今後も、発毛・育毛、白髪、髪質など、頭皮・毛髪に関わるトータルでのヘアケア研究を進め、ミノキシジル含有製品のみならず、育毛剤やシャンプーなどの製品を開発し、生活者のより豊かな暮らしの実現に貢献してまいります。






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