會澤高圧コンクリート、人工知能(AI)活用の生コン品質判定システムを開発 判定率は99%超 3月にプレキャスト製品用プラントに実装

プレスリリース発表元企業:會澤高圧コンクリート株式会社、アイザワ技術研究所株式会社

配信日時: 2021-01-19 14:45:00

會澤高圧コンクリート(本社苫小牧市、代表取締役社長:會澤 祥弘)とアイザワ技術研究所(札幌市)は、AI(人工知能)を用いた生コンクリートの品質判定技術を開発いたしました。3月に本技術を使ったスランプ判定システムを自社のプレキャスト製品工場に実装し、品質管理の高度化や一部自動化に着手いたします。実際に稼働する生コン製造工場に生コン品質に係るAIテクノロジーが実装されるのは国内で初めてとなります。当社では、大手ハウスメーカーなどと提携し、本技術を使った新たな生コン品質保証モデルの概念実証(Proof of Concept:PoC)を併行して進めてまいります。

当社は、2018年より、生コンを製造するバッチャープラント(BP)や生コンを現場に輸送するアジテータトラック等に独自開発のAI技術やIoTシステムを実装し、製造から荷卸し時、さらには硬化後のコンクリート品質までを瞬時に予測して必要なプラント制御を繰り返す自律型次世代コンクリートエンジニアリングシステム、通称「AICE」(AI Concrete Engineer)の開発を進めております。

スタッフの高齢化や労働生産人口の減少に伴い、今後、業界全体で後継者の育成やノウハウの継承が一段と難しくなるのは避けられないことから、AIを用いた自律型製造供給システムの開発を通じて、これまで以上に安定した質の高いコンクリートの供給を、“ひととAIの新たな協業”の形で実現したいと考えております。
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写真1. オペレータ操作室
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写真2. AIスランプ判定状況(ミキサ画像)

今回開発したのは、AIの深層学習(ディープラーニング)を利用し、(1)生コンの製造工程におけるミキサ内の練り混ぜ画像データ (2)練り混ぜ後にコンクリートを一時的に貯留するホッパ内の画像データ (3)コンクリート練り混ぜ中のミキサの音響データ、の3つから、生コンのスランプ(生コンの軟らかさや流動性の程度を示す重要指標値)を即座に判定する基盤技術で、開発中である「AICE」の頭脳部に相当します。

画像データが欠落するような過酷な使用環境でもスランプの判定を安定的に行えるよう、画像(Picture)と音響(Sonic)の双方のデータを補完的に使うのが特徴で、開発コードは「P/S neural」(P/Sニューラル)としました。画像データによる「P/Sニューラル」のスランプ判定正解率(実測値±2.5cm以内 ※JIS A 5308レディーミクストコンクリートが定める許容差)は99%以上と極めて高く、音響データの判定正解率についても同様の±2.5cm以内で94%以上を達成いたしました。

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図1. P/S neural概念図

硬化前の生コンの軟らかさを表す指標値であるスランプは、生コンの打設性能を決定づける最も重要な品質項目のひとつ。工場では、機械制御による計量管理に加えて、ミキサ内の練り混ぜの様子を、オペレータがモニタで毎バッチ目視確認してスランプの安定化を図るなど、経験と勘が要求される世界です。

当社では、JISのスランプ許容差をさらに厳格化した±1.0cmの独自基準を導入し、判定正解率85%以上を目指して精度のさらなる向上に取り組んでおりますが、「P/Sニューラル」は±1.0cm基準下で、すでに目標値に近い80%を超える精度を記録するまでになっています。その判定能力は、ベテランの生コンエンジニアのスランプ目視能力をはるかに凌駕する水準に到達しており、本技術の普及は、品質のさらなる安定化と業務負荷の軽減につながるものと期待しております。

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図2. スランプ判定正解率推移(ミキサー画像)

当社では、3月末をメドに、鵡川工場のコンクリート二次製品用バッチャープラントに「P/Sニューラル」を使ったスランプ判定システムを実装し、北海道新幹線の大型トンネル工事に使用するコンクリートセグメント用生コンなどの品質管理に使用する計画です。

本バッチャープラントの生コン供給によって製造されるコンクリート製品は年間13万5,000トンに及びます。実機を使った大量の深層学習で判定精度のさらなる向上に努めるとともに、今後はP/Sニューラルを画像データと音響データを掛け合わせて、さらに精度高い判定結果を導き出す「マルチモーダルAI」へと進化させる計画です。


「AICE」 https://aice.jp

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