武田薬品、アイクルシグ(ポナチニブ)の適応を抵抗性または不耐性の慢性期CML成人患者に拡大する医薬品承認事項変更申請の承認を米国FDAより取得

プレスリリース発表元企業:Takeda Pharmaceutical Company Limited

配信日時: 2020-12-24 22:43:00

武田薬品、アイクルシグ(ポナチニブ)の適応を抵抗性または不耐性の慢性期CML成人患者に拡大する医薬品承認事項変更申請の承認を米国FDAより取得

– 改訂されたアイクルシグの添付文書は診療に変化をもたらし、少なくとも2種類以上のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による前治療への抵抗性または不耐性を示すCP-CML患者へと適応を拡大 –­– CP-CML患者でアイクルシグの奏功に基づく投与量調整レジメンを評価した第2相OPTIC試験からのデータに基づく承認 –– CP-CMLでの新たな投与量調整レジメンにより、ベネフィット・リスクプロファイルを最適化することで、有効性を確保し、安全性を改善 –

(米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪)-(ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は本日、少なくとも2種類以上のチロシンキナーゼ阻害薬による前治療への抵抗性または不耐性を示す慢性期(CP)慢性骨髄性白血病(CML)成人患者を対象としたアイクルシグ(ポナチニブ)の医薬品承認事項変更申請(sNDA)を米国食品医薬品局(FDA)が承認したと発表しました。改訂後の添付文書には、アイクルシグの奏功に基づき最適化されたCP-CML患者向けの投与量調整レジメンが含まれています。本レジメンは、1日45 mgから投与開始し、1%以下のBCR-ABL1IS値を達成した時点で15 mgに減量するものです。この投与量調整レジメンは、有効性を確保するとともに、動脈閉塞イベント(AOE)などの有害事象(AE)のリスクを低減することで、ベネフィット・リスクプロファイルを最適化する狙いがあります。

武田薬品グローバル・オンコロジー・ビジネス・ユニットのプレジデントを務めるテレサ・ビテッティは、次のように述べています。「本sNDAのFDAによる承認は、CMLコミュニティーにとって重要な節目となる成果です。慢性期CMLは多くの場合にコントロール可能ですが、依然として長期転帰が不良となる患者さんが多く、治療の早い段階で第三世代TKIを投与することでベネフィットが得られる可能性があります。アイクルシグは、抵抗性の病態を示す多くの患者さんに有効であることが証明されており、これらの患者さんへの重要な局面での投与が有意義な結果につながる可能性があります。今回の添付文書改訂は当社にとって大変喜ばしいことであり、アイクルシグによる治療を最適化することで、抵抗性/不耐性の慢性期CML患者さんの治療における空白を埋めるのに役立つと考えています。」

このたびのsNDA承認は、第2相OPTIC(Optimizing Ponatinib Treatment In CML、CMLにおけるポナチニブ治療の最適化)試験から得たデータと、第2相PACE(Ponatinib Ph+ ALL and CML Evaluation、Ph+ ALLおよびCMLにおけるポナチニブの評価)試験から得た5年間のデータに基づいています。

OPTIC試験はTKIによる直前治療に強い抵抗性を示したCP-CML患者を対象としていますが、これらの患者さんの多く(65%)は直前治療で血液学的完全奏功(CHR)を上回る奏功を達成しませんでした。12カ月時点で、新たに承認された奏功に基づく投与量調整レジメン(45 mgから投与を開始し15 mgに減量)を利用した患者さん88人のうち42%が、OPTIC試験の主要評価項目である1%以下のBCR-ABL1IS値を達成し、フォローアップ期間中央値28.5カ月時点ではこれら患者さんの73%が奏功を維持していました。これらの患者さんでは、13%がいずれかのグレードのAOEを、7%がグレード3以上のAOEを経験しました。コントロール不良の高血圧症や糖尿病などのリスク因子は管理が必要であり、臨床的に重大でコントロール不良の心血管疾患の現病歴ないし重大な既往歴を有する患者さんの治療では注意が必要です。

ジョージアがんセンター長のジョージ・コルテス医師は、次のように述べています。「CMLの治療は、特に2種類以上のTKIに抵抗性または不耐性を示す患者さんにおいて難しくなる場合があります。このたびの承認事項改訂により、医師は慢性期CMLの患者さんに対し、アイクルシグが最大のベネフィットをもたらす可能性がある時期である治療過程の早い段階で、アイクルシグの投与を検討することができるようになります。改訂された添付文書で示されているように、アイクルシグの奏功に基づき投与量を調整することで、医師にとって懸念事項であり、慢性期CMLの管理で重要な側面となっている動脈閉塞性イベントのリスクを低減しながら、アイクルシグが提供できると知られている望ましいベネフィットを患者さんが達成できる可能性があります。」

OPTICおよびPACEの各試験から得たデータは、バーチャル開催された第56回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会、第25回欧州血液学会(EHA)年次総会、第62回米国血液学会(ASH)年次総会で発表しました。

OPTIC試験について

OPTIC試験(Optimizing Ponatinib Treatment In CML、CMLにおけるポナチニブ治療の最適化)は、抵抗性の慢性期(CP)慢性骨髄性白血病(CML)に罹患しているか、種類に関係なくTKIの前治療を受けた後にT315I変異の存在が記録されている患者にてアイクルシグの3種の開始用量(15 mg、30 mg、45 mg)を評価するようにデザインした進行中のランダム化用量範囲探索試験です。奏功に基づく減量を試験プロトコルに従って実施しました。本試験はこれらの患者におけるアイクルシグ(ポナチニブ)の適切な使用法を明らかにするものと期待されています。282人の患者を世界中の臨床施設で組み入れ、94人の患者に45 mgを開始用量として投与しました。本試験の主要評価項目は12カ月目におけるBCR- ABL1IS値1%以下の達成となります。

OPTIC試験のデータは、アイクルシグによるベネフィット・リスク最適化は、TKIによる前治療に高い抵抗性を示すCP-CML患者で、BRC-ABL1変異を有する場合と有しない場合のいずれでも、1日45 mgから開始し、1%以下の BCR-ABL1IS値を達成後は奏功に基づき、1日15 mgに変更する投与レジメンによって達成できることを示しました。12カ月時点で、45 mgの開始用量で投与を受けた患者88人の42%が、1%以下のBCR-ABL1IS値を達成しました。またOPTIC試験では、フォローアップ期間中央値が28.5カ月の時点で、アイクルシグを45 mgから15 mgに減量した患者の73%が奏功を維持していることが示されました。これらの患者では、13%がいずれかのグレードのAOEを、7%がグレード3以上のAOEを経験しました。OPTIC試験に参加した患者の20%超で発現した有害反応には、発疹および関連症状、高血圧症、関節痛、高脂血症、肝機能障害、膵炎、腹痛が含まれます。グレード3/4の検査所見異常で最も多かった(20%超)のは、血小板数減少と好中球数減少でした。

PACE試験について

PACE(Ponatinib Ph+ ALL and CML Evaluation、Ph+ ALLとCMLにおけるポナチニブの評価)試験は、ダサチニブないしニロチニブに抵抗性ないし不耐性を示すか、T315I変異を持つCML患者およびフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)患者でアイクルシグの有効性および安全性を評価しました。計449人の患者を1日当たり開始用量45 mgのポナチニブで治療しました。推計93%の患者が2種類以上の承認済みTKIの投与を過去に受けており、全患者の56%が3種類以上の承認済みTKIの投与を受けていました。PACE試験におけるCP-CML患者267人の55%が細胞遺伝学的大寛解(MCyR)(PACE試験におけるCP-CML患者の主要評価項目)を12カ月目までに達成し、T315I陽性のCP-CML患者64人の70%がMCyRを達成しました。PACE試験の患者組み入れは2011年10月に完了しました。PACE試験では、449人の患者の26%がAOEを経験しました。最も多かった(20%超)非血液学的有害反応は、発疹およびその関連症状、関節痛、腹痛、疲労感、便秘、頭痛、乾皮症、体液貯留および浮腫、肝機能障害、高血圧症、発熱、悪心、出血、膵炎/リパーゼ上昇、AOE、下痢、嘔吐、筋肉痛でした。

CMLとPh+ ALLについて

希少悪性腫瘍の慢性骨髄性白血病(CML)は白血病の主要な4タイプの1つで、赤血球、血小板、大半の種類の白血球を形成する骨髄細胞の初期の未成熟バージョンで生じる遺伝子変異の結果です。続いてBCR-ABL1と呼ばれる異常な遺伝子が形成され、影響を受けた細胞をCML細胞に変えます。CMLは一般的に進行が遅いものの、増殖が速くて治療が困難な急性白血病に変わる場合もあります。

フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)は急性リンパ芽球性白血病(ALL)の希少な1種で、米国の成人ALL患者の約25%が罹患しています。フィラデルフィア染色体として知られる異常遺伝子の存在が特徴です。フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)患者の場合、異常染色体は9番染色体と22番染色体の断片が入れ替わる時に形成されます。その結果通常より長い9番染色体と短い22番染色体が形成され、BCR-ABL1の発現につながり、Ph+ ALLに結び付きます。

アイクルシグ(ポナチニブ)錠について

アイクルシグはBCR-ABL1を標的とするキナーゼ阻害剤です。BCR-ABL1はCMLとPh+ ALLで発現する異常なチロシンキナーゼです。アイクルシグはコンピューターと構造に基づく医薬品設計プラットフォームを使用して開発されたがん分子標的治療薬であり、特別にBCR-ABL1およびその変異体の活性を阻害するように設計されています。アイクルシグは、ネイティブのBCR-ABL1に加え、最も抵抗性の強いT315I変異を含め、治療抵抗性のあるBCR-ABL1変異すべてを標的とします。アイクルシグは承認済みのTKIとして唯一、BCR-ABL1のゲートキーパー変異T315Iに対し作用します。同変異は承認済みの他のあらゆるTKIに対する抵抗性と関連しています。アイクルシグは、2016年11月にFDAより完全承認を取得しました。アイクルシグの適応は、少なくとも2種類以上のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による前治療への抵抗性または不耐性を示す慢性期(CP)CML、移行期(AP)ないし急性転化期(BP)のCML、またはPh+ ALLを患い、他のチロシンキナーゼ阻害薬が適応とならない成人患者と、T315I陽性CML(CP、AP、BP)またはT315I+Ph+ ALLの成人患者の治療となります。アイクルシグは、初発CP-CML患者の治療を適応としておらず、同患者の治療薬として推奨されません。

重要な安全性情報(米国向け)

警告:動脈閉塞イベント、静脈血栓塞栓イベント、心不全、肝毒性

完全な枠組み警告については処方情報の全文をご覧ください。

致死例を含む動脈閉塞イベント(AOE)がアイクルシグ投与患者で発現しています。AOEには致死的な心筋梗塞、脳卒中、脳大動脈の狭窄、重度の末梢血管疾患、緊急の血行再建術を必要とする事態が含まれます。50歳以下の患者を含め、心血管リスク因子を有する患者も有しない患者も持たない患者もこれらのイベントを経験しました。AOEの証拠につきモニタリングします。重症度に基づきアイクルシグ投与を中断ないし中止します。リスクとベネフィットの検討に基づき、アイクルシグ治療を再開するかどうか決定します。静脈血栓塞栓イベント(VTE)がアイクルシグ投与患者で発現しています。VTEの証拠につきモニタリングします。重症度に基づきアイクルシグ投与を中断ないし中止します。死亡例を含む心不全がアイクルシグ投与患者で発現しています。心不全につきモニタリングし、臨床上の必要に応じて患者を管理します。心不全が新規発症ないし悪化した場合はアイクルシグ投与を中断ないし中止します。肝毒性、肝不全、死亡がアイクルシグ投与患者で発現しています。肝機能検査結果をモニタリングします。重症度に基づきアイクルシグ投与を中断ないし中止します。 

警告および注意

動脈閉塞イベント(AOE):死亡例を含むAOEがOPTIC試験およびPACE試験のアイクルシグ投与患者で発現しています。これらは心血管/脳血管/末梢血管イベントです。OPTIC試験(45 mg -->15 mg)におけるAOEの発現率は患者94人中13%で、5%がグレード3/4のイベントを経験しました。PACE試験におけるAOEの発現率は患者449人中26%で、14%がグレード3/4のイベントを経験しました。致死的AOEがOPTIC試験では患者の2.1%、PACE試験では患者の2%で発現しています。PACE試験では一部の患者が再発性または多部位の血管閉塞を経験しています。50歳以下の患者を含め、心血管リスク因子を有する患者も有しない患者もこれらのイベントを経験しました。PACE試験におけるこれらのイベントで最も多く観察されたリスク因子は、高血圧症、高コレステロール血症、非虚血性心疾患の既往歴でした。OPTIC試験とPACE試験で、AOEの発現頻度は加齢とともに増加ました。

OPTIC試験では、コントロール不良の高血圧症または糖尿病の患者と、心血管疾患が臨床的に重大であったりコントロール不良であったり活動性であったりする患者を除外しました。PACE試験では、コントロール不良の高トリグリセリド血症患者と、アイクルシグの初回投与に先立つ3カ月以内に臨床的に重大であるか活動性の心血管疾患を経験している患者を除外しました。アイクルシグのベネフィットがリスクを上回ると期待できるかどうかを検討します。

AOEの証拠につきモニタリングします。再発と重症度に基づき、アイクルシグを中断し、その後で同じ投与量による投与か減量した上での投与を再開するか中止します。ベネフィットとリスクの検討に基づき、アイクルシグ治療を再開するかどうか決定します。

静脈血栓塞栓イベント(VTE):重篤または重症のVTEがアイクルシグ投与患者で発現しています。PACE試験では、449人の患者の6%でVTEが発現しており、患者の5.8%で重篤または重症(グレード3/4)のVTEが発現しています。VTEには、深部静脈血栓症、肺塞栓症、表在性血栓性静脈炎、網膜静脈閉塞症、視力喪失を伴う網膜静脈血栓症が含まれます。Ph+ ALL患者(32人中9%)およびBP-CML患者(62人中10%)の方が高い発現率を示しました。OPTIC試験では、患者94人のうち1人がVTE(グレード1の網膜静脈閉塞症)を経験しました。VTEの証拠につきモニタリングします。再発と重症度に基づき、アイクルシグを中断し、その後で同じ投与量による投与か減量した上での投与を再開するか中止します。

心不全:致死的/重篤/重症心不全イベントがアイクルシグ投与患者で発現しています。PACE試験では、患者449人中9%で心不全が発現し、7%が重篤ないし重症(グレード3以上)の心不全を経験しました。OPTIC試験では患者94人中12%で心不全が発現し、1.1%が重篤または重症(グレード3/4)の心不全を経験しました。PACE試験で最も多く(2%以上)報告された心不全イベントは、うっ血性心不全(3.1%)、駆出率低下(2.9%)、心不全(2%)でした。OPTIC試験で最も多く(それぞれ患者1人超)報告された心不全イベントは、左心室肥大(2.1%)およびBNP上昇(2.1%)でした。心不全と一致する兆候や症状につき患者をモニタリングし、臨床上の必要に応じて、心不全の管理を実施します。心不全が新規発症または悪化した場合、アイクルシグを中断し、その後で減量した上での投与を再開するか中止します。

肝毒性:アイクルシグは肝不全と死亡を含む肝毒性をもたらす場合があります。死亡につながる劇症肝不全が3人の患者で発現し、1人はアイクルシグの投与開始から1週間以内に発現しました。これらの致死例はBP-CMLまたはPh+ ALLの患者で発現しています。肝毒性はOPTIC試験の患者94人中25%、PACE試験の患者449人中32%で発現しました。グレード3/4の肝毒性は、OPTIC試験(患者94人中6%)とPACE試験(患者449人中13%)で発現しています。最も多く発現した肝毒性イベントは、ALT、AST、GGT、ビリルビン、アルカリフォスファターゼの上昇でした。肝機能検査値をベースライン時に、その後は少なくとも月1回、または臨床上の必要に応じて、モニタリングします。再発と重症度に基づき、アイクルシグを中断し、その後で減量した上での投与を再開するか中止します。

高血圧症:高血圧性クリーゼを含む重篤または重度の高血圧症が、アイクルシグ投与を受けた患者で発現しています。患者は錯乱、頭痛、胸痛、息切れを伴う高血圧症の場合、緊急の臨床的介入を必要とする場合があります。ベースラインにて、また臨床上の必要に応じて血圧をモニタリングし、臨床上の必要に応じて高血圧症の管理を実施します。薬物療法によって高血圧症を管理できない場合はアイクルシグの投与を中断、減量、中止します。高血圧症の著しい悪化、動揺性または治療抵抗性の高血圧症が認められる場合、アイクルシグ治療を中断し、腎動脈狭窄症の評価を検討します。

膵炎:重篤または重症の膵炎がアイクルシグ投与患者で発現しています。リパーゼおよびアミラーゼの上昇も発現しています。投与量の変更または治療中止につながった症例の大半で、膵炎は2週間以内に回復しています。血清リパーゼ値を、最初の2カ月は2週間ごと、その後は月1回、または臨床上の必要に応じてモニタリングします。膵炎またはアルコール乱用の病歴を持つ患者では、これ以外にも血清リパーゼのモニタリングを検討します。重症度に基づいてアイクルシグ投与を中断した後、同じ投与量または減量にて投与を再開するか中止します。リパーゼ上昇が腹部症状を伴う場合、膵炎につき患者の評価を行います。

初発慢性期CMLにおける毒性増大:初発CP-CML患者に対するファーストライン治療としての前向きランダム化臨床試験で、単剤のアイクルシグ45 mgの1日1回単独投与は単剤のイマチニブ400 mgの1日1回単独投与と比較して重篤有害反応のリスクが2倍に増大しました。治療期間における曝露期間の中央値は6カ月未満でした。試験は安全を理由に中止されました。動脈および静脈の血栓症および閉塞は、イマチニブ群と比較してアイクルシグ群で少なくとも2倍の頻度で発現しました。イマチニブ治療を受けた患者と比較して、アイクルシグ治療を受けた患者は、骨髄抑制、膵炎、肝毒性、心不全、高血圧症、皮膚/皮下組織障害の高い発現率を示しました。アイクルシグは、初発CP-CML患者の治療を適応としておらず、推奨もされません。

神経障害:末梢神経障害および脳神経障害がOPTIC試験およびPACE試験の患者で発現しています。PACE試験におけるこれらのイベントの一部はグレード3/4でした。感覚鈍麻、知覚過敏、錯感覚、不快感、灼熱感、神経障害性疼痛、脱力などの神経障害の症状につき、患者をモニタリングします。再発と重症度に基づき、アイクルシグを中断し、その後で同じ投与量による投与か減量した上での投与を再開するか中止します。

眼毒性:失明または霧視に至った重篤または重症の眼毒性がアイクルシグ投与患者で発現しています。OPTIC試験およびPACE試験で最も多く発現した眼毒性は、眼乾燥、霧視、眼痛でした。網膜毒性には、加齢黄斑変性、黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、網膜出血、飛蚊症が含まれていました。ベースラインにて、また治療中は定期的に総合的な眼検査を実施します。

出血:致死的/重篤な出血イベントがアイクルシグ投与患者で発現しています。致死的出血がPACE試験で、また重篤出血がOPTIC試験およびPACE試験で発現しています。重篤出血イベントは、AP-CML、BP-CML、Ph+ ALLの患者で高い発現率を示しました。消化管出血と硬膜下血腫が最も多く報告された重篤出血イベントです。イベントは多くの場合、グレード4の血小板減少症を持つ患者で発現しました。出血につきモニタリングし、臨床上の必要に応じて患者を管理します。再発と重症度に基づき、アイクルシグを中断し、その後で同じ投与量による投与か減量した上での投与を再開するか中止します。

体液貯留:致死的/重篤な体液貯留がアイクルシグ投与患者で発現しています。PACE試験では、脳浮腫の1例が致死性となり、重篤イベントには、胸水、心嚢液貯留、血管性浮腫が含まれていました。体液貯留につきモニタリングし、臨床上の必要に応じて患者を管理します。再発と重症度に基づき、アイクルシグを中断し、その後で同じ投与量による投与か減量した上での投与を再開するか中止します。

不整脈:心室性不整脈および心房性不整脈を含む不整脈がOPTIC試験およびPACE試験の患者で発現しています。一部の患者の場合、イベントは重篤または重症(グレード3/4)で入院につながっています。遅い心拍(失神、めまい)または速い心拍(胸痛、動機、めまい)を示す兆候や症状につきモニタリングし、臨床上の必要に応じて患者を管理します。再発と重症度に基づき、アイクルシグを中断し、その後で同じ投与量による投与か減量した上での投与を再開するか中止します。

骨髄抑制:好中球減少症、血小板減少症、貧血のグレード3/4のイベントがOPTIC試験およびPACE試験の患者で発現しています。骨髄抑制は、CP-CMLの患者よりもAP-CML、BP-CML、Ph+ ALLの患者の方が高い発現率を示しました。最初の3カ月は2週間ごと、その後は毎月または臨床上の必要に応じて全血算を入手します。ANCが1 x 109/L未満、または血小板数が50 x 109/L未満の場合、ANCが少なくとも1.5 x 109/L、血小板数が少なくとも75 x 109/Lに達するまでアイクルシグ投与を中断し、その後で同じ投与量による投与か減量した上での投与を再開します。

腫瘍崩壊症候群(TLS):重篤なTLSがOPTIC試験およびPACE試験のアイクルシグ投与患者で報告されています。充分な水分補給を必ず行い、アイクルシグ治療に先立ち尿酸値上昇の治療を行います。

可逆性後白質脳症症候群(RPLS):(可逆性後頭葉白質脳症としても知られている)RPLSがアイクルシグ投与患者で報告されています。神経学的な兆候や症状に加え、高血圧症を示す場合があります。脳の磁気共鳴イメージング(MRI)における支持的初見により診断を下します。回復するまでアイクルシグの投与を中断します。RPLS回復後のアイクルシグ投与再開の安全性は不明です。

創傷治癒障害および消化管穿孔:創傷治癒障害がアイクルシグの投与を受けた患者で発現しています。選択的手術の前は少なくとも1週間にわたってアイクルシグの投与を中断します。大手術の後は少なくとも2週間にわたり、また創傷が適切に治癒するまで投与を行いません。創傷治癒合併症の快復後にアイクルシグの投与を再開することの安全性は確立していません。消化管穿孔(瘻孔)がアイクルシグの投与を受けた患者で発現しています。消化管穿孔が発現した患者では永久に投与を中止します。

胚・胎児毒性:アイクルシグは、その作用機序と動物実験での所見に基づけば、妊婦への投与時に胎児に害を及ぼす可能性があります。動物を使った生殖試験では、推奨用量でのヒト曝露量を下回る曝露量で、発達への悪影響が生じています。妊婦に対しては胎児への潜在的リスクにつき助言します。妊娠する可能性がある女性に対しては、アイクルシグ治療期間中と最後の投与後3週間は有効な避妊法を用いるよう助言します。

有害反応

最も多かった(20%超)有害反応は、発疹および関連症状、関節痛、腹痛、頭痛、便秘、乾燥皮膚、高血圧症、疲労感、体液貯留および浮腫、発熱、悪心、膵炎/リパーゼ上昇、出血、貧血、肝機能障害、AOEです。最も多かった(20%超)グレード3/4の検査所見異常は、血小板数減少、好中球数減少、白血球数減少です。

副作用の疑いを報告する場合は武田薬品(1-844-817-6468)またはFDA(1-800-FDA-1088またはwww.fda.gov/medwatch)に連絡してください。

薬物相互作用

強力なCYP3A阻害剤:併用を避けるか、併用が避けられない場合はアイクルシグを減量します。

強力なCYP3A誘導剤:併用を避けます。

特定集団における使用

生殖能力を持つ男女:アイクルシグの投与開始に先立ち、生殖能力を持つ女性では妊娠の有無を確認します。

ポナチニブは女性で生殖能力を損なう可能性があり、その影響が可逆的であるかどうかは不明です

授乳婦:女性にはアイクルシグ治療期間中および最後の投与後6日間は授乳しないよう助言します。

アイクルシグに関する詳細情報については、www.ICLUSIG.comをご覧ください。動脈閉塞、静脈血栓塞栓症、心不全、肝毒性についての枠組み警告付を含む処方情報についてはhttps://www.iclusig.com/pdf/ICLUSIG-Prescribing-Information.pdfをご覧ください。進行中の研究に関する詳細情報についてはwww.clinicaltrials.govをご覧ください。

武田薬品のオンコロジー領域に対する取り組み

当社の研究開発上の中核的使命は、科学に対する傾倒、画期的イノベーション、患者の生活改善への熱意を通じ、世界中のがん患者に新規医薬品を届けることです。当社の血液疾患治療薬、充実したパイプライン、固形腫瘍治療薬のいずれにおいても、当社は患者に必要な治療を届けるべく、革新的であるとともに競争力のある立場の保持を目指しています。詳細情報についてはwww.takedaoncology.comをご覧ください。

武田薬品工業株式会社について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、患者さん、従業員、そして地球に対する約束に従って、人生・生活を変える治療薬を創出し、お届けすることに傾倒しています。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少な遺伝性疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。詳細情報についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。

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将来に関する見通し情報

本プレスリース及び本プレスリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「保証する(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」「することができた(could)」、「予想されるanticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語、同様の表現、それらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではございません。かかる将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する仮定に基づいており、これらの要因は実際の結果が将来見通し情報で明示ないし暗示された内容と著しく異なる場合の原因になり得るものです。これらの要因には、日本と米国の一般的な経済条件を含む当社の世界的な事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、製品開発計画の成功または失敗、規制当局による判断とその時期、金利及び通貨為替レートの変動、市場で販売された製品または製品の安全性または有効性に関するクレームまたは懸念等、新型コロナウイルスの世界的流行病のような健康危機が武田薬品ならびにその顧客およびサプライヤー(武田薬品が営業する国々における外国政府を含む)に及ぼす影響や当社事業のその他の面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非コア資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、武田薬品が米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書及び他の報告書(https://www.takeda.com/investors/reports/sec-filings/又はwww.sec.govにおいて閲覧可能)で指摘したその他の要因が含まれますが、これらに限られません。武田薬品は、法律ないし証券取引所規則で要求される場合を除き、本プレスリリースに含まれる、または当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本プレスリリースにおける武田薬品の経営結果ないし記述は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証、見積もりではありません。

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