大河ドラマでも注目  足利義昭支援裏付け資料見つかる

プレスリリース発表元企業:福山市役所

配信日時: 2020-08-24 12:10:00


広島県福山市の鞆の浦歴史民俗資料館に、当館の特別展開催を知った所有者から、今回の史料の情報が寄せられました。
そして、本史料について調査をし、専門家のご意見などもいたただき、また、7月には実物史料を借用して確認をしました。
その調査の結果、本史料は毛利輝元の書状で、「鞆夫」を明記した新しい史料であり、余り知られていない「鞆夫」についての新たな内容も記された興味深い貴重な史料と考えられます。
本書状では、粟屋内蔵丞(元種)の給地のなかの寺家へ課したが、この寺家は粟屋が毛利家から給与されたものなので、鞆夫を課してはならないと記している。宛名は毛利氏の家臣三名で、山口において防長両国の支配を担当したと考えられる市川伊豆守(経好)、国司対馬守(就信)、井上伊賀守である。
この新出史料の冒頭の「防長諸郡江(え) 鞆夫之(の)事 申付候(そうろう)」にあるとおり、輝元が防長諸郡へ鞆夫を課していた様子がより明らかになった。
なお、現在、鞆夫に関係する文献・史料は『鞆の浦の歴史 福山市鞆町の伝統的町並に関する調査研究報告書Ⅰ』(1999年、福山市教育委員会)によると、次のとおり8通が確認されている。
今回の新出史料で9通目となる。「鞆夫」と明記されているものでは8通目となる。 
当館の特別展「鞆幕府 将軍足利義昭~瀬戸内・海城・水軍~」(10月8日~11月23日)で展示される予定です。


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鞆夫(ともふ)


鞆夫については、毛利氏が足利義昭、鞆幕府を人的・経済的に支援するために、周防、長門や出雲の寺社、社寺領へ一律に課した人夫料である。
この免除については、それ相応の理由がある場合のみ許されている。


専門家のコメント


 (島根大学教育学部 教授 長谷川 博史)
「鞆夫」は、天正年間(1573~92)の毛利氏が、周防・長門・出雲の寺社に負担を命じた夫役(労役)であり、「鞆」の地名を冠している点がとりわけ興味深い。おそらく足利義昭に提供されたものと推測される。
 新たに確認された毛利輝元書状の宛名に見られる市川経好や国司就信は、毛利氏の「山口奉行」として知られ、防長両国では彼らを中心に「鞆夫」が郡単位で催促・徴発されたことがわかる点も貴重である。 


鞆夫関係資料


⓵毛利輝元書状 天正5年(貼紙。宛名・毛利氏奉行人の児玉元良、井上就重。内容・出雲の日御碕神社の鞆夫を今年に限り免除した。
②国司元武書状写 天正9年。宛名・瀧下助左衛門尉入道(周防国在庁官人)。内容・鞆夫は「惣準拠之儀」(全て例外ない賦課と思われる)であるので免除できないと記され、鞆夫が重視されていることを示してもいる。
③内藤元栄書状写 天正9年。宛名・佛生院。 内容・鞆夫の免除は即答できない。また、「両国寺社方」とあるとおり、鞆夫が周防・長門の両国の寺社へ課せられたことも記されている。
④口羽通良(毛利氏重臣)書状 天正4~9年。宛名・児玉元良。内容・鞆夫が鰐淵寺(出雲)へ賦課されたことを示す。※「鞆へも人夫七ヶ年詰置」と書かれ直接に「鞆夫」とは明記されていない。
⑤毛利氏奉行人連署書状写 天正4~10年。毛利氏奉行人の粟屋元種、長井元為から現地実務担当者の山縣平右衛門、立野九郎右衛門 宛。 内容・石城寺(周防)の鞆夫を免除する旨を伝えたもの。
⑥毛利氏奉行人連署書状写 天正4~10年。毛利氏奉行人の元武(国司)、児玉元貫からの発信。内容・龍福寺(現・山口市)は、客殿を造営しているので、鞆夫を免除する旨を伝えたもの。
⑦毛利氏奉行人連署書状写 天正4~10年。毛利氏奉行人の南方宮内少輔、内藤与三右衛門尉から河内義信宛。 内容・石城寺の鞆夫を免除する旨を伝えたもの。
⑧内藤元栄書状写 天正14年。宛名・山本新兵衛、御□五郎二郎、羽仁二郎右衛門尉。内容・防府の眼代領が鞆夫料の免除地であることを通達している。


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福山市には四季折々の美しさを見せる自然、温暖な気候、海・山・川から得られる恵みがあります。100万本のばらが咲き誇る「ばらのまち」としても知られ、潮待ちの港として栄え日本遺産に認定された景勝地「鞆の浦」や、JR福山駅の新幹線ホームから見え、2022年には築城400年を迎える「福山城」、2つの国宝をもつ寺院「明王院」などの名所があります。
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