私立高の75%がオンラインで授業、私大では87%。 私立高の半数以上は短縮勤務体制 (全国の私大・私立高校対象「緊急事態宣言下での教員の働き方緊急アンケート」)

プレスリリース発表元企業:一般社団法人 私学労務研究会

配信日時: 2020-05-14 16:00:00


私学の労務改革を支援する(一社)私学労務研究会が、全国の私立大学と私立高校を対象に行なった緊急事態宣言で対応を迫られた教育態勢と教員の働き方に関する緊急アンケート(大学54校、高校155校から回答。)で、私立高校の75%が「オンライン化活用で授業実施」と答え、私立大学では同じ答えが87%に上った。複数回答が可能だが、授業の代替措置では「夏期休暇期間へ振替え」が私立高校で82%に対し私立大学は41%、「補講・補習で調整」が私立高校で29%に対し私立大学が41%と特色が表れた。私立高校のオンライン化活用では「授業のライブ配信」「授業のオンデマンド配信」が各々52%、「市販オンライン教材の活用」も64%あった。一方、私立大学のオンライン化では「一部学生のPC等の保有がなく在宅学習が困難」との回答が76%と多い。私立高教員の勤務は「時差出校」44%、「交代制」50%、「テレワーク」は63%と多い。

「緊急事態宣言下における教育態勢及び教員の働き方に関する緊急アンケート」 集計分析結果

私学の労務改革を支援する一般社団法人 私学労務研究会(事務局:東京都千代田区。代表理事:今井 茂。https://sirouken.or.jp)は、全国の私立大学(約630校)並びに全国の私立高等学校(一部の中学校を含む。約1,200校)を対象に、緊急事態宣言下で対応を迫られた教育態勢と教員の働き方について緊急アンケートを実施し、大学54校、高等学校155校から回答を得た。
アンケートは、eラーニングシステム開発・各種コンテンツ制作を手掛ける東証2部上場の株式会社クシム(本社:東京都港区。代表取締役:中川 博貴。)と共同によるWEB回答方式で実施し、調査期間は4月27日から5月11日、調査対象は私立大学は約630校、私立高等学校は約1,200校。
質問は、  Ⅰ. 授業の代用措置について 
Ⅱ. 教員の勤務態勢について
Ⅲ. 緊急事態宣言(臨時休校)後の教育態勢・教員の働き方について
の3分野で尋ね、集計分析結果は次のとおりとなった。(速報版を添付。)

私立高等学校の概況
Ø  75%の私立高が「オンライン化活用で授業実施」と答え、巷間伝えられる公立高校のオンライン授業の環境整備の遅れと、差は明らか。
Ø  (複数回答可能ながら)授業オンライン化では「外部のeラーニングシステム」の導入も35%に上る。
Ø  今回の調査では、「全ての生徒がPCやタブレットを保有して在宅での授業が可能」との答えは23%。生徒側の通信環境の確保のため、スマホの一部利用も認めた上で環境整備に努めている。
Ø  宣言下での勤務体制は、在宅勤務、短縮勤務、フレックスタイム制、自宅研修・研究制度利用など様々な対応で工夫が見られる。在宅勤務も、短縮時間との組み合わせや分散出勤・輪番制、授業動画収録の必要時のみ出勤など多岐に亘る。
Ø  休校期間中における教員や派遣教員の給与は、当然ながら従来通り支払われており、派遣教員の契約解除の例はない。


私立高等学校の分析
Ⅰ. 授業の代用措置について 
複数回答可能による通常授業の代替措置として「課題やプリントの提供」が93%と圧倒的で、「夏期休暇への振替え」が82%と続く。「補講・補習で調整」は29%、「冬期休暇への振替え」も21%あり、「土曜日授業の検討等」も19%に上る。
授業のオンライン化の実施状況は「既存のオンラインシステムの活用」が44%あったほか、「急ぎシステムを整備した」も31%あり、「システムの活用なし」は8%に留まる。この「システムの活用なし」の理由を尋ねたところ、「学校側の機材等の不整備」が62%、「生徒側の機材等の不整備」が92%にも上った。複数回答可能による授業のオンライン化の実施中及び整備中の方法は「授業のライブ配信」が52%、「授業のオンデマンド配信」も同じく52%、「市販の教材やスタディサプリなどの活用」が64%あった。
複数回答可能による配信システムの名称を尋ねる質問では「YouTube」44%、「ZOOM」47%、「外部のeラーニングシステム」35%、が多かった。授業のオンライン化に伴う生徒側の通信環境では「全ての生徒がPCやタブレットを保有して在宅での授業が可能」との答えが23%あった半面、「一部の生徒がPCやタブレットを保有しておらず在宅での授業が困難」も65%あった。そのため、スマホ利用を一部認めることでほぼ生徒全員がネット環境に繋がることが可能との回答もあった。
緊急事態宣言(臨時休校)後のオンライン授業の継続(併用)を尋ねた質問では「継続の方向」が34%、「効果をみて判断」が35%と7割が前向き。「オンライン制は停止」の回答も22%あった。


Ⅱ. 教員の勤務態勢について
 複数回答可能による緊急事態宣言下での教員の勤務体制については「通常の所定労働時間の通り」は17%で、「自宅研究・研修制度利用」が52%、「短縮勤務」が51%と多く、「変形労働事時間制で対応」も34%、「フレックスタイム制で対応」は13%、また「その他」21%では何らか形で在宅勤務を取り入れてるとの回答も目立った。
 複数回答可能による教員の勤務を尋ねる別の質問では「所定時間通り」が19%、「時差出校」44%、「交代制」50%、「テレワーク」は63%だった。また、毎日どの程度の教員を出校させてるかの質問では「1割未満」23%、「3割程度」50%、「5割程度」16%、「7~8割」7%、「ほぼ全員」は3%だった。
 複数回答可能による休校再開後の教員の勤務カレンダーをどのよう検討しているかの質問では「夏期休暇の短縮」が88%と圧倒的で、以下「修学旅行・宿泊研修等の見直し」58%、「体育祭の中止」38%、「文化祭・学園祭の中止」30%、「冬期休暇の短縮」26%と続く。「その他」の回答には「1年単位の変形労働時間制の勤務形態の変更」「春期休暇の短縮」といった回答もあった。
 休校前に変形労働時間制を導入していた学校に見直しを尋ねた質問では「継続」が60%、「短縮勤務に変更した」が23%を占めたが大幅な変更は少ない。
 新型コロナウィルス感染症収束後に検討される働き方について尋ねたところ、「わからない(変更なし含む)」が77%で圧倒的であった。

Ⅲ. 緊急事態宣言(臨時休校)後の教育態勢・教員の働き方について
 EdTech等の教育のテクノロジー化へのシフトについて尋ねたところ「積極的に取り組んでいく」の35%と「前向きに検討する」の57%とでの回答が圧倒的だった。
 複数回答可能による教員のデジタル教育にどのように取り組みむかの質問では「学内で研修に取り組む」85%、「学内の指導者を通して学習する」63%、「学外に委託して研修に取り組む」30%との傾向だった。
複数回答可能による教育のテクノロジー化等でこれから注力を検討する分野の質問には、「学習ログの蓄積・活用」42%、「反転型授業」37% の順だった。


私立大学の概況
Ø  87%の私立大学で、オンライン化の活用で授業が実施されている。
Ø  (複数回答可能ながら)授業オンライン化では、「外部のeラーニングシステム」導入が30%である一方、「独自の配信システム」も30%あり、私大での整備が進んでることが伺える。
Ø  今回の調査では、「全ての学生がPCやタブレットを保有して在宅での授業が可能」との答えは15%であった。
Ø  私大では専門業務型裁量労働制の勤務形態がもともと全教員の3割を占めてることから、宣言下においても在宅勤務の推奨はスムーズに受け入れられている。
Ø  休校再開後の勤務カレンダーも、従来組んでた後期日程にまで影響が及ぶことは少ない模様。


私立大学校の分析
Ⅰ. 授業の代用措置について 
 複数回答可能による通常授業の代替措置として「課題やプリントの提供」が72%と最も多く、次いで「補講・補習で調整」が50%、「夏期休暇への振替え」が41%、「テストの出題」が22%と続く。「その他」の回答で「開講時期を変更し遠隔授業を実施」、「学外実習の一部を学内実習に代替」といった回答もあった。
 授業のオンライン化の実施状況は「既存のオンラインシステムの活用」が52%、「急ぎシステムを整備した」も35%と、9割近くはオンライン化で対応できた模様。「システムの活用なし」は0%だった。
複数回答可能による授業のオンライン化の実施中及び整備中の方法は「授業のライブ配信」が44%、「授業のオンデマンド配信」が46%で、双方向型やリアルタイム授業の追求が伺える。
 複数回答可能による配信システムの名称を尋ねる質問では「YouTube」20%、「ZOOM」57%、「外部のeラーニングシステム」30%、「独自の配信システム」30%、といった分布であった。
 授業のオンライン化に伴う学生側の通信環境では「全ての学生がPCやタブレットを保有して在宅での授業が可能」との答えは15%に留まり、「一部の学制がPCやタブレットを保有しておらず在宅での授業が困難」が76%に上った。私立高校同様、スマホ利用を一部認めることで工夫してる様子も伺われた。
 緊急事態宣言(臨時休校)後のオンライン授業の継続(併用)を尋ねた質問では「継続の方向」が41%、「効果をみて判断」が35%と7割以上が前向き。「オンライン制は停止」は15%だった。


Ⅱ. 教員の勤務態勢について
 まず、新型コロナウイルスの感染拡大以前の通常時に取られてる勤務形態についての質問では「就業規則に定める通常時間」が57%、「専門業務型裁量労働制」が31%の分布であった。その上で緊急事態宣言の下での大学の運営状況について尋ねたところ、「就業規則に定める通常時間」31%、「専門業務型裁量労働制」30%、「自宅研修制度利用」17%、といった勤務体制のシフトが見られた。
 複数回答可能による教員の勤務を尋ねる別の質問では「所定時間通り」が20%、「時差出校」17%、「交代制」11%、「テレワーク」は67%と多く、「専門業務型裁量労働制」の39%あった。
 また、毎日どの程度の教員を出校させてるかの質問では「1割未満」65%、「3割程度」26%、「5割程度」20%、「7~8割」9%、「ほぼ全員」は6%だった。
 複数回答可能による休校再開後の教員の勤務カレンダーをどのよう検討しているかの質問では「夏期休暇の短縮」が65%と最も多く、「その他」の回答として「裁量労働制を採っているため適宜対応できている」「前期授業期間の延長」といったほかに、「変更予定なし」「早期に遠隔授業を開始したので勤務カレンダ-の変更の予定なし」「現状のまま」といった回答も目立ち、特色が表れた。1年単位の変形労働時間制の勤務形態の変更」「春期休暇の短縮」といった回答もあった。
 新型コロナウィルス収束後に検討される働き方について尋ねたところ、「わからない(変更なし含む)」が80%で、私立高校同様に圧倒的であった。


Ⅲ. 緊急事態宣言(臨時休校)後の教育態勢・教員の働き方について
 EdTech等の教育のテクノロジー化へのシフトについて尋ねたところ「積極的に取り組んでいく」の31%と「前向きに検討する」の61%で9割以上を占めた。
 複数回答可能による教員のデジタル教育にどのように取り組みむかの質問では「学内で研修に取り組む」70%、「学内の指導者を通して学習する」41%、「学外に委託して研修に取り組む」11%との傾向だった。
複数回答可能による教育のテクノロジー化等の上でこれから注力を検討する分野の質問では「遠隔ライブ授業」76%、「オンデマンド型教育」69%、「デジタルコンテンツのフル活用」46%、「学習ログの蓄積・活用」37%、「反転型授業」28% の順で、私立高校とは異なる順位を見せた。


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概況と分析結果は以上。尚、(一社)私学労務研究会では、今後も継続してWithコロナ・ポストコロナにおける私学の教育態勢と教員の働き方についての経過調査を進める予定です。
本アンケートの集計分析結果(速報)は、弊社団ホームページ https://sirouken.or.jpでもご覧いただけます。また、詳細な集計分析結果は有料で頒布しておりますので、お問合せください。

  

【お問い合わせ先】
名称:一般社団法人 私学労務研究会
住所:東京都千代田区麹町3-1 KOJIMACHI TERRACE 11階
担当:萩原・浅野
TEL:03-6455-5317
E-mail:info@sirouken.or.jp



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