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『サイバーパンク: エッジランナーズ2』10月20日配信 ロマンのカメラが映す「没入と共感」

(Netflix.com)[写真拡大]
Netflixアニメ『サイバーパンク: エッジランナーズ2』が、2026年10月20日から世界配信される。CD PROJEKT REDとアニメーションスタジオTRIGGERが再び共同制作する全10話の独立した物語で、新たな登場人物たちの贖罪と復讐を描く。
今回の物語で繰り返し示されるのが「レンズ」という言葉だ。なかでも、ブレインダンスが浸透したナイトシティで映画にこだわる青年ロマンは、直接的な没入体験とは異なる方法で他者の物語を記録しようとする。その姿には、VRや没入型メディアが他者への共感にどのような影響を与えるのかという、現実の研究とも通じる問いを重ねられる。
■新たな4人の物語がナイトシティで交差
『サイバーパンク: エッジランナーズ2』は、前作と同じナイトシティを舞台にしながら、新たな登場人物を中心とする独立したストーリーだ。公式サイトは、家族、執着、過去の呪縛と未来に託す思い、そして自分のレンズが周囲の人々をどう映し出すかを物語の柱として掲げている。
中心となる一人が、かつて「キング」と呼ばれた伝説的サイバーパンクのウィークだ。現在はクロームと力を失い、時代に取り残された世界で自らの存在意義を探している。日本語版では利根健太朗、英語版ではクランシー・ブラウンが声を担当する。
ノーマッドのDは、優れた技術を持つスネーク・ネーションのネットランナーだ。一族を滅ぼした相手を追う過程で、本来明るみに出るはずのなかった企業の秘密へ近づいていく。日本語版の声は内山昂輝、英語版はナジー・ターシャが務める。
タリアは企業社会で育ちながら、ギャング「メイルストローム」の暴力とクロームを重視する文化に深く身を置く人物だ。自立心の強いキャラクターとして紹介され、日本語版を鬼頭明里、英語版をキモイ・リーが演じる。
そしてロマン・カラックスは、映画がブレインダンスに取って代わられた街で、現実の物語を追い求める若い映画愛好家だ。他人の人生を記録し、真実を捉えようとするが、ナイトシティで起きる出来事は映画のように整った結末を迎えるとは限らない。日本語版の声は寺澤百花、英語版はヴァレリア・ロドリゲスが担当する。
■ロマンのカメラが示す「観察する視点」
ロマン・カラックスという名前は、『汚れた血』『ポンヌフの恋人』『ホーリー・モーターズ』『アネット』などで知られるフランスの映画監督レオス・カラックスを連想させる。『アネット』でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞したカラックスは、映画を撮る行為や演じること、その虚構性そのものを作品の一部として意識させる表現で知られている。
現時点で、この命名の意図が公式に説明されているわけではない。それでも、映画を愛するロマンが「カラックス」の名を持ち、ブレインダンスが主流となった街で人々の姿を記録するという設定は、カメラと没入型メディアの違いを考える興味深い補助線になる。
カメラで撮られた映像には、撮影者がどこに立ち、何を画面に入れ、何を画面の外に置いたのかが残る。観客もまた、登場人物と一定の距離を保ちながら、その体験へ注意を向ける。ロマンはナイトシティの中で、誰かの体験そのものになるのではなく、他者の物語を見つめ、選び取り、残そうとする存在として位置付けられている。
■ブレインダンスと現実のBCI研究に共通する構造
『サイバーパンク』の世界に登場するブレインダンスは、人間の感覚や感情を記録し、別の利用者が追体験できるメディアだ。ゲームでは記録された体験を視覚、聴覚、温度など複数の情報層から分析する場面もあり、単なる映像以上の主観的記録として描かれてきた。
この設定は、脳活動を読み取って機器の操作へ変換するブレイン・コンピュータ・インターフェース、いわゆるBCIの情報処理構造を連想させる。現実のBCIでは、神経活動を計測し、利用者の意図をコンピューターのカーソルやロボットアームの動作へ変換する研究が進んでいる。
NeuralinkのN1インプラントは、64本の柔軟な糸状電極に計1024個の電極を備える。同社は2026年1月、運動に関係する脳活動をデジタル命令へ変換する臨床試験に、世界で21人が参加していると発表した。目標は、まひのある人が思考によってコンピューターやスマートフォン、ロボットアームを操作できるようにすることだ。
2025年に学術誌『Nature Electronics』で報告された別のBCI試作機は、6万5536個の記録電極を集積した薄型デバイスである。この装置が同時に記録できるのは、選択された最大1024チャンネルで、実験はブタとヒト以外の霊長類を対象に行われた。電極数の多さが、そのまま感情や主観体験を読み取れることを意味するわけではないが、脳表から高密度に信号を取得する技術の進展を示している。
情報を脳へ返す側では、体性感覚野への皮質内微小刺激によって、脊髄損傷のある人に手から生じたような触覚を知覚させる研究が行われている。近年の研究では、刺激方法を調整することで、物体の感触を連想させる複数の触覚特性を伝える試みも報告された。
こうした研究には、神経活動を入力として読み取り、解読し、機器の動作や人工的な知覚として出力するという共通構造がある。この「入力、解読、出力」の流れは、ブレインダンスという作品設定を読み解く手掛かりになる。一方、現実の研究対象は運動意図や限定された感覚情報が中心であり、人の経験全体を別の人へ移す技術として扱われているわけではない。
■VRはどのような共感を生むのか
没入型メディアを「共感マシン」と捉える考え方は、映像制作者クリス・ミルクが2015年のTEDトークでVRを「究極の共感マシン」と表現したことで広く知られるようになった。ジャーナリストのノニー・デ・ラ・ペーニャも、社会問題を一人称の没入体験として伝える「没入型ジャーナリズム」を切り開いてきた。
一方、VRが共感に与える効果は、共感の種類や体験の設計によって変わる。Martinganoらが2021年に発表したメタ分析は、43件の研究、計5644人のデータを検討した。その結果、VRは思いやりを含む情動的共感を高める一方、他者の視点を想像して理解する認知的共感には明確な効果が認められなかった。また、文章を読み、他者の体験を想像する方法などと比べても、VRが一貫して優れているとは確認されなかった。
2018年に発表されたvan Loonらの実験では、180人がVR内で特定人物の一日を追体験した。体験した本人に対する視点取得は高まったが、金銭的な利害を伴うゲームでの向社会的行動に変化は確認されなかった。これは、ある人物の視点を理解することと、実際の行動が変わることが必ずしも同じではないことを示している。
同じ2018年にHerreraらが発表した研究では、ホームレスの立場を扱うVR体験と従来型の視点取得課題が比較された。自己申告による共感やつながりの感覚は両者で同程度だった一方、VRを体験した参加者は、ホームレスに対してより長く肯定的な態度を保ち、支援を求める請願に署名した割合も高かった。
これらの研究は互いに単純な一つの結論へ収束しているわけではない。VRには感情や態度、特定の行動へ影響を与える可能性があるが、その効果は対象、測定方法、体験内容、経過時間によって異なる。2022年に発表されたSora-Domenjóのレビューも、VR体験と向社会的行動を結ぶ実証研究や、長期的な影響を調べた研究が十分ではないと指摘している。
■「誰かになること」と「誰かを見つめること」
VR研究が示すのは、没入の強さだけで共感の深さを測ることはできないという点だ。強い感情を引き起こすこと、相手の視点を理解すること、その理解を長期的な態度や行動へつなげることは、それぞれ異なる過程として捉える必要がある。
この区別を『サイバーパンク: エッジランナーズ2』に重ねると、ブレインダンスとロマンのカメラは、二つの異なる他者理解のあり方として見えてくる。ブレインダンスは主観的な体験へ入り込む没入を象徴し、カメラは撮る側と撮られる側の距離を残したまま、その人の物語に注意を向ける。
映画理論家アンドレ・バザンの議論でも、写真や映画は現実を自動的に複製するだけの仕組みではなく、観客が画面内の現実をどのように受け止めるかに関わる表現として考察された。カメラのフレームには、撮影者の選択と観察者の位置が刻まれる。ロマンが手にするカメラも、ナイトシティで何を見るのか、誰の物語を残すのかという選択の象徴として読むことができる。
■五十嵐海監督と新たな制作陣
監督を務めるのは、前作で第6話「炎のように」を演出した五十嵐海だ。リードキャラクターデザイナーは菅野一期、ストーリー統括はバルトシュ・シュティボル、シリーズ構成と脚本は大塚雅彦が担当する。
音楽は『TRIGUN』などで知られる今堀恒雄が手がける。オープニング曲にはThe Cureの「10:15 Saturday Night」、エンディング曲にはPetite Mellerの「Watson」が採用された。
公式には、新作は前作以上に生々しく、過酷なナイトシティを描くとうたわれている。ショーランナーのシュティボルも、新作を「より悲しく、より暗く、より血なまぐさく、より生々しい」物語と表現してきた。
「世界がスペクタクルに目を奪われているとき、自分の物語を意味あるものにするために、どこまで行かなければならないのか」。公式が掲げるこの問いに対して、ロマンはカメラを向ける。映像と刺激にあふれたナイトシティで、見ること、記録すること、他者の物語を受け止めることがどのような意味を持つのかが、新作を読み解く重要な軸になりそうだ。
『サイバーパンク: エッジランナーズ2』は、2026年10月20日からNetflixで配信される。
■注目ポイントQ&A
●『サイバーパンク: エッジランナーズ2』はいつ配信されますか?
2026年10月20日からNetflixで配信されます。全10話の独立した物語です。
●シーズン1を見ていなくても楽しめますか?
新たな登場人物を中心とした独立したストーリーであるため、前作を見ていなくても物語を追える構成です。ブレインダンス、クローム、ネットランナーといった世界観を知っていると、設定をより理解しやすくなります。
●ブレインダンスに近い技術は研究されていますか?
脳活動から運動意図を読み取ってカーソルやロボットアームを操作するBCIや、脳への電気刺激によって人工的な触覚を生じさせる技術が研究されています。現在の対象は限定された運動信号や感覚情報が中心です。
●VRは共感を高めるのでしょうか?
情動的な共感や特定の相手に対する視点取得、態度、行動に影響を与えた研究があります。一方で、認知的共感や向社会的行動への効果が確認されなかった研究もあり、体験内容や測定方法によって結果が異なります。
元記事: Edgerunners 2 October Premiere Tests Empathy Machine: Can Braindance Beat Camera?
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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