【分析】Netflix株は最高値から約43%下落、過去最大47億ドルの自社株買いをどう見るか

2026年8月18日 20:45

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米ネットフリックス(Netflix)(NASDAQ:NFLX)の株価は2026年8月17日を76.02ドル(約1万2,087円、1ドル=159円換算)で終えた。2025年6月30日に付けた株式分割調整後の最高値134.12ドルから約43%低い水準だ。

同社は2026年第2四半期に、四半期として過去最大となる47億ドル(約7,473億円)の自社株買いを実施した。一方、売上高の伸び率は鈍化し、作品別の視聴データをまとめたレポートの公表頻度も減る。株価の下落が事業価値に対して行き過ぎているのか、成熟に伴う成長率の低下を織り込む過程なのかが焦点となっている。

なお、Netflixは2025年11月に1株を10株に分割している。本稿の株価と1株当たり利益は、特に断りがない限り分割後の基準で記載する。

■株価下落の背景にある買収交渉と成長鈍化

Netflix株は2026年を約90ドルで始め、4月には107ドル前後まで上昇したが、その後は下落し、第2四半期決算発表後には一時65.08ドルまで値下がりした。

2025年末以降の株価には、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのストリーミング・スタジオ事業を取得する計画を巡る不透明感も影響した。Netflixは約827億ドル規模の契約を結んだが、ワーナー側がパラマウント・スカイダンスの対抗提案を優位と判断したことを受け、2026年2月に条件の引き上げを見送った。契約終了に伴い、Netflixは28億ドルの違約金を受け取っている。

さらに、7月16日に発表した2026年第2四半期決算では、売上高が前年同期比13.4%増の125億6,000万ドル(約1兆9,970億円)、希薄化後1株当たり利益が0.80ドルとなった。売上高は会社予想に沿ったが、市場予想をわずかに下回り、1株当たり利益は市場予想の0.79ドルを上回った。

第3四半期の売上高見通しは128億6,000万ドルで、前年同期比の伸び率は11.7%となる。Netflixは為替影響を除く成長率が第2四半期の12%から第3四半期には11%へ低下する見通しについて、前年の売上成長が下半期に偏っていたことによる四半期ごとの変動もあると説明した。2026年通期の売上高見通しは510億~514億ドルに絞り込んでいる。

■視聴データは年1回の公表へ

Netflixは作品別の視聴状況をまとめた「What We Watched」を、2027年から年1回、第1四半期に公表する方式へ変更する。2023年12月の開始以来、同レポートは半年ごとに公開されてきた。

同社は、決算とは時期を分けることで、売上高と営業利益という主要な財務指標に焦点を当てるための変更だと説明している。作品別データや総視聴時間、90カ国以上を対象とする週間トップ10の公表は継続する。

2026年上半期の総視聴時間は前年同期比2%増の970億時間超となり、半期として過去最高を記録した。伸び率は2025年通年の1.5%を上回ったものの、売上高の伸び率より低い。四半期の有料会員数を2025年から原則として開示しなくなったことに続く変更でもあり、投資家が利用動向を確認できる頻度は低下する。

もっとも、Netflixは視聴時間と売上高、利益の間には単純な比例関係がないとの立場を示している。作品の規模、制作費、視聴者層などによって、同じ1時間の視聴でも事業への効果が異なるためだ。

■過去最大47億ドルの自社株買い

Netflixは第2四半期に47億ドルの自社株買いを実施した。四半期として過去最大で、6月末時点の買い戻し可能額は271億ドル(約4兆3,089億円)となった。

同社は、事業への再投資と選択的な買収を優先し、健全な財務基盤と十分な流動性を維持したうえで、余剰資金を自社株買いによって株主に還元する方針を掲げている。4月には取締役会が新たに250億ドルの買い戻し枠を承認していた。

自社株買いによって発行済み株式数が減れば、純利益が同じでも1株当たり利益は上昇する。ただし、自社株買いの規模だけから、取締役会が特定の株価を適正価値より低いと判断しているとまでは断定できない。投資や買収、債務返済を含む資本配分全体と併せて評価する必要がある。

Netflixは2026年通期のフリーキャッシュフローを約125億ドル(約1兆9,875億円)と見込む。6月末には現金および現金同等物91億ドルを保有する一方、総負債は144億ドルで、年内に期限を迎える10億ドルの債務は借り換える予定だ。

第2四半期の買い戻し後、株価は一時65.08ドルまで下落した。ただし、短期的に買い付け時の株価を下回ったことだけで自社株買いの成否は決まらない。買い戻しによって減少した株式数と、今後の利益・キャッシュフローを長期的に比較することが重要になる。

■アックマン氏が買い、タイガー・グローバルは売却

著名投資家の間でも判断は分かれた。ビル・アックマン氏が率いるパーシング・スクエアは、2026年6月末時点でNetflix株315万株を新たに保有していた。米国上場株を中心とする同社ポートフォリオの約4.9%に相当する。

パーシング・スクエアはNetflixについて、ストリーミング市場で有力な地位を確立し、売上高を上回らないペースでコンテンツ費用を管理することで、利益率を引き続き改善できるとの見方を示した。ただし、開示資料から確認できるのは6月末時点の保有状況であり、正確な取得時期や平均取得価格は特定できない。

一方、タイガー・グローバル・マネジメントは第2四半期中にNetflix株244万株をすべて売却した。3月末時点の評価額は約2億3,450万ドルだった。同社は同じ四半期にAMDやSpaceXの新規保有を報告し、Intel株も増やしている。

米証券取引委員会に提出されるフォーム13Fは、四半期末時点における一部の米国上場証券の保有状況を示す資料である。取引日、売買価格、空売り、四半期末後の取引やファンドの全資産は分からないため、両社の開示だけからNetflix株の先行きを判断することはできない。

■広告事業は2億5,000万人規模へ

広告事業は、Netflixが今後の成長源に位置付ける分野の一つだ。同社によると、広告付きプランは2026年5月時点で世界の月間アクティブ視聴者2億5,000万人超に到達した。

これは月間アクティブユーザー数ではなく、広告付きコンテンツを月に1分以上視聴した会員数に、同社の調査に基づく世帯内の推定視聴人数を掛けた指標である。前年に公表していたプロフィール単位の指標とは定義が異なるため、単純な増加率として比較する際には注意が必要だ。

Netflixは2026年の広告売上高を約30億ドル(約4,770億円)と見込み、前年からほぼ倍増すると予想する。広告付きプランを提供する国では、新規登録の60%以上が同プランを選んでいるという。

同社は2025年に独自の広告技術基盤「Netflix Ads Suite」の運用を開始した。広告在庫や配信技術を自社で管理し、ターゲティング、広告枠の充足率、プログラマティック取引などを改善することが広告収入の拡大につながる。

Netflixは広告付きプランを2027年に新たに15カ国へ展開する計画も示している。この拡大が利用者数と広告単価の双方にどう影響するかが、今後の収益性を左右する。

■営業利益率は改善、コンテンツ費用は売上高より緩やかに増加

第2四半期の営業利益は41億9,300万ドル、営業利益率は33.4%だった。第3四半期の営業利益率は33.2%を見込む。前年同期の28.2%から約5ポイント高いが、第2四半期の前年同期比では、技術開発費やマーケティング費用などの増加により0.7ポイント低下した。

2026年通期の営業利益率目標は31.5%で、2025年の29.5%を上回る。同社は2026年のコンテンツ償却費が約10%増える一方、売上高は13~14%増えると見込んでおり、計画どおりなら売上高がコンテンツ費用を上回るペースで伸びる。

地域別売上高は4地域すべてで前年同期を上回った。中南米は21%、アジア太平洋は16%、欧州・中東・アフリカは14%、米国・カナダは10%増加した。

Netflixは生成AIも制作や広告業務に導入している。2026年には約300作品で何らかの生成AIツールを使用したと説明しており、用途にはポストプロダクションや視覚効果などが含まれる。

同社は2026年3月、ベン・アフレック氏が設立した映像制作技術企業InterPositiveを約5億8,700万ドルで買収した。InterPositiveの技術は、既に撮影した素材を用いて作品ごとのモデルを構築し、照明調整、背景の変更、映像の連続性の補正といった制作工程を支援するものだ。

■ゲーム事業は社内開発をさらに縮小

Netflixは8月13日、『OXENFREE』シリーズなどを手がけたNight School Studioと、ヘルシンキを拠点とするMoonloot Gamesを閉鎖することを明らかにした。ゲーム部門の社内チームでも人員削減を実施したが、対象人数は公表していない。

Night School Studioが6月30日に公開したクラウドゲーム『Unhinged』について、共同CEOのグレッグ・ピーターズ氏は7月の決算説明会で、Netflixのクラウドゲームとして好調なデビューになったと説明していた。スタジオ閉鎖に際して同社は、子ども向け、パーティーゲーム、物語重視の作品、幅広い利用者に訴求する作品へ重点を置くための組織変更だとしている。

自社保有の開発スタジオはヘルシンキのNext Gamesのみとなった。ただし、Netflixは外部開発会社との連携やクラウドゲームの提供を継続しており、ゲーム事業そのものから撤退するとは発表していない。

また、Rockstar Gamesの『グランド・セフト・オートVI』を詳しく紹介する「Grand Theft Auto VI: An Extended Look」が、8月28日午前4時にNetflixで先行配信される。米東部時間では8月27日午後3時で、6時間後にはRockstar Gamesの公式YouTubeチャンネルと公式サイトでも公開される予定だ。これはゲーム本編の配信ではなく、新映像をNetflixで先行公開する取り組みである。

■株価は割安か、成長鈍化を織り込んだ水準か

Netflix株の予想株価収益率は、7月下旬時点の外部推計で約23倍だった。2025年の高値圏から評価倍率は低下しているものの、予想利益や成長率の前提によって数値は変わる。

強気材料は明確だ。売上高は2桁成長を維持し、通期では営業利益率の改善が見込まれる。125億ドルのフリーキャッシュフロー予想は、コンテンツ投資や自社株買いを支える。広告事業も年間30億ドル規模へ成長する見通しだ。

懸念材料も残る。四半期ごとの売上成長率は2025年第4四半期の17.6%から、2026年第1四半期は16.2%、第2四半期は13.4%へ低下し、第3四半期は11.7%と予想されている。総視聴時間の伸びは上半期に2%で、2027年から作品別レポートの公表が年1回になるため、外部から動向を確認できる頻度も下がる。

TikTok、YouTube Shorts、Instagramなどの短尺動画が、とりわけ若年層の可処分時間を奪う可能性も指摘されている。一方、Netflixは作品、ライブ配信、広告、ゲームなどを組み合わせ、会員基盤の価値を高める戦略を進めている。

過去最大の自社株買いは、Netflixに大規模な株主還元を実行できる資金力があることを示す。ただし、それだけで株価が割安だと結論付けることはできない。広告収入の伸び、コンテンツ費用の管理、視聴動向、利益率の改善が持続するかが、現在の株価を評価するうえで中心的な要素となる。

本稿は情報提供を目的としたもので、特定の有価証券の売買を推奨するものではない。株価は2026年8月17日の米国市場終値を基準としている。

■注目ポイントQ&A

●Netflix株は76ドル前後で買い場と言えますか?

一律には判断できません。広告事業、フリーキャッシュフロー、営業利益率の改善は評価材料ですが、売上成長率の低下、視聴時間の緩やかな伸び、情報開示頻度の縮小も考慮する必要があります。

●Netflixの株価が2025年の最高値から下落した背景は何ですか?

ワーナー・ブラザース・ディスカバリーを巡る大型買収計画への警戒、決算で示された売上成長率の鈍化、視聴データの公表頻度変更などが重なりました。個々の要因が下落幅のどの程度を説明するかは特定できません。

●47億ドルの自社株買いは株主にとって何を意味しますか?

買い戻した株式が消却または自己株式として保有されれば、発行済み株式数が減り、同じ純利益でも1株当たり利益が上昇しやすくなります。ただし、株主価値への長期的な効果は、買い付け価格と将来の事業価値によって変わります。

●「What We Watched」は廃止されるのですか?

廃止ではありません。2027年から半年ごとの公表を年1回へ変更します。作品別データ、総視聴時間、週間トップ10の公表は継続される予定です。

●広告付きプランの利用者は2億5,000万人ですか?

Netflixが公表したのは月間アクティブ視聴者数です。広告を月に1分以上視聴した会員に、推定される世帯内視聴人数を反映した指標で、契約者数やプロフィール数とは異なります。

元記事: Netflix Stock Falls 41% From Peak as Record Buyback Signals Management Conviction

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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