アルコニックス、27年3月期業績・配当予想を上方修正、増益幅・増配幅が拡大、株価は高値更新し上値試す展開へ

2026年8月18日 07:42

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 アルコニックス<3036>(東証プライム)は商社機能と製造機能を併せ持ち、M&Aも積極活用しながら、非鉄金属の素材・部品・製品の生産から卸売までをONE-STOPで提供する「非鉄金属等の総合ソリューションプロバイダー」である。成長投資と株主還元を両立して資本効率の最大化を目指す方針としている。27年3月期については第1四半期が大幅増収増益と好調だったため、通期の業績および配当予想を上方修正して増益幅および増配幅が拡大する見込みとした。修正後の通期予想に対する第1四半期の経常利益進捗率は51.0%と高水準である。需要や市況の不透明感を考慮して第2四半期以降をやや保守的な計画としているが、会社予想に再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上方修正を好感して急伸し、高値更新の展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■非鉄金属等の総合ソリューションプロバイダー

 同社は商社機能と製造機能を併せ持ち、M&Aも積極活用しながら、非鉄金属の素材・部品・製品の生産から卸売までをONE-STOPで提供する「非鉄金属等の総合ソリューションプロバイダー」である。

 報告セグメント区分は、商社流通の電子機能材事業(EV/FCV部品材料、車載電池用材料、半導体各種材料、携帯機器端末部品材料、IT機器部品材料、各種電池材料、レアメタル、ニッケルなど)、商社流通のアルミ銅事業(電装部品、自動車構成部材、リードフレーム用銅条、コネクタ部品、プリント基板部品、建築資材、電気設備部品、アルミ缶材、熱交換器用素材、医療向けチタン展伸材、空調機器向けアルミ圧延品・伸銅品など)、製造の装置材料事業(自動車構成部材用めっき材料、金型用溶接材料、ブレーキパッド用カシュー樹脂、自動車生産ライン向け非破壊検査装置/化成品、電装部品用モーター部品、半導体用めっき材料、電波吸収体、マーキング装置、電気設備部品など)、製造の金属加工事業(自動車パワートレイン向け部品、EV車載電池向け部品、自動車試作部品、製造・実装装置向け部品、コネクタ端子部品、航空機用部品、空調機器向け部品など)である。

 事業分野別の主要グループ会社(26年3月期末時点)は、電子機能材事業はアドバンストマテリアルジャパン、ANDEX、アルミ銅事業は林金属、アルコニックス・三高、アルミ銅センター、平和金属、装置材料事業はUnivertical HD、東海溶業、マークテック、富士カーボン製造所、金属加工事業は大川電機製作所、大羽精研、富士プレス、FUJI ALCONIX Mexico、富士根産業、ジュピター工業、ソーデナガノ、坂本電機製作所である。

 なお富士カーボン製造所で進めている中国拠点再編を含む事業構造改革の一環として、26年12月(予定)に富士カーボン製造所の中国拠点である連結子会社の富士碳素(昆山)有限公司を閉鎖し、その生産を同じく中国拠点の富士碳素製造(広州)有限公司ほかへ移管する。またインドにおける事業展開の加速に向けて、25年12月に千代田空調機器とインドのチャンナイに空調・冷凍機器用部品の開発・製造・販売を行う合弁会社(同社出資比率10%)を設立した。26年5月にはインドのグルグラムに同社のインド現地法人を設立した。

 26年8月には大川電機製作所が、福島工場、上名倉工場に続いて3拠点目となる大笹生工場を福島市内に建設することを決定し、福島県福島市と立地基本協定を締結した。投資額は約75億円(土地取得費含む)で、操業時期は28年度下期を予定している。

 なお26年2月には、商社流通のアルミ銅事業セグメントに属する4社(林金属、アルコニックス・三高、平和金属、ACメタルズ)について、27年4月1日付で統合する検討および準備の開始を発表した。4社のうち1社を存続会社とする吸収合併の方式を想定している。

 26年3月期のセグメント別経常利益(セグメント間取引消去前)は、商社流通が28億09百万円(内訳は電子機能材が28億75百万円、アルミ銅が65百万円の損失)で、製造が61億12百万円(内訳は装置材料が14億82百万円、金属加工が46億30百万円)だった。製造が収益柱に成長している。

 ベンチャー投資としては21年12月に、投資事業(アルコニックスグローバルイノベーション投資事業有限責任組合、21年8月設立の子会社アルコニックスベンチャーズが運用)を開始した。先端材料・高成長事業および素材・モノづくりに関連のあるベンチャー企業または事業を投資先として成長支援し、投資先が生み出すアイデアや技術を取り込んで新規事業開拓と更なる業容拡大を目指す。26年2月には核融合スタートアップのMiRESSOへ出資した。MiRESSOが推進する低温精製技術を用いたベリリウムの製造販売事業ならびに鉱物資源の精製に関する技術プラットフォーム事業の社会実装を支援する。26年3月には、23年12月に出資した東大発の次世代化合物半導体ベンチャーGaianixxに追加出資した。Gaianixx製品が2社に製品認定されるなど本格的な商用化フェーズに入ったため海外拡販など社会実装を支援する。26年7月には次世代型太陽電池(カルコパイライト太陽電池)スタートアップのPXPへの出資を発表した。カルコパイライト太陽電池や太陽光パネルの事業領域において協業の可能性を検討する。

■「長期経営計画2030」

 25年5月に策定した長期経営計画2030では、数値目標に最終年度31年3月期の経常利益150億円以上、ROIC8%以上、ROE12%以上を掲げている。

 事業戦略としては、注力分野(半導体・自動車・リサイクル)を再整理し、市場拡大が期待できる領域「勝ち筋」とグループが提供する価値「ソリューション」のマトリックスをグループで共有し、勝ち筋とソリューションが交わるエリア(ホットスポット)で、今後のグループ付加価値増大に寄与しうる事業に注力するとともに、新たな勝ち筋とソリューションを開拓する。具体的なグループアクションプランとして、リサイクルセンターの拡張・全国展開による循環社会の実現、半導体関連領域におけるテック素材・装置部材等のグループ内コラボレーションによる製品化と社会実装の実現、モビリティ・次世代エネルギーに跨る電動化領域でのハイテク素材・部材等の開発・製品化とグループ内バリューチェーンの構築、医療領域での最新生体適合素材開発や医療ロボット用精密加工部品・器具など高度医療分野への展開を推進する。

 26年4月にはリサイクル施設の建設を目的として埼玉県羽生市の土地取得を発表した。今後のスケジュールとして26年4~5月建設工事着工予定、26年度内建設工事完成予定としている。長期経営計画2030のグループアクションである「リサイクルセンターの拡張・全国展開による循環社会の実現」を推し進め、非鉄金属リサイクル事業における国内トップクラスの集荷量の実現を目指す。

 財務戦略については、成長投資と株主還元を両立し、資本効率の最大化を目指す。株主還元についてはDOE(株主資本配当率)の目標を従来の3%から4%に引き上げた。

 サステナビリティ経営に関しては、23年7月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明、23年8月に内部統制システム基本方針を改定、26年3月に経済産業省が定める健康経営優良法人認定制度に基づき、3年連続で健康経営優良法人2026(大規模法人部門)に認定された。また温室効果ガス(GHG)排出量削減目標および削減計画を策定した。26年6月には、国際的なサステナビリティの評価機関であるEcoVadis社(仏)が実施したサステナビリティ評価において「コミットメントバッジ」を取得した。26年7月には5年連続のベースアップ実施と新卒初任給引き上げを発表した。

■27年3月期業績・配当予想を上方修正して増益幅・増配幅拡大

 27年3月期連結業績予想については26年8月5日付で上方修正して、売上高が前期比20.6%増の2650億円、営業利益が50.9%増の147億円、経常利益が56.5%増の140億円、親会社株主帰属当期純利益が64.3%増の92億円としている。参考値としてEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)は35.7%増の197億円としている。

 第1四半期が大幅増収増益と好調だったため、前回予想(26年5月15日付の期初公表値、売上高2350億円、営業利益107億円、経常利益100億円、親会社株主帰属当期純利益66億円、EBITDA157億円)に対して売上高を300億円、営業利益を40億円、経常利益を40億円、親会社株主帰属当期純利益を26億円、EBITDAを40億円それぞれ上方修正した。

 配当予想についても26年8月5日付で第2四半期末2円、期末3円、合計5円上方修正して、前期比8円増配の95円(第2四半期末47円、期末48円)としている。連続増配で予想配当性向は31.0%となる。

 第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比38.1%増の725億12百万円、営業利益が2.8倍の69億30百万円、経常利益が3.5倍の71億43百万円、親会社株主帰属四半期純利益が4.5倍の56億91百万円、EBITDAは2.3倍の80億84百万円だった。

 大幅増収増益だった。非鉄関連相場の高止まりのほか、一部需要家向けの特需や半導体関連需要の好調推移により、全セグメントが大幅増収増益だった。なお営業外損益では主にデリバティブ評価損益が5億94百万円改善(前期は評価損3億01百万円、当期は評価益2億93百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益8億92百万円を計上した。

 経常利益50.9億円増益の要因分析は、数量要因で6.1億円増益、市況・利鞘改善(主にレアメタル取引)要因で24.4億円増益、為替要因で4.4億円増益、製造セグメント(主に半導体関連部材や半導体実装装置用部品)要因で13.3億円増益、販管費要因(為替影響除く)で2.5億円減益、営業外損益(為替影響除く)で4.9億円増益だった。

 セグメント別経常利益は、商社流通の電子機能材が3.1倍の27億57百万円、商社流通のアルミ銅が12億95百万円(前年同期は88百万円の損失)、製造の装置材料が17.6倍の15億51百万円、製造の金属加工が40.0%増の15億55百万円だった。

 電子機能材はレアメタル取引の増加を主因に62.5%増収となり、増収効果で大幅増益だった。アルミ銅はアルミおよび銅スクラップ取引の増加を主因に37.7%増収となり、増収効果で大幅増益だった。装置材料は北米市場の半導体関連部材・電気設備部材取引の増加を主因に29.1%増収となり、増収効果で大幅増益だった。金属加工は半導体製造装置・実装装置関連部品取引の増加を主因に19.7%増収となり、増収効果で大幅増益だった。

 通期の修正後のセグメント別経常利益の計画は、商社流通の電子機能材が前回予想比25億円上方修正して前期比56.5%増の45億円、商社流通のアルミ銅が5億円上方修正して10億円(前期は65百万円の損失)、製造の装置材料が10億円上方修正して2.4倍の35億円、製造の金属加工が前回予想を据え置いて8.0%増の50億円としている。

 電子機能材はレアメタルのスクラップリサイクル取引における供給逼迫が上期まで継続するが、下期は数量の減少を見込んでいる。アルミ銅はアルミ素材・部材がデータセンター冷却設備関連向けに堅調に推移するが、スクラップ相場が第2四半期以降に軟化する見込みとしている。装置材料は北米市場の電気設備老朽化やデータセンター建設需要などにより、半導体関連部材・電気設備部材が好調に推移する見込みだ。金属加工はモビリティ・自動車関連で二次電池が北米EV減速の影響を受けるが、半導体製造装置・実装装置関連部品が好調に推移する見込みだ。増産体制構築が急務であり、大川電機製作所において第3工場の建設(操業は28年度下期予定)を決定した。

 修正後の通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が27.4%、営業利益が47.1%、経常利益が51.0%、親会社株主帰属当期純利益が61.9%、EBITDAが41.0%である。需要や市況の不透明感を考慮して第2四半期以降をやや保守的な計画としているが、会社予想に再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主還元はDOE4%以上、株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主還元については、長期経営計画2030においてDOEの目標を従来の3%から4%に引き上げた。また株主優待制度については、毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて優待商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は急伸して高値更新

 株価は上方修正を好感して急伸し、高値更新の展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月17日の終値は3650円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS306円60銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の95円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2635円52銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約1137億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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