AMD RyzenなどのTPM 2.0に脆弱性、構成証明を偽造される恐れ BIOS更新を推奨

2026年8月15日 23:43

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記事提供元:Tech Times

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Intelのセキュリティ研究者により、Trusted Computing Group(TCG)のTPM 2.0リファレンス実装に存在する2件の高深刻度脆弱性が報告された。AMDは自社プラットフォームのファームウェアTPM(fTPM)が影響を受けると確認しており、ローカルで高い権限を持つ攻撃者によって、TPMの構成証明(アテステーション)の偽造や、TPMが管理する暗号文の復号につながる恐れがある。対象となるAMD製品の利用者は、PCまたはマザーボードメーカーが提供する修正版BIOSを確認し、BitLockerを利用している場合は回復キーを確保してから更新する必要がある。

■Ryzen 3000~9000など広範なAMD製品に影響

AMDは2026年8月11日、セキュリティ速報「AMD-SB-7064」を公開し、CVE-2026-6726(CVSS 4.0スコア:8.5)とCVE-2026-6727(同8.3)の影響を確認した。いずれも深刻度は「High」と評価されている。

影響を受ける製品には、デスクトップおよびモバイル向けのRyzen 3000~9000シリーズ、Ryzen AI 300/400シリーズ、Ryzen AI Max 300シリーズ、Ryzen Threadripper、Ryzen Z1/Z2、Ryzen Embedded、EPYCの一部などが含まれる。製品や世代によって影響するCVEと修正版ファームウェアが異なるため、AMDの速報や各メーカーのサポート情報で個別に確認する必要がある。

同日、TCGの脆弱性対応チームは関連するセキュリティアドバイザリを公開し、カーネギーメロン大学のCERT Coordination Center(CERT/CC)も脆弱性ノート「VU#431093」を発行した。日本ではJVNが2026年8月12日、「JVNVU#96623328」として関連情報を公開している。

■偽造TPMキーへの資格情報取得とRSA復号のタイミング攻撃

CVE-2026-6726は、TCGのTPM 2.0リファレンスコードにおける情報漏えいの脆弱性だ。AMDはこの問題を境界外読み取りとして分類している。

ローカルで高い権限を持ち、TPMのコマンドインターフェイスへアクセスできる攻撃者は、細工したTPMコマンドを送ることで、偽造したTPMキーに対する資格情報をTPM対応の認証局から取得できる可能性がある。対象にはアテステーションキー、DevIDキー、TLS認証キーなどが含まれ、その資格情報を利用して不正なTPM 2.0アテステーションを生成される恐れがある。

CVE-2026-6727は、TPM 2.0リファレンスコードのRSA OAEP復号処理に存在するタイミングサイドチャネルの脆弱性だ。特権を持つローカルの攻撃者が細工したコマンドを繰り返し送信し、処理時間の差を測定することで、TPMが管理するRSAキー向けに暗号化された情報を復号できる可能性がある。

対象となり得るデータには、RSA Endorsement Key向けに暗号化されたインポートブロブ、資格情報ブロブ、セッションソルトなどが含まれる。一定の条件下では、TPM 2.0のアテステーションを偽造することにもつながる。

■攻撃にはTPMインターフェイスへのローカル特権が必要

両脆弱性を悪用するには、TPMのコマンドインターフェイスに対する特権アクセスが必要となる。インターネット経由で無条件に遠隔攻撃できる脆弱性ではなく、攻撃者が対象端末上で高い権限をすでに取得していることが前提だ。

このため、物理的に管理され、ほかの利用者と共有されていない個人用PCでは、直ちに悪用される危険性は比較的低い。一方、ローカル管理者権限を奪われた後の追加攻撃や、複数の利用者が端末を共有する環境では影響を無視できない。

企業の管理端末では、TPMによる構成証明がデバイスの起動状態や信頼性を確認するために使われる場合がある。偽造されたTPMキーの資格情報から不正な構成証明を生成された場合、TPMが提供する鍵や構成証明に対する信頼性が損なわれる恐れがある。実際の影響は、各プラットフォームのTPM実装と、構成証明や鍵管理の利用方法によって異なる。

■TCGの共通リファレンス実装に起因、Intelも影響対象

脆弱性をTCGへ報告したのは、Intelのセキュリティ研究者であるLiran Perez氏、Zecharye Galitzky氏、Shai Sarfati氏、Yanai Moyal氏の4人だ。CERT/CCとTCGの脆弱性対応チームが、複数ベンダーにまたがる情報公開を調整した。

今回の問題はAMD固有の設計に起因するものではなく、TPMベンダーが製品開発の基礎として利用できるTCGのTPM 2.0リファレンス実装に存在する。AMDの速報でも、両CVEにはAMD固有の脆弱性ではないことを示す「non-AMD」という注記が付けられている。

CERT/CCの2026年8月12日時点のベンダー情報では、AMDとIntelが両脆弱性の影響を受ける製品を持つベンダーとして掲載されている。一方、影響を受けないと回答したベンダーや、調査中または状況が不明なベンダーもあり、すべてのTPM製品が一律に影響を受けるわけではない。

■修正版BIOSを確認し、BitLocker回復キーを事前に確保

AMDは、影響を受ける製品ごとに修正版のPlatform Initialization(PI)ファームウェアと、OEMへの提供日を公開している。デスクトップ向けでは、Ryzen 3000シリーズ用の「ComboAM4PI 1.0.0.11」が2026年5月18日に、Ryzen 5000シリーズ用の「ComboAM4v2PI 1.2.0.12」が5月27日にOEMへ提供された。

Ryzen 7000~9000シリーズなどのAM5製品には、製品やファームウェア系統に応じて「ComboAM5PI 1.3.0.1b」「ComboAM5PI 1.2.0.3k」などの修正版が示されている。Ryzen AI 300/400およびRyzen AI Max 300シリーズでは、fTPM向けの修正版が示される一方、Microsoft Pluton向け対策は2026年8月の提供が計画されている。

AMDが公開している日付は、修正版PIファームウェアをOEMへ提供した日であり、利用者向けBIOSの公開日とは限らない。実際の提供時期やBIOSのバージョンはPC、マザーボード、製品世代によって異なるため、利用者はメーカーのサポートページで対象モデル専用の更新情報を確認する必要がある。AMDも、製品固有のBIOSについてOEMへ問い合わせるよう案内している。

AMDのfTPMを更新する場合、通常はPCまたはマザーボードメーカーが提供するBIOSを適用する。更新前には、対象モデルと基板リビジョン、BIOSの説明、含まれるAGESAまたはPIのバージョンを確認することが重要だ。

BIOS更新によってTPMの状態や起動時の測定値が変わると、次回起動時にBitLockerの回復キーを要求される場合がある。BitLockerを利用している端末では、更新前にMicrosoftアカウント、Active Directory、Microsoft Entra IDなど、組織または利用環境に応じた保存先で回復キーを確認し、利用できる状態にしておく必要がある。

企業の管理者は、ベンダーが提供するファームウェアやソフトウェアの更新を適用するとともに、構成証明や鍵管理に今回の脆弱性が与える影響を確認する必要がある。クラウドや仮想環境でソフトウェアTPMを利用している場合は、クラウド事業者またはプラットフォーム提供者の案内も確認するべきだ。

■注目ポイントQ&A

●所有しているAMD Ryzen搭載PCに修正が適用されているか確認するにはどうすればよいですか?

PCまたはマザーボードメーカーのサポートページを開き、正確な製品型番と基板リビジョンに対応するBIOSのリリースノートを確認してください。AMDが示す代表的な修正版には、Ryzen 3000シリーズ向けの「ComboAM4PI 1.0.0.11」、Ryzen 5000シリーズ向けの「ComboAM4v2PI 1.2.0.12」、AM5製品向けの「ComboAM5PI 1.3.0.1b」や「ComboAM5PI 1.2.0.3k」などがあります。ただし、必要なバージョンは製品や世代によって異なるため、AMDの速報とメーカーの案内を併せて確認してください。

●BIOSをアップデートするとBitLocker暗号化に影響が出ますか?

影響が出る可能性があります。BIOS更新によってTPMの状態や起動時の測定値が変わると、次回起動時にBitLocker回復キーを要求される場合があります。更新前に、Microsoftアカウント、Active Directory、Microsoft Entra IDなどで回復キーを確認し、使用できる状態にしてください。メーカーが示す更新手順やBitLockerの一時停止に関する案内がある場合は、その手順に従ってください。

●この脆弱性はディスクリートTPMにも影響しますか?

今回の脆弱性はTCGのTPM 2.0リファレンス実装に存在するため、影響の有無は各TPM製品がどの実装を採用しているかによって異なります。ディスクリートTPM、統合型TPM、fTPM、ソフトウェアTPMのいずれも、製品の種類だけで影響の有無を判断することはできません。ディスクリートTPMを利用している場合は、TPMチップまたはプラットフォームのベンダーが公開するアドバイザリを確認してください。

元記事: AMD Ryzen Firmware Security Flaws Let Hackers Fake Device Health Checks; Patch Now

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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