Samsung「Art Store」が5,000作品を突破、焼き付き対策を施したOLEDテレビにも対応

2026年7月26日 16:40

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記事提供元:Tech Times

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Samsungのテレビ向けアート配信サービス「Art Store」が5,000作品を突破し、ルーヴル美術館の「モナ・リザ」などが追加された。同時に、焼き付きの懸念から従来は非対応だったSamsungの2026年型フラッグシップOLEDテレビ「S95H」と「S99H」でも、同サービスが利用可能になった。ただし、焼き付き対策の効果は長期的にはまだ検証されておらず、自動表示機能など一部の使い勝手も液晶モデル「The Frame」と異なる。

■ルーヴルやホイットニー美術館の名画が追加

Samsungが7月20日に発表した内容によると、「Art Store」の収録作品数は5,000点を超えた。ルーヴル美術館の作品は17点から51点に拡大し、ホイットニー美術館から33点、2026年の「アート・バーゼル・イン・バーゼル」に関連するコレクションから24点が加わった。この節目は、Art StoreがSamsungのOLEDテレビのラインナップに初めて対応した時期と重なっており、両者を可能にした技術面の進展には、それぞれ単独の発表以上の意味がある。

ルーヴル美術館のコレクションには、7月20日の発表で34点が追加された。ルネサンス、新古典主義、ロマン主義にまたがり、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」(1503~1519年)、ウジェーヌ・ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」、パオロ・ヴェロネーゼの「カナの婚礼」、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルの「グランド・オダリスク」のほか、カラヴァッジョ、ジャック=ルイ・ダヴィッド、ニコラ・プッサン、ドミニク・パペティらの作品が含まれる。

Samsung Electronics Franceでコンシューマーエレクトロニクス担当バイスプレジデントを務めるGuillaume Rault氏は、「ルーヴル美術館は、フランスの芸術的、文化的遺産の粋を体現しています。Samsung Art TVを通じて、これらの傑作を美術館の壁の外へと広げ、世界中の何百万人もの家庭に届けられることを誇りに思います」と述べた。

ただし、Samsungの発表の脚注1によると、ルーヴル・コレクションは、UAE、サウジアラビア、エジプト、イスラエル、トルコ、パキスタンなど、中東・北アフリカを中心とする18カ国で配信が制限されている。Samsungはルーヴル美術館とのライセンス契約の条件によるものとしているが、各国が対象となった具体的な理由は公表していない。

Samsungは同時に、ホイットニー美術館との独占提携も発表した。Samsungによれば、同館がテレビ向けにアート作品を配信するのは今回が初めてで、20世紀初頭の米国モダニズムから現代美術までを扱う33作品がArt Storeに加わった。エドワード・ホッパーの「Early Sunday Morning」(1930年)、ロックウェル・ケントの「Moonlight, Winter」(1940年ごろ)、アグネス・ペルトンの「Sea Change」(1931年)、ジョセフ・ステラの「Luna Park」(1913年ごろ)、ウェイン・ティーボーの「Pie Counter」(1963年)などが含まれる。

ホイットニー美術館は、3,000点を超える資料・作品からなる世界最大のホッパー・コレクションを所蔵している。「Early Sunday Morning」は、横長の画面構成がワイドスクリーンテレビと特に相性がよいことも選定理由の一つとなった。これは、テレビでの表示方法を考慮した実務的なキュレーションである。

ホイットニー美術館のリテールおよびライセンス担当ディレクターであるJack Sachs氏は、「Samsungと提携し、Art Storeを通じてホイットニー美術館の米国美術コレクションの代表作を世界中の人々と共有できることを大変うれしく思います」と述べた。

さらにFlatpanelsHDによると、6月18~21日に開催された「アート・バーゼル・イン・バーゼル」に関連する「ABB 2026 Collection」の24作品も追加された。スイスのMai 36、von Bartha、Blue Velvetのほか、Fanta MLNやFelix Gaudlitzなど、8つのギャラリーに所属するアーティストの作品で構成されている。会場でもSamsung製テレビがデジタルアートの展示に使用された。

■QD-OLEDがアート作品の長時間表示を可能にする仕組み

技術的に最も重要なのは、テレビ画面に「モナ・リザ」を表示できること自体ではなく、OLEDで長時間表示した場合の焼き付きリスクを抑えるための対策が導入された点である。ただし、焼き付きのリスクが完全になくなったことが確認されたわけではない。

OLEDディスプレイは画素単位で発光し、各サブピクセルには使用とともに劣化する有機発光材料が含まれている。同じ画像を数時間から数日間表示し続けると、明るい静止部分の画素が周囲より速く劣化し、表示内容を切り替えた後も残像が残る「焼き付き」が生じることがある。これは個々のパネルだけに生じる欠陥ではなく、有機ELの発光原理に伴う性質である。絵画を長時間表示するよう設計されたArt Storeは、このため従来のOLEDとは根本的に相性が悪かった。

FlatpanelsHDに対するSamsungの説明によると、Art Storeをサポートする初のOLEDテレビは、2026年のフラッグシップモデル「S95H」と「S99H」である。S95Hは米国を含む世界各地で販売され、欧州向けのS99Hはオプションの「Wireless One Connect Box」に対応する。

FlatpanelsHDのS95H/S99Hレビューによると、55~77インチモデルにはSamsungのQD-OLEDパネルが採用され、83インチモデルには、より高い輝度の余力を確保するためTandem WOLED技術が使用されている。

QD-OLEDは、一般的なOLEDや液晶とは異なる仕組みを採用する。Samsung Displayの技術資料によると、赤、緑、青の有機発光体を個別に使用する代わりに、単一の青色OLED発光層を使用し、量子ドット色変換層によって青色光の一部を純度の高い赤と緑に変換する。これにより、1種類の基礎発光体から光の三原色を生成する。

FlatpanelsHDのQD-OLED解説によると、この構造によってDCI-P3色空間をほぼ100%カバーし、LGのWRGB OLED方式で必要となる白色サブピクセルに起因する色再現性の低下を避けられるという。Samsungによれば、S95Hは約1,900の肌色を含む2,000色以上で「Pantone Validated」認証を取得している。こうした色再現の精度は、一般的な映像以上に、アート作品を再現する際に重要となる。

焼き付きに対処するため、SamsungはS95Hに複数の緩和策を導入した。The Shortcutのハンズオンレビューによると、「Pixel Shift」は、数分ごとに表示内容を目に見えないほどわずかに移動させ、画素の消耗を分散する。通常の視聴距離では、この移動は感知できないという。

S95Hは、静止したアート作品を表示すると輝度を自動的に下げ、個々の画素にかかる熱負荷も軽減する。Samsungはさらに、有機発光材料を改良して劣化速度を遅らせるとともに、材料を保護する封止層も改善した。

Samsungは、これらの対策を組み合わせることで、従来世代のOLEDパネルと比べて焼き付きの可能性を70%超低減できるとしている。ただし、この数値はSamsungによる自己申告であり、第三者による独立監査は行われていない。

S95Hは、Samsungが「Glare-Free」と認定するマットな低反射コーティングも採用している。コーティングが周囲の光を拡散するため、明るい部屋で光沢パネルを使用した場合のように、作品が発光する画面に見えるのを抑え、壁に掛けた絵画に近い見え方を実現する。

また、QD-OLEDは自発光方式であるため、絵画の暗い部分では各画素を完全に消灯できる。バックライトを完全には消せない液晶パネルでは実現が難しい深い黒を表現できるため、暗い影や夜空を含む絵画では、The Frameの液晶パネルとの違いが表れやすい。

一方、レビュー担当者は、Samsungが示す焼き付き対策の効果について、数カ月にわたる実環境での検証がまだ済んでいない点を注意事項として挙げている。The ShortcutのMatt Swider氏は、「Samsungは焼き付き防止の問題を解決したと主張しているが、本当に機能するかどうかを確認するには長期的なテストが必要だ」と述べた。

■OLEDでの「Art Mode」の注意点とThe Frameとの違い

日常的なアート表示を最優先する場合、S95HやS99Hは既存の液晶モデル「The Frame」をそのまま置き換える製品ではない。FlatpanelsHDが報じたように、The Frameにはテレビを使用していないときに自動でArt Modeへ切り替わる機能があるが、OLEDモデルはまだこの機能をサポートしていない。S95Hでは作品を手動で選択する必要があるため、映像視聴とアート表示を継ぎ目なく切り替えたい利用者にとっては、The Frameの方がその用途に適したソフトウェア統合を備えている。

FlatpanelsHDによると、より手頃な価格の2026年型OLEDモデル「S90H」と「S85H」は、発売時点ではArt Storeをサポートしない。Samsungは、両モデルが旧世代のOLEDパネルを使用しており、S95HとS99HでArt Modeを利用可能にした焼き付き緩和策が導入されていないためだと説明している。

縦長の作品をワイドスクリーンに表示する場合には、レイアウト上の課題もある。現代のテレビが採用する16対9の画面比率は、風景画や横長の古典作品には適しているが、縦長の作品では余白や背景を追加する必要があり、視覚的な迫力が弱まることがある。

米国でのサブスクリプション料金は、Samsungの正規販売店Best Buyの情報によると、月額4.99ドル(約818円、1ドル=164円換算)または年額49.99ドル(約8,198円、同レート換算)である。対応テレビの所有者は、SamsungのSmartThingsアプリを通じて、一部の厳選されたコンテンツを無料でも利用できる。

静止画をOLEDで表示できるのは、単一の技術的な突破口ではなく、複数の対策を重ねた結果である。Pixel Shiftが画素の消耗を時間的に分散し、自動輝度低下がArt Mode使用時のピーク輝度とサブピクセルへの熱負荷を抑える。劣化しにくい有機発光材料と改善された封止層も組み合わせられている。Samsungは、これらによって焼き付きリスクを70%超低減できるとしているが、その数値は数カ月にわたる独立検証ではまだ確認されていない。

■美術館からリビングルームへの配信プロセス

ルーヴル美術館の公式来館者データによると、開館日1日平均で2万8,000人を超える来館者を集める「モナ・リザ」のような作品を、4Kで家庭用テレビに配信するには、高解像度でのスキャン、原作品に照らしたカラープロファイリング、厳格な展示基準を設ける所蔵機関とのライセンス交渉が必要になる。Samsungは、アルゴリズム任せではなく、人の手によるキュレーションを重視している。

Samsung Art Storeのコンテンツおよびキュレーション責任者であるDaria Greene氏は、「Art Storeでは、作品をスクレイピングしてそのまま掲載するようなことはしていません」と述べた。ホッパーの「Early Sunday Morning」については、ホイットニー美術館のキュレーターが、極端に横長の画面構成がワイドスクリーンテレビに特によく合う点を指摘しており、これが作品選定に影響した実務的な理由の一つとなった。

Samsung Art Storeの概要ページによると、同サービスは115カ国以上で展開され、800人を超えるアーティストの作品を扱っている。提携先は80以上の文化・芸術機関に上り、メトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、オルセー美術館などが含まれる。

Samsung米国ニュースルームのArt Store拡充に関する発表によると、2025年初頭の時点で、米国の加入者によるアート作品の年間表示時間は4億時間を超えていた。また、サブスクリプション数は2024年初頭以降、前年同期比で70%超増加したという。

■激化するアートTV市場の競争

5,000作品突破という節目は、テレビを使用していない時間に作品を表示する「アンビエントアートTV」市場の競争が激しくなる中で達成された。HisenseとTCLは、それぞれ「Canvas TV」と「Nxtvision」という競合製品を発売している。FlatpanelsHDによると、LGも独自の「Gallery TV」を2026年後半に発売する計画だと報じられている。

Samsungは、テレビ向けにデジタル化された伝統美術のライブラリでは、競合を大きく上回る規模を維持している。ルーヴル美術館、ホイットニー美術館、MoMA、テートなどとの提携は、同社のプラットフォーム独自のものとなっている。

TechTimesが報じたOmdiaの市場データによると、Samsungは世界のテレビ市場における売上高シェアで20年連続の首位を維持し、2026年第1四半期には31.3%を占めた。これは2位ブランドのシェアの2倍を超える。OLEDカテゴリーでは、2026年第1四半期にSamsung製品の累計販売台数が500万台を突破し、販売台数は前年同期比28.8%増となった。

OLEDでのArt Store対応は、製品機能であると同時に、市場に向けたメッセージでもある。最も厳しい静止表示用途の一つであるアート作品の長時間表示がフラッグシップパネルで実用可能になったとSamsungが判断するほど、QD-OLED技術が成熟したことへの自信を示している。ただし、焼き付き対策の長期的な有効性については、今後の独立検証を待つ必要がある。

■注目ポイントQ&A

●Samsung Art Storeは2026年のすべてのSamsung製OLEDテレビで利用できますか?

いいえ。Art Storeを利用できるOLEDテレビは、2026年のフラッグシップモデル「S95H」(米国を含む世界各地)と「S99H」(欧州)のみです。両モデルには焼き付き緩和策を導入した新しいOLEDパネルが採用されています。より手頃なS90HとS85Hは旧世代のOLEDパネルを使用しているため、Art Storeをサポートしていません。The Frameなどの対応液晶モデルは、OLEDモデルにはない自動化機能を備えたうえで、引き続きArt Storeを利用できます。

●アート作品の表示において、QD-OLEDはThe Frameの液晶パネルよりも本当に優れていますか?

色再現性とコントラストの点では優れていますが、OLEDの焼き付きリスクについて長期的な検証が済んでいないという留意点があります。QD-OLEDは、青色発光層と量子ドット色変換による純度の高いRGB表示で、DCI-P3色空間をほぼ100%カバーし、白色サブピクセルによる色再現範囲への影響も避けられます。また、暗い部分では画素を完全に消灯できるため、The Frameの液晶バックライトでは再現が難しい深い黒を表現できます。一方、The FrameはArt Modeへの自動切り替えに対応し、アンビエント表示向けのソフトウェア統合もより成熟しています。アート表示の自動化を最優先する場合は、SamsungがOLEDラインナップに同様の機能を追加するまで、The Frameの方が確実な選択肢です。

●ルーヴル美術館のコレクションが一部の国で利用できないのはなぜですか?

Samsungは、ルーヴル美術館とのライセンス契約の条件に基づき、18カ国で同コレクションの配信を制限しています。対象国は、UAE、サウジアラビア、エジプト、イスラエル、トルコ、ヨルダン、クウェート、レバノン、モロッコ、オマーン、カタール、チュニジア、イエメン、バーレーン、アルジェリア、イラク、リビア、パキスタンです。Samsungは、各国が対象に含まれた具体的な理由を公表していません。

●Samsung Art Storeの料金はいくらですか?また、無料で利用できるものはありますか?

米国でのサブスクリプション料金は、月額4.99ドル(約818円、1ドル=164円換算)または年額49.99ドル(約8,198円、同レート換算)です。有料プランでは5,000点を超える全作品ライブラリにアクセスできます。サブスクリプションに加入していない場合でも、対応するSamsung製テレビの所有者は、SmartThingsアプリを通じて定期的に入れ替わる無料作品を利用できます。無料作品は年間約70点です。

元記事: Samsung Art Store Clears OLED Burn-In Barrier With 51 Louvre Masterpieces

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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