世界5G指数、モバイル品質で韓国とシンガポールが欧米をリード 差を生んだ3つの政策

2026年7月19日 14:45

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記事提供元:Tech Times

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今週公表された10カ国のモバイル市場ベンチマーク調査で、韓国とシンガポールが、ネットワークの事業環境と消費者が実際に受けるサービス品質の両面で、米国やドイツを含む欧米市場を上回った。上位国と下位国の差には、5Gスタンドアロン(SA)構成の義務化、価格より展開速度を重視した周波数割り当て、通信事業者が差別化されたネットワークスライシングサービスを販売できる規制枠組みという3つの政策判断が関係している。

ボーダフォン・スリー(VodafoneThree)は2026年7月16日、10カ国を「事業環境」と「消費者・市場の成果」の2軸で比較した「モバイル市場指数(Mobile Market Index:MMI)」を公表した。「事業環境」はモバイルネットワークを構築・運用する際の容易さを、「消費者・市場の成果」はネットワークが実際に提供するサービス品質を示す。

■指数公表の背景

英国政府は現在、2030年までにすべての居住地域を5G SAでカバーする方法について、「モバイル市場レビュー」を通じて意見や証拠を募集している。今回の指数は英国にとどまらず、各国政府の規制の違いにより、似たような条件から大きく異なる結果が生じることを示している。

ボーダフォン・スリーは、ボーダフォンとスリーが2025年5月に合併して誕生した英国最大のモバイルネットワーク事業者であり、同社がモバイル市場レビューで求める3つの政策変更を後押しするため、この指数を利用している。ISPreviewのマーク・ジャクソン氏が指摘した通り、そこには同社自身の利害が反映されている。

ただし、この点を差し引いても、各国間の格差そのものは独立した情報から確認できる。その背景となる仕組みも、規制当局への提出資料、オープンシグナル(Opensignal)のデータ、政府の戦略文書など、ボーダフォン・スリー以外が作成した資料に記録されている。

■スコアカードが示すもの

「事業環境」では、シンガポールが0.698で首位、韓国が0.667で2位、米国が0.639で3位、ノルウェーが0.634で4位となった。ドイツ、オーストラリア、ハンガリーが中位に並び、英国は0.481、フランスは0.422、スペインは0.410だった。

「消費者・市場の成果」では順位が大きく入れ替わる。韓国が0.747で首位、シンガポールが0.734で2位、ノルウェーが0.702で3位となった。事業環境で9位だったフランスは0.632で4位に上昇し、ドイツは0.579で5位、スペインは0.473で6位だった。

事業環境で高く評価されたオーストラリアと米国は、それぞれ0.469で7位、0.460で8位に後退した。英国は0.449で9位、ハンガリーは0.410で最下位となった。

この2つの評価表を合わせて見ると、指数の重要な意味が浮かび上がる。米国やオーストラリアのように、投資環境で上位に入っても、政策だけでは完全に相殺できない地理的コストによって、消費者向けの成果が伸びない国がある。

一方、フランスやスペインのように、現在の投資環境が悪くても、過去数十年のインフラ投資によって、一定期間は許容できる消費者体験を維持できる国もある。シンガポールと韓国は、適切な時期に適切なネットワーク構成の整備を加速させる政策を採ったことで、両方の評価軸で上位に入った。

■アジア太平洋モデル:義務化を先行し、市場形成につなげる

シンガポールが事業環境で首位になった背景には、政府による意図的かつ段階的な介入がある。情報通信メディア開発庁(IMDA)は2020年、5G用周波数を最高額の入札者に割り当てるオークション方式を採用せず、「提案公募(Call for Proposal)」を実施した。事業者の展開計画の品質と速度を基準として周波数を割り当てたのである。

選定されたシングテル(Singtel)と、スターハブ(StarHub)・M1の共同事業体には、当初から5G SAネットワークだけを構築することが求められた。多くの欧米市場がノンスタンドアロン(NSA)構成を数年間運用してからSAへの移行を進めたのに対し、シンガポールはNSAを経由しない方針を採った。

その結果、シングテルは2022年7月、全国の屋外を対象とする5G SAカバーを発表した。規制上の目標より3年早い達成であり、米国商務省は後に、シンガポールを「国土全体がスタンドアロン5Gでカバーされた世界初の国」と説明した。

2026年半ばまでには、M1とスターハブも5G SAへの全面移行を完了し、各事業者は残るNSA設備からSAサービスへの顧客移行を積極的に進めていた。さらに、シンガポール政府が2025年までに実施した250億シンガポールドルの研究開発投資が5Gアプリケーションの需要を生み、ネットワークスライシングを提供できる時点で、それを購入する企業顧客が存在する環境を整えた。

韓国の手法は異なるものの、目指した結果は同じだった。科学技術情報通信部(MSIT)は2026年、すべての5G基地局を5G SAのコア設備に接続するよう求めている。これは事業者の商業的判断ではなく、政府による義務付けである。

2021年6月に韓国の事業者として初めて5G SAを導入したKTは、その結果として、すでに国内最速の5Gダウンロード速度を記録していると報告している。

韓国のネットワークスライシング市場は、SKテレコムなどがスマートファクトリー、物流、スマートシティーのインフラ向けに商用展開を拡大することで、2026年に17億2000万ドル(約2786億円、1ドル=162円換算)規模に達すると予測されている。スライシングされたネットワークにおける産業用IoTの普及率も、2025年の25%から2030年には48%に上昇する見込みだ。

両国が示しているのは、政府の明確な方針が事業者の投資を促すという点である。政府がSAのみというネットワーク構成を定め、その機能をスライシングによって収益化できる規制枠組みを用意すれば、インフラ支出の投資採算性が成立しやすくなる。構成の選択を市場に委ねる一方、収益源を制限すれば、同じ結果にはなりにくい。

■ノルウェー:最大の障壁となる地理を克服

ノルウェーが「消費者・市場の成果」で3位に入ったことは、指数の中でも特に注目に値する。上位国の高い成績を有利な地理だけで説明する見方に反する結果だからだ。

ノルウェーには、電波の伝搬を妨げるフィヨルド、基地局用地の確保に費用がかかる山岳地帯、オスロとベルゲンを除けば1平方キロメートル当たり15人未満という人口密度、地上インフラの整備を難しくする北極圏の永久凍土など、モバイル網の展開を難しくする条件がそろっている。

それにもかかわらず、同国の5G人口カバー率は2024年に99.7%へ達した。モバイル通信速度はオスロで平均約231Mbps、ベルゲンで約187Mbpsと、韓国の主要都市と競争できる水準にある。

オープンシグナルが2025年11月に公表したノルウェーのネットワーク調査では、テレノール(Telenor)が全15部門のうち11部門で首位を獲得した。テリア・ノルウェー(Telia Norway)は2026年2月、「Avansert 5G」の名称で法人顧客向け5G SAサービスを商用化した。テレノールとテリアは同時に、各社単独のネットワーク範囲を超えてカバーを広げるため、同国初となる事業者間ネットワーク共有契約も発表した。

ノルウェーの事業環境が容易というわけではなく、MMIの順位も首位ではなく4位である。ただし、英国、フランス、スペインと異なり、規制枠組みは料金の引き下げだけでなく、投資の持続可能性を考慮して設計されている。

3事業者が競争する市場でありながら、フランスの「4事業者+仮想移動体通信事業者(MVNO)」市場に見られるような、利益率を大きく圧迫する価格競争には陥っていない。エネルギーコストは上昇しているものの、構造的には英国より低い。また、英国やEUで通信事業者によるネットワークスライシングの収益化を妨げているとされるネット中立性上の制約に相当する規制もない。

■ドイツ:広いカバー範囲と産業用途の弱さ

ドイツでは、表面的なカバー率と、5Gを産業用途で有効にする技術的能力との間に別の乖離が見られる。

ドイツの5Gカバー率は2025年10月までに国土の95%へ達した。地理的カバー率はドイツテレコム(Deutsche Telekom)が約87%で最も広く、ボーダフォンとテレフォニカはそれぞれ75~76%だった。

オープンシグナルが2025年11月に公表したドイツ市場の調査では、5Gダウンロード速度はドイツテレコムが173.8Mbpsとなり、ボーダフォンの154.3Mbps、O2の114.5Mbpsを上回った。

しかし、「EUデジタル・ディケイド2026進捗報告書」は、表面的なカバー率では見えにくい構造的な問題を指摘した。ドイツにおける3.4~3.8GHz帯のカバー率は54.43%にとどまり、約75%のEU平均を下回っている。

3.4~3.8GHz帯は、通信距離とデータ容量のバランスが取れており、産業用IoTや企業向け5Gアプリケーションにとって特に重要な周波数帯である。製造業、自動車産業、化学産業などドイツの産業基盤は、一般消費者向けモバイル通信には十分広い5G網を利用できる一方、工場自動化、機器間通信、物流最適化を大規模に実現するための周波数帯ではカバーが薄い。

ドイツは事業環境で6位、消費者・市場の成果で5位となった。英国より低いエネルギーコスト、連邦ネットワーク庁(Bundesnetzagentur)が周波数割り当てとカバー義務を関連付ける制度、加速しつつある5G SA展開など、構造的な強みを持つ。

ただし、産業向け周波数帯のカバー不足は、事業環境スコアだけでは捉えられない。製造業のデジタル化に経済の将来を託すドイツにとっては、特に重要な問題である。

■米国:政策では変えられない国土規模

米国は事業環境で3位に入った一方、消費者・市場の成果では8位となり、5つ順位を落とした。この差の大部分は、国土の広さによって説明できる。

米国は約380万平方マイルに及ぶ国土を持ち、山岳、平原、森林など地形も多様である。そのうち約200万平方マイルは、人口密度が1平方マイル当たり1人未満とされる。人口が集中する277平方マイルのシンガポールと同等の品質でこの国土をカバーできないことは、必ずしも政策の失敗ではない。規制だけでは解決できない物理的、経済的問題である。

2026年の米国市場では、Tモバイルが多くの指標で先行している。5Gは米国民の98%をカバーし、中帯域では3億人超、より高速なCバンド周波数では2億1000万人超をカバーしている。

同社は、広域をカバーする600MHzの低帯域、容量を確保する2.5GHzの中帯域、人口密度の高い都市で使うミリ波を重ねる「レイヤーケーキ」型の周波数戦略を採用している。これは主要市場の通信事業者の中でも、技術的に高度な5Gカバー戦略として広く評価されている。米連邦通信委員会(FCC)のCバンド周波数オークションでは、中帯域を確保しようとする事業者から810億ドル(約13兆1220億円、1ドル=162円換算)を超える入札額が集まった。

Tモバイル、AT&T、ベライゾンが投資だけでは解決できていないのが、米国の地方部である。基地局1カ所が数千人ではなく数十人にしかサービスを提供しない地域では、規制上の条件が良好でも、基地局を建設・運用する採算性は低い。

米国の事業環境スコア0.639は、商業上の柔軟性が高い周波数政策、ネットワークスライシングを妨げるネット中立性上の制約がないこと、複数の全国事業者による技術投資競争などを反映している。消費者・市場の成果の0.460は、西側諸国で特に良好な事業環境が、大陸規模の地理的条件に直面した結果を示す。

■オーストラリア:事業環境だけでは埋められない差

オーストラリアは事業環境で5位、消費者・市場の成果で7位となり、米国と似た傾向を示した。背景には、より際立った人口分布上の条件がある。

オーストラリアは国土面積で世界6位だが、約2600万人の人口の85%が、南東部と南西部の沿岸部にある国土の約1%に集中している。

2025年10月時点で、テルストラ(Telstra)はオープンシグナルの「5G Coverage Experience」部門を5回連続で受賞し、10点満点中7.6点を獲得した。2位のオプタスを3ポイント上回る成績だった。

2026年5月には、速度と利用体験に関する6部門を単独で制したオプタスが、総合的な受賞数で首位となった。ボーダフォン・オーストラリアは、オプタスとのネットワーク共有契約により、地理的なカバー範囲を約100万平方キロメートルへ、人口カバー率を98.4%へ拡大した。

この契約は、英国でボーダフォン・スリーが展開するMOCN(複数事業者によるコアネットワーク共有)と構造的に似ている。単独の事業者では経済的に埋められないカバーの空白を、ネットワーク共有によって補えることを示している。

オーストラリアの事業環境は実際に良好である。エネルギーコストは英国より低く、計画・許認可手続きも比較的簡素で、テルストラ、オプタス、ボーダフォンの3事業者に集約された市場構造は、細分化されたMVNO市場のように利益率を大きく損なうことなく、インフラ投資を支えやすい。

消費者向け成果との差は、政策の失敗というより「地理的コスト」である。人口が沿岸部に集中する一方、国土全体に広く分散している国を接続するための負担が表れている。

■フランスとスペイン:過去のインフラ投資が現在を支える

指数の中で最も直感に反する結果は、フランスが事業環境で9位でありながら、消費者・市場の成果では4位になったことである。スペインも同様に、10位から6位へ上昇した。

フランスの消費者向け成果は、過去の投資に支えられている。オレンジ、SFR、フリー、ブイグの国内4事業者はいずれも、4Gでフランス人口の99%超をカバーしている。オレンジは、フランスの通信規制当局ARCEPによるサービス品質評価で15年連続首位となった。

4Gをめぐる競争が激しかった時期に構築された高密度のネットワークは、価格競争とMVNOによる利益率への圧力によって新規投資が難しくなった現在も、許容できる消費者体験を提供している。

その仕組みは単純である。消費者向けの価格競争により、フランスの事業者は顧客を維持するためにネットワークを高密度化し、その設備が現在も利用者を支えている。

ただし、事業環境スコアが示しているのは、この仕組みには限界があるという点だ。保守や更新への投資を支える利益が確保できなくなれば、いずれネットワーク品質が低下し始める可能性がある。

フランスとスペインは現在、過去に蓄積したインフラという「信用」でサービスを維持している状態にある。MMIは、投資環境が変わらなければ、過去の投資だけで品質を支えられる限界に両国が近づきつつあると示唆している。

■ハンガリー:事業環境は良好でも成果は最下位

ハンガリーは、MMIの中でも特に懸念される乖離を示した。事業環境では英国、フランス、スペインを上回る7位だが、消費者・市場の成果は0.410で最下位だった。

ハンガリーのモバイル市場には構造的な強みがある。周波数免許の期間が15年に設定され、事業者は長期的な投資計画を立てやすい。ブダペストでの試験では、5Gのピーク速度が500Mbpsを超えた。

マジャール・テレコム(Magyar Telekom)は2025年末までに、屋外5Gの人口カバー率を86%へ拡大し、同年中にモバイル基地局数を5分の1増加させた。チェコのPPFグループ傘下のイェッテル(Yettel)は、ハンガリーの規制当局NMHHが2025年3月に実施した測定で、国内最速のネットワークと評価された。Speed Scoreは137.26で、マジャール・テレコムの60.51、ワン・ハンガリー(One Hungary)の40.4を上回った。

一方、ハンガリーの無制限5Gデータの平均月額料金は欧州で最も高い。高い消費者価格と最下位の消費者成果の組み合わせは、投資に適した条件が、サービス品質へ十分に結び付いていない可能性を示している。

5G SAの展開状況も不透明である。イェッテルは2023年11月にSAを発表したが、具体的な展開状況を明らかにしていない。マジャール・テレコムとワン・ハンガリーも、一般消費者向けにSAを展開したことを公表していない。

EUのSZIPおよびRRFの資金制度はネットワーク拡張を支援しているものの、事業環境と消費者成果の差は、品質に対する規制上の説明責任が弱い場合、投資条件だけでは十分でないことを示唆している。

■上位国と下位国を分ける3つの政策変数

MMIのデータを、オープンシグナル、ドイツ連邦ネットワーク庁、シンガポールのIMDA、韓国のMSIT、独立系市場アナリストによる各国の資料と合わせて見ると、国の順位を左右する3つの政策変数が浮かび上がる。

第1は、政府が5G SAを義務として扱ったか、市場の選択肢として扱ったかである。シンガポールと韓国はSA構成を義務付け、「消費者・市場の成果」で世界上位のスコアを獲得した。

ドイツ、フランス、英国、オーストラリアなど、SAの採用を事業者の商業的判断に委ねた市場では、NSAネットワークによって表面的な5Gカバー率を維持できている一方、SAの普及は緩やかで、産業用途に必要な機能の導入が遅れている。

第2は、周波数政策が政府収入よりも展開速度を優先したかどうかである。シンガポールの提案公募方式は、入札額ではなく展開計画の品質を評価し、規制上の期限より数年早い全国SAカバーにつながった。

価格のみを重視するオークションを実施した市場では、投資収益が見込めるまで事業者が周波数の本格展開を控え、その結果、免許の割り当て後も長期間にわたりカバーの空白が残る場合があった。

第3は、通信事業者が5G SAの主要な収益機能であるネットワークスライシングを収益化できるかどうかである。韓国のネットワークスライシング市場は、2026年に17億2000万ドル(約2786億円、1ドル=162円換算)規模へ達すると予測され、年率14.6%で成長しているとされる。これにより、5G SAインフラのコストを支える収益源が事業者に生まれる。

EUのネット中立性規制は、通信品質を差別化した商用サービスについて、事業者が提供できる範囲を制限している。EU離脱後もEU由来の規制を維持し、2023年に更新した英国にも、同様の制約がある。

ボーダフォン・スリーはモバイル市場レビューへの提出資料で、この制限が、アジア太平洋地域と同等の規模で5G SAへ投資するための事業性を事実上損なっていると主張している。

■ネットワークスライシングと産業上の重要性

ネットワークスライシングは、単なる上位版の消費者向け商品ではない。単一の物理ネットワークを、相互に分離された複数の論理ネットワークへ分割し、それぞれに独立したサービス品質を設定する5G SAの機能である。

各スライスには、遅延時間の上限、最低帯域幅、信頼性の目標などを設定できる。例えば、工場のロボット向けスライスでは10ミリ秒未満の応答時間と99.999%の信頼性を保証し、同じ物理インフラ上の別のスライスでは、一般消費者の動画ストリーミングを異なる品質条件で処理できる。

この違いは通信事業者の収益モデルだけに関係するものではない。工場、港湾、病院などに、10ミリ秒未満の遅延と99.999%の信頼性を備えた専用の論理ネットワークを提供することは、無線通信に依存する産業自動化を商用規模で展開するための技術的な前提となる。

2026年に韓国で専用5Gスライスを利用している28のスマートファクトリーは、上位版の消費者向けサービスを購入しているわけではない。欧州の産業事業者が自国内のインフラではまだ安定して利用できないネットワーク機能を、生産活動に活用している。

したがって、英国とEUにおける商用スライシングへのネット中立性上の制約は、通信事業者の収益だけを制限するものではない。一定のサービス品質を必要とする産業用5Gアプリケーションの導入も構造的に妨げる可能性がある。この種のサービスは、アジア太平洋地域の先行市場ではすでに商用提供されている。

ボーダフォン・スリーは英国議会に提出した資料で、オープンインターネットアクセス規則は商用5Gが存在する前に設計されたものであり、2030年までの全国SAカバーを求められる事業者にとって、その投資を経済的に成立させる収益源を妨げていると明示している。

■世界規模で指数を読み解く

ボーダフォン・スリーの指数は、データ集であると同時にロビー活動のための資料でもある。同社が英国政府に求める3つの政策変更は明示されており、ISPreviewのマーク・ジャクソン氏が指摘した通り、同社が実現を望む制度変更への利害が反映されている。

それでも比較の枠組み自体には意味がある。国ごとの格差は独立した情報から確認でき、その背景となる仕組みも、規制当局への提出資料、オープンシグナルのデータ、政府の戦略文書など、同社以外が作成した資料に記録されているからだ。

韓国とシンガポールが首位となった理由は、単に国土が小さいからでも、事業者の経営が優れているからでもない。シンガポールが小さく、都市化され、人口密度も高いという地理的優位性を持つことは事実だが、消費者成果でノルウェーが3位になった結果は、有利な地理だけでは上位の成績を説明できないことを示している。

韓国の国土規模と地形の多様性は英国と大きくかけ離れているわけではない。上位国に共通するのは、現在の順位が固まる何年も前から、ネットワーク構成を義務付け、周波数の展開を容易にし、その構成が可能にするサービスから事業者が収益を得られるようにするという、一連の政策判断を実行したことである。

消費者・市場の成果で下位にいる国々に、有能な技術者や投資意欲のある事業者がいないわけではない。ドイツ、フランス、オーストラリアはいずれも、その両方を備えている。

これらの国では、3つの政策変数のうち少なくとも1つが、5G SAのコストを引き上げるか、そこから得られる収益を減らす方向に設定されていた。何を修正すべきかを説明するのは容易だが、政治的に実行するのは難しい。それでも10カ国の比較は、早期に対応した国々がすでに産業用アプリケーションを構築しており、後発国が今後10年をかけて追いつこうとする可能性を示している。

■注目ポイントQ&A

●なぜシンガポールと韓国は、他の豊かな国々よりインフラ投資額が少なくても、モバイル関連の比較で上位に入るのですか?

投資額そのものより、どのようなネットワーク構成に投資したかが重要だからです。シンガポールと韓国は、5Gの展開当初からSAネットワークを義務付けました。韓国の科学技術情報通信部は2026年に、すべての基地局をSAコアへ接続するよう求めています。シンガポールのIMDAは2020年、提案公募の免許条件としてSAのみのネットワークを要求しました。

SAではネットワークスライシングを利用でき、企業向けサービスから得られる収益を、高密度なインフラの継続的な運用費に充てられます。これに対し、初期段階でより安価なNSA構成を認めた市場では、完全なSAへの更新を正当化する収益を十分に生み出せず、移行が遅れました。

●フランスは事業環境で9位なのに、消費者が実際に受けるサービスでは4位なのはなぜですか?

フランスでは、国内4事業者と多数のMVNOによる長年の激しい価格競争を通じて、高密度の4Gネットワークが構築されました。新規投資の事業環境が欧州でも特に厳しくなった現在も、そのインフラが一定の消費者成果を支えています。

ただし、この状態を永続させることはできません。利益率が低下した市場で、保守や更新に必要な設備投資を賄えなくなれば、既存インフラによるサービス品質の維持は難しくなります。フランスとスペインは現在、次の投資に必要な条件が整わないまま、過去の投資によって品質を維持している段階にあります。

●5Gのネットワークスライシングとは何ですか。また、なぜ国際的な順位に影響するのですか?

ネットワークスライシングは、単一の物理ネットワークを、相互に分離された複数の論理ネットワークへ分割する5G SAの機能です。それぞれに遅延時間の上限、最低帯域幅、信頼性の目標など、独立したサービス品質を設定できます。

例えば、工場のロボット向けには10ミリ秒未満の応答時間と99.999%の信頼性を保証し、同じ物理インフラ上の別のスライスでは、一般消費者向け動画ストリーミングを異なる品質条件で処理できます。

韓国のネットワークスライシング市場は、2026年に17億2000万ドル(約2786億円、1ドル=162円換算)規模に達すると予測されています。その企業向け収益を、サービス提供に必要なSAインフラの費用に充てられます。一方、欧州と英国では、ネット中立性の枠組みが品質を差別化した商用スライシングを制限しており、SAへの設備投資を回収しにくくする構造的な制約になっていると、ボーダフォン・スリーは主張しています。

●ハンガリーは事業環境で7位なのに、消費者・市場の成果では最下位なのはなぜですか?

ハンガリーには、15年間の周波数免許、拡大するカバー範囲、試験で500Mbpsを超えたピーク速度など、事業環境上の強みがあります。一方、無制限5Gデータの平均月額料金は欧州で最も高いにもかかわらず、消費者・市場の成果は調査対象国で最下位でした。

この差は、事業者に有利な投資条件を整えても、サービス品質を確保するための規制上の説明責任が十分でなければ、消費者向けの成果に結び付かない可能性を示しています。また、主要3事業者のうち2社は一般消費者向け5G SAの展開を公表しておらず、イェッテルが2023年11月に発表したSAについても、具体的な展開状況は明らかになっていません。

元記事: Global 5G Index Puts Asia-Pacific Ahead of Europe and the US on Mobile Quality

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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