生成AI投資の現実 マネーは動くが株価は動かない

2026年1月8日 10:29

印刷

 生成AIは2025年以降、ChatGPT、Claude、Geminiなどの大規模言語モデルが実用段階に入り、日本の各業界に構造変化をもたらしている。投資マネーは「AIを活用する企業」から「AIで変革する企業」へと評価軸をシフトさせている。

【こちらも】生成AIの勝敗軸は「性能」から「導入効率」へ

 だが投資マネーはシフトしているが、実際の株価は期待に追いついていない。NTTデータのように株価が急騰した企業もある一方で、多くの企業では株価への反映は限定的だ。

 生成AIの影響を最も受けている業界は2つある。IT・コンサルティング業界(AI提供側)とクリエイター・コンテンツ業界(AI活用側)だ。

 IT・コンサルティング業界では、NTTデータ、野村総合研究所、富士通が企業向けAIソリューションを提供している。

 NTTデータと野村総研は直近の四半期で2桁の増収を達成しており、AI関連サービスの需要増加が業績に寄与している。

 NTTデータは2025年7月時点で、52週安値から2倍以上に株価が急騰した。単に自社でAIを利用するだけでなく、「AIで変革を目指す企業」を支援する立場として、旺盛なシステム投資需要を取り込んでいる。この戦略が大幅な増収につながっている。

 これは、ゴールドラッシュの時代に金を探す人に高性能なつるはしやスコップを販売する道具店が、誰よりも早く確実に利益を上げた状況に似ている。

 富士通は独自の生成AI技術を活用し、業務効率化や新サービスの開発を推進している。ソフトバンクグループは生成AI関連企業への投資を拡大、自社サービスへの統合を進める。

 クリエイター・コンテンツ業界では、個人ライターやコンテンツ販売者が生成AIを活用して制作効率を向上させている。

 サイバーエージェントはAIを活用したコンテンツ制作や広告配信を行い、メディア事業の強化を図っている。AI活用によるコンテンツ増加で取引額拡大の期待が高まる。一方、AI生成コンテンツの氾濫による品質低下の懸念も、株価に影響を与える可能性がある。

 一方で、生成AIの導入はコスト増や人材不足という課題も生んでいる。投資家は「AI投資のROI(投資対効果)」を厳しく評価し、単なるAI導入ではなく「AIによる競争優位性の確立」を重視する傾向が強まっている。

 AIが導入されて変革する企業になっていても、すぐに株価に影響が出ない。AI活用は長期的な投資であり、短期的な株価への反映は限定的だ。

 2026年に入り、日本の企業は生成AIの実用化フェーズに入り、業界再編の動きが加速している。投資家は、単にAIを導入した企業ではなく、「AIで変革を実現できる企業」を見極める必要がある。期待と現実のギャップが、投資判断の重要な指標となっている。

関連キーワード

関連記事