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日本生命によるMDV買収、その狙いは?
●日本生命が医療データ分析のMDV買収
大手保険会社の日本生命が、医療データ分析などを手掛けるメディア・データ・ビジョン(MDV)を約568億円で買収することを発表した。
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日本生命は16日からMDVに対し、TOB(株式公開買い付け)を実施。最終的には完全子会社化を目指す。
日本生命はMDVの子会社について、「ヘルスデータ、ヘルスデータ分析体制等を新たな事業基盤として確立し、ヘルスケアと保険事業双方を高度化することを目指す」としている。
日本生命としては初の国内上場企業のTOBとなる。生保業界では、今後もこのような買収劇が続くのだろうか?
●MDVとは?
MDVは、医療情報システムの販売を目的として2003年に東京中野区で設立された。2016年に東証1部(現在は東証プライム)へ上場している。
病院へ経営支援システムを提供したり、集約・分析した医療・健康データを製薬会社や研究機関、生命保険会社に提供している。
診療データベースの実患者数は、コロナ禍の2020年に4000万人を突破し、直近のデータでは5467万人(2025年11月末時点)にも達している。
2025年12月期の最終損益は2億7000万円の黒字だったが、従来予想から大きく下方修正している。
●株価上昇に期待!?
買収報道でMDVはストップ高となった。相互会社である日本生命の大型買収は、株式発行できないことや説明責任が厳しいことから容易ではない。
MDVのビッグデータは日本生命に限らず、保険料設計や商品開発には欠かせない。MDVを子会社にすることでデータを独占的に利用できる強みがある。
一方で、日本生命としては人口減少による保険加入者の減少は避けられず、保険に依存しない収益化を目指したい。
企業向けの健康増進サービスやウェルビーイング事業を強化するためにも、医療ビッグデータが必要となる。
ビッグデータに加え、AIを活用し、入院確率や再発リスクを算出することも容易になる。保険だけでなく、コンサルティングサービスにも生かすことができる。AI関連企業の買収もあり得る。
令和板「ザ・セイホ」として、保険会社が存在感を示すことがあるかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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