読売333が日本の株式市場を変えるか!?

2025年2月15日 10:52

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●日本の新たな株価指数

 読売新聞社が算出する日本の株式市場の値動きを示す「読売333(さんさんさん)」が、2025年3月からスタートする。

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 日経新聞が算出する日経平均(日経225)や、日本取引所グループの子会社JPX総研が算出するTOPIXとはまた違った新たな視点で日本の経済の指標を示し、投資の促進、運用の多様化への期待が高まる。

 報道があった昨年11月に米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、「日本で最大の発行部数を誇る読売新聞が新たな株価指数を導入する」と報じるなど、海外投資家の注目度も高い。

 読売333が日本の株式市場に一石を投じるのか?

●日経やTOPIXとの違い

 読売333は、東京証券取引所などに上場する333銘柄を等しく反映する等、ウエート型の株価指数である。算出の実務は野村ホールディングスの子会社・野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティングに委託される。

 日経平均やTOPIXは株価や時価総額が大きい企業に値動きがつられやすかったが、読売333は各銘柄0.3%ずつ組み入れ、偏りがない指数であることが特徴である。

 時価総額が小さな地方企業や中小企業も注目されやすいといった期待がある。

●過去には失敗例も!?どこまで定着できるか?

 2月5日に開催された自民党の資産運用立国議連の会合で、会長である岸田前首相が「333という指数を活用して、新NISAが国民の利便性につながるような取り組みを考えて欲しい」と述べた。

 海外株運用の投資信託に偏りがちな新NISAで、読売333が新たな投資信託やETF(上場投資信託)を作り、それが新NISAで積み立て運用されると国内にも好循環が生まれる。

 ただ、過去には毎日新聞が1998年から日本株30(J30)という株価指数を発表していたが、わずか7年で掲載をやめてしまったという失敗例もある。

 そもそも日経の牙城を崩せるかという点で懐疑的な声も大きい。

 大企業に片寄っているとの批判がありつつも日経の存在感は絶大で、TOPIXよりも日経平均の値動きが大きくニュースで取り扱われることが多い。

 数年後には消える可能性も否定できないが、1998年の日本株30の時とは日本の投資環境は大きく変わっている。

 投資家にとっては選択肢が広がることはマイナスではなく、どんな値動きをするか注目される。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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