加賀電子は25年3月期1Q減益だが計画を上回る進捗、通期予想に上振れ余地

2024年8月9日 09:22

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  加賀電子<8154>(東証プライム)は8月8日の取引時間終了後に25年3月期第1四半期連結業績を発表した。電子部品事業における主要顧客の在庫調整などの影響で減収減益だが、社内計画を上回る進捗だったため、通期予想にも上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で急落したが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■25年3月期1Q減益だが計画を上回る進捗、通期も上振れ余地

 25年3月期1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比6.6%減の1286億38百万円、営業利益が20.6%減の55億50百万円、経常利益が12.5%減の60億45百万円、親会社株主帰属四半期純利益が28.4%減の41億27百万円だった。

 減収減益だった。売上面は電子部品事業における主要顧客の在庫調整、一部の特定大口顧客向け取引縮小などが影響した。利益面は減収影響に加え、賃上げによる人件費の増加、物流コストの上昇なども影響した。ただし低採算品の販売縮小により売上総利益率は0.5ポイント上昇した。営業外では受取利息・受取配当金が増加、為替差損益が改善、特別利益では前期計上の投資有価証券売却益が剥落した。

 電子部品事業は売上高が7.2%減の1113億20百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の43億31百万円だった。減収減益だった。部品販売ビジネスは前期後半以降に顕在化した主要顧客の在庫調整、子会社エクセルの海外子会社における特定大口顧客向け取引縮小が影響した。EMSビジネスは空調機器向けが主要顧客の在庫調整の影響を受けたが、車載向けの伸長や産業機器向けの回復で増収基調に転じた。

 情報機器事業は売上高が12.0%減の106億06百万円、利益が14.4%減の6億39百万円だった。減収減益だった。パソコン販売は教育機関向けが好調を維持したが、量販店向けが低調だった。またLED設置ビジネスの大口案件が一巡したことも影響した。

 ソフトウェア事業は売上高が9.4%増の6億31百万円、利益が35百万円(前年同期は4百万円の損失)だった。CG映像制作の受注が堅調に推移して増収増益だった。その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が20.4%増の60億79百万円、利益が58.3%増の4億61百万円だった。パソコン製品・周辺機器のリサイクルビジネス、アミューズメント機器の販売が好調だった。

 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が21.9%減の44億23百万円、加賀EFIが4.3%増の8億31百万円、エクセルが44.7%減の2億68百万円、中計セグメント別の営業利益(同)は電子部品が32.4%減の24億97百万円、EMSが15.0%減の20億69百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が14.4%減の6億39百万円、その他が221.0%増の2億60百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が24年3月期比2.3%増の5550億円、営業利益が0.6%増の260億円、経常利益が0.1%増の260億円、親会社株主帰属当期純利益が11.5%減の180億円としている。配当予想は第2四半期末が110円、期末が55円としている。24年10月1日付株式2分割を考慮して換算すると、24年3月期は年間110円(第2四半期末55円、期末55円)で、25年3月期も24年3月期と同額の年間110円(第2四半期末55円、期末55円)となる。予想配当性向(株式分割後の会社予想の連結EPS342円63銭で算出)は32.1%となる。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が2.1%増の4825億円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が0.1%増の209億円、情報機器事業の売上高が1.6%増の450億円で利益が2.6%増の30億円、ソフトウェア事業の売上高が16.8%増の30億円で利益が8.1%増の4億円、その他事業の売上高が5.4%増の245億円で利益が9.3%増の17億円としている。営業利益(前期比+2億円)の変動要因は販売数量・販売ミックスで+16億円、人件費増加(賃上げ、新卒採用、定期昇給など)で▲15億円、その他経費で+1億円の見込みとしている。

 営業・経常利益横ばい予想としている。需要面については、上期は前年下期からの在庫調整が継続するが、下期からの本格回復を見込んでいる。利益面では賃上げ等による人件費の増加を販売数量と販売ミックスによって吸収する見込みだ。第1四半期は減収減益だが社内計画を上回る進捗だったため、通期予想にも上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は売り一巡して反発の動き

 株価(24年10月1日付で株式2分割予定、1株当たり数値は分割前)は地合い悪化の影響で急落したが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。8月8日の終値は4755円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円26銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約4.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS5742円22銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約1365億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

【関連記事・情報】
【どう見るこの相場】NY離れはNY回帰か?!不確定相場では順張り、逆張りの二刀流スタンスに活路(2024/07/29)
【どう見るこの相場】スパン2年の株価予見性では社名変更の割安株に「第2のレゾナック」の可能性(2024/07/16)
【どう見るこの相場】日経平均もTOPIXも最高値更新目前!バリュー株で全員勝ち組化へ(2024/07/08)
【どう見るこの相場】歴史的な円安・ドル高はセオリー通りに金利敏感株などになお緊急避難の対応余地(2024/07/01)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事