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「牛を持つ」とは? 人気アニメが定着させた英語のイディオム
今回も動物にまつわる英語のイディオムを紹介する。20世紀前半から使用されているイディオムだが、特に1990年代から人気アニメの影響で広く普及し始めた。今回は「have a cow」というイディオムについて、その起源と進化を掘り下げていこう。
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■Have a Cow
「have a cow」とは、直訳すれば「牛を持つ」とでもなるが、実際は、非常に怒ったり、動揺したり、興奮したりといったことを意味するイディオムだ。この表現は20世紀前半から中期にかけてアメリカで生まれた。
それより以前、1900年代初頭には、「cow」という言葉が怒りを表すスラングとして使われていたことがわかっている。たとえば、今ではほとんど使われていないが、「彼は激怒した」という意味で「He went into a cow」という表現が使われていた。これは、牛が大きく気まぐれな動物であるというイメージから来ているようだ。
時代が下り、1930~40年代には「have a cow」という形が使われるようになったことが記録に残っている。たとえば、1937年のとある記事には、「When the boss found out, he had a cow」(上司が知ったとき、彼は激怒した)という表現が見られる。また、「nearly had cows」(激怒しそうになった)という例も報告されている。
このように、この時代以降、「have a cow」というフレーズは新聞、映画、ラジオ番組などのメディアで頻繁に使用されるようになった。
第二次世界大戦後、このイディオムは一般にも広く普及した。1960~70年代にかけて、「have a cow」はアメリカのイディオムとして定着したと言っていい。そんな状況のなかで、このイディオムの知名度をさらに決定づけたのが、アニメ『The Simpsons』(ザ・シンプソンズ)だ。
『The Simpsons』と言えば、アメリカで最も人気のあるテレビアニメの一つに数えられるが、その人気キャラクター、Bart Simpson(バート・シンプソン)の特徴的な口癖が、「Don't have a cow, man!」(そんなに怒るなよ!)である。
これは、彼の反抗的でユーモラスなキャラクターを象徴したフレーズで、エピソード中で頻繁に使用されるほか、このフレーズをフィーチャーした関連グッズも多数登場している。
『The Simpsons』は「have a cow」の普及に大きな役割を果たし、アメリカのポップカルチャーにおいてこの表現を定着させたのである。
使用例:
・Don't lose your temper over such a small issue, don't have a cow.
(こんな小さな問題でカッカしないで、そんなに怒らないでよ)
・She almost had a cow when she found out she lost her keys.
(彼女は鍵を失くしたことに気づいたとき、ほとんどパニックになりかけた)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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